沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 6月号

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編集後記

あの悪夢のような大震災から、早や三カ月が 経とうとしています。まるで第二次大戦後の焼 け野が原を彷彿させる東北地方・東海岸の壊滅 的な眺望は、自然の猛威の底知れぬ恐ろしさを 遺憾なく知らしめるものでした。それでも人間 が素晴らしいのは、全国津々浦々から、そして 世界の国々からも東北への支援が力強く繰り広 げられていることです。様々な支援の輪が展開 される中で、今回、沖縄県医師会が総力を挙げ て取り組んだ医療救護支援チームの活躍は、特 筆ものであります。取り分け、3 月11 日の大震 災発生の報を受け、直ちに医療救護支援チーム 派遣の必要性を県医師会に訴え、そして自らが 第1 陣のメンバーとして出陣された名桜大学・ 出口宝先生の篤志とその機転は、我々医療人の 鑑であります。また第4 陣で被災地に入られた 沖縄大学・山代寛先生の実にvivid な現地レポ ートは、県医師会内部の支援ムードを弥が上に も火をつける大きな役目を果たしました。お二 人の活躍に触発され、本誌でも「東日本大震災 医療支援」の特設コーナーを設置して、逐次、 派遣された医師の体験記を掲載しております が、今月は長嶺信夫先生と阿部好弘先生から2 題を頂いています。福島の原子力発電所の事故 が重畳し、東北復興のロードマップをより一 層、複雑・困難なものにしていますが、最早こ の緊急事態は東北一地方の問題ではなく、全国 民的な課題であり、我々一人一人に何ができる かを問われている様な気がします。

さて今月も本誌は盛り沢山の記事で満載で す。先ず3 月24 日に行われた沖縄県医師会定 例代議員会ですが、県医師会活動に係る平成 22 年度決算および平成23 年度予算の審議につ いては、滞りなく承認されました。諸々の細か い内訳は本文を参照頂きたいと思います。地区 医師会から上がりました代表質問は、県の国1) 保・健康増進課の暴走とも云える特定健診の取 り扱い、2)高点数を狙い撃ちにした保険診療指 導のあり方、3)医療ツーリズムやカジノ導入に ついての3 題で、何れも興味深い論議がなされ ています。次に、今年で3 回目を迎えた研修医 の歓迎レセプションは、県立、琉大、群星と3 つの研修プログラムに参加する新卒の研修医、 総勢122 人が一堂に会する盛大な企画で、仲井 眞知事も馳せ参じて、“臨床研修のメッカ沖縄” を大いにアピールして頂きました。

生涯教育コーナーは、石川清司先生の「縦隔 腫瘍−自験361 症例の臨床的検討」です。 ‘09 年に新規改定された規約に則って多数例に のぼる自験例の再評価を行っていますが、病型 や組織型が複雑な縦隔腫瘍を分かり易く解説さ れています。今回で第4 報となる藤田次郎先生 の「沖縄県喘息死0、および喘息発作による救 急受診0 を目指して」は、県内主要病院の呼吸 器科医による調査研究活動を総攬したもので、 吸入ステロイドの普及率の他、短時間型吸入β 刺激薬の問題、喘息死と診断される高齢者の問 題等々、幾つかの重要な問題点が浮き彫りにな りつつあるようです。

「若手コーナー」として掲載された南山病 院・譜久原朝和先生、辻下洋介先生の「全職員 でタバコをやめる」には仰天しました。精神病 院での禁煙実施は現実的に不可能だろうとい う、一般的な、或いは筆者の浅はかな先入観は 完璧に否定されました。全入院患者および全職 員450 人が禁煙を達成するまでの6 年の歳月 は、並大抵の苦労ではなかったと思いますが、 先ず医師が率先して禁煙し、次いで全職員が止 め、そして最後に患者まで推し進めるという戦 略はむべなるかなで、真に感服いたしました。

その他にも、今月の「月間(週間)行事コー ナー」には琉球大学の細川篤先生と名護皮ふ 科・金城浩邦先生に「ハンセン病を正しく理解 する週間に因んで」、米須歯科医院・米須敦子 先生に「歯の衛生週間に寄せて」、県福祉保健 部薬務疾病対策課・上里林課長に「薬物乱用の ない社会環境づくり目指して」をそれぞれ執筆 頂きました。また当山美容形成外科・當山護先 生からは「第37 回日本医学脱毛学会」の開催 報告を投稿して頂きました。厚く、お礼を申し 上げます。

広報担当理事 當銘正彦

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