沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 12月号

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編集後記

本年もあっという間の1 年と感じます。特に 今年は3 月11 日の東日本大震災、それによる 原発事故、台風12 号による紀伊半島の豪雨災 害など未曾有の大災害が続き、その感を強くい たします。今も苦しみの続く被災された方々に 衷心よりお見舞い申し上げます。また厳しい現 地、東北へ医療支援に飛んで行かれた本会の先 生方をはじめ医療関係者の皆様におかれまして は誠にご苦労様でした。

冒頭での「報告」では、まず九州医師会連合 会の「医療保険対策協議会」(平安明先生)、 「介護保険対策協議会」(小渡敬先生)、「医療安 全対策協議会」(玉城信光先生)が報告されて います。医療保険については診療報酬と介護報 酬の改定がなされつつあるようですが、医師会 の要望が強く反映される事が切望されます。医 療安全に対する本県医師会の取り組みは他県か らも評価されているようで、今後も継続推進が 望まれます。「脳卒中市民公開講座」(安里哲好 先生)の模様が報告されていますが、解りやす い講演で北部の市民に好評だったようです。脳 卒中の連携パスが来年4 月から北部保健医療圏 でも使用されるようで、全県における脳卒中診 療の益々の充実が期待されます。「第1 回地区 医師会長会議」(真栄田篤彦先生)。地域医療再 生計画では宮古・八重山での病診連携、生活習 慣病を中心とした県全体における連携、シミュ レーションを用いた医学・医療教育が大いに期 待されるところです。

「平成23 年度女性医師の勤務環境整備に関 する病院長等との懇談会」を涌波淳子先生が報 告されています。多くの病院で女性医師が働き やすいような環境整備が進んできているようで 大変喜ばしいと思います。県は医師確保対策関 連事業として1)女性医師等就労支援事業の他、 2)専門医等人材育成、3)救急勤務医支援、4)新生児医療担当医確保、5)産科医等確保、6)産科医等育成等の事業を実施しており、これらも十二分に活用し“医師不足”を早く解消したいも のです。

分科会、研究会等からの報告として仲原靖夫 先生が「沖縄漢方医学研究会」、新垣実先生が 「沖縄形成外科研究会」について、それぞれ活 発な活動内容が述べられています。漢方につい ては時々症例報告等で解りやすく教えて頂けま したら大変有り難いと思います。

今月の「生涯教育」は、健山正男先生の 「HIV 早期診断のポイント〜沖縄県の現況を踏 まえて〜」です。本県は本邦平均の2 倍近い HIV 浸淫地域であり、特に近年急増していると の事。その診断契機は多くがAIDS 発症時期で あり、急性HIV 感染症期は見逃されているよう である。本論文ではHIV 感染を疑う症状のポイ ントをはじめ、臨床像、診断法等が解りやすく 詳述されており、早期診断・早期治療へ向け、 明日からの診療に大いに役立つものと思います。

「プライマリ・ケアコーナー」は、椎木創一 先生に「外来での下痢のアプローチ」を頂いて おります。診断・治療について明快に述べられ ていますが、特に経口摂取の成分作成法や患者 への説明法も日常診療に有り難く思いました。

「インタビューコーナー」は沖縄県医師会事務 局長の上原貞善氏です。いつも大変お世話になっ ている事務局の多忙さも改めて伺い知る事ができ ました。今後とも宜しくお願い申し上げます。

伊志嶺隆先生には「若手コーナー」で「治療 をしない医師産業医」を頂きました。通常の 診療と違う領域ですが、読むうちに惹かれてい くような感がしました。

「随筆」は青木陽一先生の「沖縄、5年」で す。新潟と沖縄、どこかでいにしえ から繋がっていたのか、興味深く拝読しました。

最後になりましたが、喜屋武朝章先生の追悼 文を古波倉正照先生がお書きになっておられま す。喜屋武朝章先生の御立派なご業績を改めて 認識いたしました。

喜屋武朝章先生の御冥福を衷心よりお祈り申 し上げます。

今年は大きな災害に見舞われました。被災地 はいうまでもなく、その被害・影響は全国津津 浦々までおよびました。来年は平安な年である よう願わずにはおられません。

広報委員 久場睦夫

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