去る3 月24 日(木)午後7 時30 分より沖縄 県医師会館(3F ホール)において、第193 回 定例代議員会が開催された。
まず、新垣代議員会議長より定足数の確認が 行われ、定数59 名に対し、41 名の出席が確認 された。
定款第34 条に定める過半数に達しており、 本代議員会が有効に成立した旨宣言された後、 新垣議長の提案でこの度の東日本大震災の犠牲 者に対し、黙祷が行われた。
続いて議事録署名人に那覇市医師会の喜納美 津男代議員、南部地区医師会の城間昇代議員が 指名された。
冒頭宮城会長から次のとおり挨拶があった。
挨 拶
○宮城会長
本日は、第193 回定 例代議員会を開催致し ましたところ、代議員 各位におかれましては、 年度末でご多忙の中を 枉げてご出席いただきまして衷心より厚く御礼申しあげます。
この度の東日本大震災において犠牲になられ た方々に対し心より哀悼の意を表すると共に、 寒い中避難生活を送っておられる方々に対しま しても心よりお見舞い申しあげます。
3 月11 日午後2 時46 分ごろ、マグニチュー ド9.0 を記録する地震が東北地方太平洋沖で発 生し、津波などの被害が拡大し、本日の正午現 在、死者9,700 人、行方不明者16,700 人を数 え、戦後最大の被害となっております。
私も11 日(金)に東京で会議があり電車の 中で地震に遭遇しました。幸いにも駅に停車し ていたため大事に至らずに済みましたが、その 後ホテルにも中々帰れず、なんとか辿り着いて も安全確認のため、チェックインも出来ずしば らく途方にくれておりました。ようやく夜11 時頃に宿泊出来るようになるものの、エレベー ターも停止していたため29 階まで階段で登る ことになり、登っている間も揺れは続いていま した。羽田空港も全便欠航で2 万人の方が空港 に泊まったとのことでした。翌12 日は幸いに も朝から私鉄が動いていたため、空港にたどり 着き沖縄に帰ることが出来ました。
そのような中、地震翌日の12 日(土)に玉 城副会長を中心に緊急会議を開催し本会の対応 について協議しております。協議の結果を受 け、週明けの14 日(月)に再度関係者が集ま り、翌15 日(火)に第1 陣の災害医療救助班6 名を派遣することを決定し、日医とも調整し岩 手県に赴くことになりました。これは非常に早 い派遣となっており、阪神大震災の際にボラン ティアで活動された先生方が多くいらっしゃっ たことから、その時の経験に基づき自己完結型 で進めるべく、医薬品、食品等約30 箱分の必 要品を全て自前で準備したうえで東京からレン タカーとガソリンを調達し岩手県大槌町に行っ ております。その第一陣が22 日に帰られ、活 動報告をされておりますが、大槌町は壊滅状態 となり今なお町民の多くの方が行方不明で、町 役場、消防署、県立病院なども全く機能してい ない中活動を行っていたとのことであります。 続く第2 陣は20 日(日)に出発しており、第3 陣は明日25 日(金)出発予定となっておりま す。第2 陣についても段ボール約70 箱分の物 資を持参しておりますが、その際には岩手県の 花巻空港から自衛隊の協力により荷物を運んで もらっています。
また、県医師会で会員各位に対しボランティ アを募集したところ医師が23 名、看護師が18 名、事務7 名の応募があり、現在のところ4 月 一杯の派遣を考えております。募金については 252 施設から1,062 万円あまりの申込みを頂い ており、会員各位の絶大なるご支援ご協力に対 し、深甚なる敬意と感謝の意を表する次第であ ります。なお、看護師と事務員についてはまだ 少し足りない状況でありますので引き続き募集 していきたいと考えております。
さて、政府は昨年6 月に「成長戦略」を閣議 決定し、その中で、医療・介護・健康関連産業 を、日本の成長牽引産業として明確に位置づけ ております。このため、医療の営利産業化に向 けた市場開放についての議論が、政府内で急速 に展開されています。また、本年6 月にはわが 国のTPP 参加の可否が判断されることになっ ておりますが、仮に、参加することに決まると、外国人医師の受け入れ拡大や病院が外資系にな る可能性があります。このことにより、外国人 医師給与の高額化や全額自費となる自由診療化 等の問題が発生し、世界に冠たる日本の医療制 度である「国民皆保険制度」の崩壊を招く事態 になりかねません。かかる状況に鑑み、全国各 地で「日本の医療を守るための国民運動」が展 開されております。本県においても、沖縄県医 療推進協議会が中心となって、来る31 日(木) に「日本の医療を守る沖縄県民集会」を開催す べく計画を進めておりましたが、この度の大震 災発生により、延期して改めて開催することに なりました。本件に関しても会員の先生方には 重々ご理解下さるようお願い申しあげます。
後程、平成23 年度の事業計画の中で、玉城 副会長から具体的に説明されますが、平成23 年度も「地域医療再生」を最重要課題と位置づ け、医療連携、臨床研修事業、医師確保対策等 をはじめ、諸事業を積極的に展開し地域医療の 充実・発展並びに医師会活動の活性化に繋げて いきたいと考えております。
医療を取りまく環境は依然厳しいものがあり ますが、役員一同一致団結して県民の医療を守 るべく、その職責を果たしたいと存じますの で、代議員の先生方、会員の先生方のご支援ご 協力をお願い申しあげる次第であります。
本日は、4 月からの会務運営に際する重要な 議案を上程させていただいています。慎重にご 審議いただき是非ご承認賜りますようお願い申 しあげ、私の挨拶とさせていただきます。
その後議事に移り、以下の議案について各担 当理事から説明され、全て原案通り承認された。
なお、第14 号議案 沖縄県医師会役員選任 規定改正の提案理由は下記のとおり。
現行の規程では、役員選挙における当選人の 決定は、第14 条に「有効投票の最多数の投票 を得た者をもって当選者とする」と規定されて いる。しかし、会務運営の総責任者となる会長 の選任に際しては、一定の信任が必要であると 思料するところである。従って、この度「会長 選挙の必要得票数」に関しては、有効投票の 1/2 以上の得票を得たものをもって当選者とす る条文を第15 条として追加し、以降の条文を 繰り下げることをご提案する。
その他、当代議員会における質疑の要旨は次 のとおりである。
1.代表及び個人質問
○砂川代議員
まず、質問に先立ち、 玉井理事にはこれまで 特定健診の難儀な交渉 をここまでやってこら れたことに関して心よ り感謝申し上げる。
本件は、去る3 月8 日付(沖医第1189 号 F)にて「通院中の方の特定健診への対応につ いて」とのことで沖縄県医師会より各地区医師 会特定健診担当理事あての文書であるが、この ことについて下記のとおりお伺いしたい。
特定健診については、沖縄県医師会主導で集 合契約をお願いしているが、今回、沖縄県国 保・健康増進課の「通院中の方の定期健診の対 応(案)」が、県医師会の了承なしに各市町村 が単独で各地区医師会や医療施設に本取り組み の提案を行うことは、沖縄県の特定健診集合契 約を根底から覆すことになり、沖縄県担当課及 び保険者への遺憾の意を表すべきだと考える。
二つめに、医療施設における特定健診では、 対象者自身が健診を希望するときに、受診者の 利便性を考えて一般診療と特定健診の同日実施 は良いことになっているが、今回の「通院患者 の特定健診の対応」は、ただ単に受診率を上げ るためだけに一般診療の検査結果を使用すると いうことになる。通院中の患者にとって、特定 健診を受診したという意識が薄く、特定健診の 意義が問われることになり疑問である。
以上に2 点についてご質問申し上げる。
回答(玉井理事)
3 月8 日付けで県医師 会から地区医師会へ出 した文書が関連資料に ある。この経緯に関して は、そもそも県国保・ 健康増進課から一度保 険者を交えての意見交換会がしたいと要望があったため2 月7 日に意 見交換会を行った。その際、通院中の方に関し てその方の了承を得た上で診療をしたときのデ ータを関連資料にある表に書き込んでもらい、 提出するときに文書提供料として1,000 円を支 給し、それによって特定健診を受けたことにす るという提案であった。
要は、特定健診の受診率を上げるために、通 院中の方のデータを指定の表に書き込んで提出 していただきたいということである。通院中の 方が全員特定健診を受けると60 %を超える受 診率になる。受診率を上げるための1 つの策で あるという印象があった。
2 月7 日の説明会において、私は3 つの懸念 を表明した。
1 つは、特定健診受託医療機関は、今、集合 契約が入っているが、その集合契約以外の医療 機関をその中に入れたいということであった が、この健診そのものの質的な担保ができない のではないかという点である。
文書提供料1,000 円や、項目用紙の書式もこ れは県医師会とすりあわせたものではない。こ の金額または書式ともこれでいいのかというこ とに関しては、今すぐ妥当とは言い難いという ことで懸念を表した。
また、通院中の方の対応と、健診のみを受け た場合とで扱いが違ってしまう。金額も違うとい うことになると、いわゆる特定健診の集合契約を 結んでいるが、その根底が揺らぐ可能性があると いうことで、県医師会も反対するとともに、保険 者も難色を示していた。そういうことから、まさ か地区医師会に出すとは思いもよらず、その後3 月の初旬になり、南部地区医師会の玉城清酬常 任理事から、これは一体どうなっているんだとい うご質問を直接頂いたことから、すぐに調査させ た次第である。この資料も実は南部地区医師会 からの提供を受けており本当に感謝している。
やはり県医師会との十分なすり合わせなしに こういったものが地区医師会に直接流れてきた ということ自体、非常に我々も警戒している。
さらに単価の設定や書式の設定のあり方、ま たは仕組みそのものも非常に特定健診の集合契約そのものの枠組みを崩しかねない、非常に危 険な暴走に近いやり方だと私は思っている。そ のような理由から、地区医師会でも慎重に考え ていただきたい。要は、あまり受けてほしくな いということであり、そういうことをはっきり 出す必要があると早急に判断して、3 月8 日付 けでこれを各地区の特定健診・特定保健指導担 当理事の皆さんに配付した次第である。
その後、事態がうまくいかないということ で、3 月18 日に県から説明に伺いたいというこ とであったため私も話を聞いたが、やはり健診 率を上げることについては、今後、後期高齢者 医療制度がどうなるかわからないが、それがペ ナルティに結びついていく可能性がまだあると いうことから、それに協力するということに関 しては、反対することではないが、その枠組 み、または健診を受診したというモチベーショ ンがない状態で受診者が健診を受けたことにな っていることは、正常なあり方ではないとの話 を申し上げてある。これに関しては差し戻しと して県ももう一度持ち帰って考え直すというこ とであるが、今後もこういうことに関しては慎 重に対応したいと考えている。地区医師会で何 か疑問な点があれば、すぐに県医師会にご連絡 いただければ、私のほうで調査して対応してい きたいと思う。今後とも特定健診の正常な発展 に対応していきたいと思っており、先生方の情 報提供をお待ちしている。
○中田代議員
玉井先生、本当に大 変なことだったと思う が、先生が非常に紳士 的なため、県行政のほ うが、地区で崩せば良 いという気持ちになっ たんじゃないかと思い、 ここで明らかに遺憾の 意を行政に対して示さないと大変なことが起こ らないかということが中部地区で話し合われ た。先生が非常に頑張っているのはよく存じ上 げているが、この代議員会で遺憾の意だということになれば、県行政はこんな事はしないだろ うと思い今回質問させていただいた。
○山里代議員
質問に入る前に、県 医師会の先生方にお礼 を申し上げたい。先ほ ど宮城会長から福島、 東北の地震・津波、そ れから原子力放射能の 被害についての活動の 報告があったが、実は 私の母校が福島県立医科大学であり、地震が起 こった直後からクラスメート、先輩・後輩と連 絡をとってはいるが、大変悲惨な状況が報告さ れている。全国から支援が始まっているが、一 番南の沖縄からいち早く支援の活動をとってく ださったことに対し、本当にお礼を申し上げた い。宮城会長、玉城副会長が先頭に立って、全 会員あげて支援をしていこうということで、大 変心強く思っている。
今後、長期化する可能性はあると思うが、ぜ ひ引き続きご支援をお願いしたい。
私の質問は、指導についてだが、実は昨年、 私も集団的個別指導を受け入れた。これは多 分、高点数を理由に、集団で個別指導の対象に なったと思っているが、その指導をきっかけに、 指導はどうなっているのか確認すべく九州厚生 局に資料の開示を求め資料を見た。特に個別指 導結果が従来までは、「概ねよろしい」という評 価を得た場合には次の指導は受けなくて、「高 点数であっても指導対象にはなりません」とい う状況だったと聞いているが、去年の個別指導 の結果を見ると「概ねよろしい」というのは1 件もない。ほとんどが「要経過観察」、または 「再指導」、それから「監査」という状況になっ ており、高点数を理由にした指導が本当に妥当 なのかと非常に疑問を感じたわけである。と言 うのは、私のほうは在宅医療支援診療所で、訪 問診療を中心に仕事をやっているのでどうして も高い点数になる。これは国が決めた点数でちゃんと仕事をやった結果、高点数になっている だけで特別なことをやっているわけではない。 そうなると、そういうことをやっている医療機 関は、毎年、指導対象にされるという心理的な 圧迫を感じながら医業をしなければならず、こ れは非常に問題ではないかと思っている。
それから、インターフェロンも使って肝炎の 治療をやっている消化器の専門の先生方も、恐 らくこういう高点数ということで、毎年指導の 対象に挙げられるんじゃないかというとこと で、診療を自粛させて委縮診療に追い込んでい くという手法に、どうもこの指導が使われてい るのではないかと思う。そのため、指導の在り 方について医師会として、もっと強力に改善さ せるように働きかけるべきではないかと思い質 問させていただく。
回答(平安理事)
今、お話を直接伺う と、若干ニュアンスが もっと深いところにあ るかと思うため、それ について補足というこ とでお答えしたい。
まず、この集団的個 別指導というのは、先 生がおっしゃるように医療費緊縮のための戦略 である。それは明白で、必然的に高点数になっ てしまう在宅医療を中心にやっている医療機関 は毎回入ってしまう。高点数イコール悪ではな いことは当たり前のようにわかるが、彼らは点 数で選別する以外に術がないということをいつ も持ち出してくる。それは指導大綱にのっとっ ているということをいつも言っている。
その指導大綱の見直しを要求すると、逆に指 導が厳しくなる可能性があるということで、こ れは慎重にやらざるを得ない。日医が次年度か ら取り組む攻略としては、集団的個別指導をま ず基本的には廃止したいということが大前提で ある。まずそのステップとして、集団的個別指 導の類型区分の見直しである。どの部分に自分 の医療機関が入っているかという情報が先ず無いことと、その区分自体の妥当性が今はおかし い。いろんな診療科が増えているので、これを 見直すべきだということである。
それと集団的個別指導そのものを行政のみが 行うのではなく、医師会のピアレビューをそれ に充てるとか、いろんな手法がとれないかとい う交渉である。
また、これが一番大事だが、集団的個別指導 の後、高点数が次から自動的に一般の個別にな ってしまうというシステムをまずやめてもらう よう厚生労働省に要望していく。運用面で改善 を図れないか、現実的なとっかかりとしてやっ ているようである。
当県においては、やはり高点数のところがす ぐ集団的個別指導の対象になってしまう。頑張 れば頑張るほどそういう高点数ということで、 必然的に選定の基準に入ってしまう。これは一 体どういうことなのかと問うと、厚生局側は 「きちんとしたことやっていれば、入っても困 ることないでしょう」ととんでもないことしか 言わない。本当に行政的な答弁だけで毎回すり 抜けられてしまうが、それでもめげずに彼らと 連絡会議を持つ毎に訴えている。最終的には上 からの指示がないので、私たちで判断できない という、そういった答弁で逃げられてしまう。
ご存じだと思うが、近畿厚生局は、選定理 由、平均点、自分の医療機関がどの類型区分に 入っているかということも情報提供するという ことである。なぜこれがほかの地区でできない か働きかけるのだが、これは厚生労働省の指示 ではないということである。近畿厚生局が独自 の判断でやっているということで、それがなか なか地区ごとに広がっていかない。この辺はぜ ひ日医等が強く厚生労働省に広げていくような 働きかけをするよう、九医連等にも要望してい るところである。
指導全般に対して当会としてやっていること は、医師会報での特集を組んだり、保険勉強会 をやらせて頂いたり、新規の医療機関に対して は、個別に事前勉強会を持たせて頂いたり、一 般の個別を受ける医療機関に関しても、個別の 相談を受けさせて頂いている。
○長嶺代議員
日医及び全国の病院 関係者を含めて、これ までの政府の動きに対 して大変な危機感を持 っておられると思う。
その中において沖縄 県の動きを新聞なりで 感じているが、どうもは っきりした意思が国民、県民にわからない。ま してや医師会の人たちもどういう対応をしてい るかわからない。場合によっては容認している、 黙認していると捉えられかねないような対応で ある。もし、日医や病院団体が、それなりのは っきりした意思表示をしているのであれば、県 医師会としてもいろいろな会議に参加もしてい るだろうが、もっと県民にもわかりやすく意思 表示をするべきではないかと思い提案している。
2 つ目の沖縄県のカジノ問題も、長い間言わ れている。県医師会、医療関係者が具体的にど う考えているかということは、私は聞いたこと が無い。
私も沖縄県が観光産業で伸びるのは非常にい いことだと思っているが、どうも物質文明的な 考え方で、あるいは観光や建設業界が目の前の 金を入れんがための動きではないかとの思いも ある。皆さんご存じのように、県内の婦人団体 は、ほとんどこぞってこの制度に反対してい る。僕もアメリカでカジノを見たことがある が、どうもカジノがあると教育、あるいは犯罪 との関係もある。非常に懸念するのはそういう ことによって、その地域の周辺において、単な る犯罪だけでは無く、売春婦等がそのあたり一 帯に増えることも考えられる。カジノの中はパ スポートを持っている外国人のみ入場可能と し、県民が利用できないようにすればいいので はないかという短絡的な考え以外に、沖縄のい わゆる精神文明を求めて、癒しの地域を求めて くる人たちにとって、沖縄の良い面が失われて いくんじゃないかという気がする。これは私の個人的な考えである。
いずれにしてもそういう問題に関して、医療 を担当している県医師会が具体的にどういうふ うに方向性をもっていくかということについ て、しっかりした討議をする必要があるのでは ないかと思い提案した。
1.医療ツーリズムについて
回答(安里常任理事)
医師会の回答として 資料に記載しているが 条文に関しては、これ までの日本医師会の考 え方を述べている。平 成22 年6 月9 日の定例 記者会見においての話 だが、医療ツーリズム が混合診療の全面解禁の後押しとなり、国民皆 保険の崩壊につながるとして反対の姿勢を明確 にしている。その後、各都道府県にアンケート をとっている。その点に関しても、各県明らか に反対しているところは28 件、どちらかとい うと反対というのが6 件、中立が7 件、コメン トなしが6 件。こういう背景の中で日医は常に 反対を言い続けている。
反対する理由は、「混合診療の全面解禁につ ながる」、「国民皆保険の衰退を招く」、「地域医 療の崩壊を招く」この3 つが主な理由である。
一方、沖縄県医師会の現在の考えを申しあげ ると、平成22 年8 月11 日に沖縄県福祉保健部の 連絡会議では、県の新たな沖縄振興における制 度提言として、医療特区制度の導入についての 提案を考えており、沖縄県医師会の意見を要望 された。そのときは時期尚早であるという意見を 出している。時期尚早で引き下がらなかったら、 反対というところまで意思の統一をしていた。
一方、琉球大学や複数の医療機関等が参加 し、「沖縄ウェルネス産業研究会」を立ち上げ、 県行政に答申している。さらに県は沖縄を「世 界に開かれた交流と共生の島」と位置づけ、加 えて平成23 年度に外国人観光客30 万人を目標 としている。その一環として、観光商工部が医 療ツーリズム促進事業を考えており、医療ツー リズム成長戦略委員会の委員としての要請が県 医師会にあり派遣することになった。その際の 県医師会の立場として、外国人観光客の発病・ 急変事への対応をあげた。100 万人ともなる と、毎日3,000 人ぐらいの観光客が来られ、高 齢の方々もおられることから、何らかの急変は 起こってくると思う。そのときの適切な対応が できるような背景づくりを一番最初に考えた。
2 点目に外国人医療従事者の研修・教育であ る。これはほとんど大学や中部病院等で現在も 行われているが、そういったものを充実できる ような背景づくりを考えた。
3 点目は外国人の人間ドックである。自由診 療等は容認することを確認し委員会に参加する ことになった。いろいろ意見があったが、人間 ドックの範疇において容認することを確認して 委員会に参加することにした。
今後は、混合診療の進展につながらないよ う、また、国民皆保険制度や地域医療の基盤を 揺るがすことがないよう、日本医師会と整合性 を図りつつ、さらには地区医師会との密なる連 携をとり、県下の医療ツーリズムの動向を注視 していきたい。
2.沖縄県内へのカジノ導入について
回答(真栄田常任理事)
沖縄県内のカジノ導 入について確かに賛否 両論あるが、まだ県医 師会としては、正確に そのことを把握して検 討するまでには至って いない。理事会で一部 懇談事項としての協議 をしているが、まだまだこれからいろんな条件 が出てくるものと思われる。
精神科領域の面等、様々な話は聞いており、 すべて含めて検討していく必要があるとして、理 事会としてはいまだ検討していない状況である。