沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 7月号

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編集後記

この編集後記を書いている時点で、東日本大 震災からちょうど3 ヶ月経ちました。福島第一 原発事故はいまだ収束の筋道がみえず、いまも、 9 万人以上が避難所での暮らしを強いられてい ます。今月の沖縄県医師会報でも、まず目につ くのは、震災関係の記事です。4 月24 日に行わ れた日本医師会定例代議員会において、震災直 後は急性期の入院患者が多く大変厳しい状況に 置かれたこと、全国各医師会から支援が寄せら れ、献身的に必至な活動を行っているとのこと などが報告されています。沖縄県医師会の災害 救助医療班第4 陣から第6 陣までの現地レポー トでは、現地の悲惨な状況が伝わってきます。 戦争を体験したことのない私たちですが、高江 洲信孝先生の「私の想像する戦場が目の前の光 景と一致した」という文章はよく分かる気がし ます。それでも、避難所での秩序ある生活ぶり に日本人であることを誇りに思ったとの言葉は 印象的でした。今月の震災関連の記事には、県 医師会副会長の玉城信光先生より県医師会とし ての震災医療支援が5 月31 日に無事終了したと の報告がありました。被災地の方々から大変感 謝されただけではなく、派遣された方々からも 感謝されたとのこと。医療支援に携われた皆様 に深く感謝を致します。震災医療支援の報告 は、来月以降も引き続き掲載予定です。

沖縄県医師会感染症・予防接種講演会におい て、琉大産婦人科の青木陽一教授より子宮頸が ん予防ワクチンについての講演が報告されてい ます。沖縄県は、子宮頸癌の罹患率が全国と比 べ非常に高く、HPV ワクチンの普及が子宮頸 癌の減少に役立つことが期待されています。ま た、沖縄県周産期保健医療協議会の概要が報告 されています。沖縄県は、出生率、低出生体重 児の出生率、10 代の出生率が全国一高く、周 産期・乳児・新生児死亡率は全国平均より低く 良い傾向にあること。妊産婦死亡率は、全国平 均より高く、毎年1 人の妊産婦を失っていると のことです。また、北部地域の産科医の不足に より様々な問題が生じており、今後の方向性と して、医師、助産師、看護師の人材育成が大き な課題であります。

女性医師部会からは、仁井田りち副会長より 「沖縄県女性医師部会発足からの歩み」と題す る報告が寄せられました。平成19 年に女性医 師部会が発足後これまで様々な企画がされてき たことが分かります。女性医師が働きやすい環 境を目指して、私たち一人一人の理解・協力が 必要だと再認識させられました。

生涯教育のコーナーからは、琉大第二内科の 益崎裕章教授より、「日常臨床における脂質異 常症の取り組み;最近の考え方」と題する論文 を頂きました。近年高脂血症という言葉より脂 質異常症という用語に変わった理由が、数値が 低すぎることが問題となる低HDL-C 血症や脂 質の質的変化が重要であるからとのことです。 沖縄県は肥満を背景にした糖尿病や脂質異常症 が多く、健康長寿の復活のためにも脂質異常症 の理解が大事であると思われます。

プライマリ・ケアコーナーは、小児クリニッ クたまなはの玉那覇康一郎先生の「増えてる食 物アレルギー」です。食物アレルギーは近年増 えており、その原因と考えられるのが、過剰の 栄養摂取、化学物質摂取、周りの環境がきれい になりすぎたことなどとのことです。アナフィ ラキシーショックには、「エピペン」が処方可 能となりましたが、まだまだ、その存在が知れ 渡っていないのが実情の様です。

中部地区医師会会長の安里哲好先生からは随 筆を、てるや整形外科の照屋勉理事からは「親 睦囲碁大会参戦記!」と題して、石津靖先生か らは本の紹介を、さらに、稲福内科医院の稲福 徹也先生からは、開業末記を頂きました。厚 く御礼申し上げます。

今年の沖縄は、観測史上最も早く梅雨明けし たそうです。これから暑い夏を迎えますが、沖 縄県医師会員の皆様、体調にお気をつけてお過 ごし下さい。

広報委員 旭朝弘

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