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歯は大切だ!

那覇市医師会久茂地斑
当山美容形成外科 當山 護

うちの親父が若い頃、口癖のように私に諭し ていた。

「金欲」「出世欲」「名誉欲」「性欲」欲望は 数々あれど「食欲」には勝てないものだ。

だから常に歯は大切にしなければならない ぞ!「毎日、歯を磨きなさい」

幼い頃云われ続けてはいたが、面倒がり屋の 私は虫歯になったら歯医者さんへ行けば良 い・・・などノンキに過ごしていた。

50 才を過ぎた頃からあっちこっちの歯が痛 み出し、大道の高良正勝君の元へ通い出した。 彼は同級生だからだ。

然し遠方なので予約を取っても虫歯治療に半 日をつぶしてしまう。

うちのカミさんがお隣のタマキ歯科に通い出 した。

評判を聞くと良いお医者様らしい。

その後、私もちょくちょく治療をしてもらっ ていたが・・・。

僕の歯を治療中のタマキ歯科の先生。
「定期的にチェックしに来て下さい」と云われたので「ハイ」と答えた。

うちの親父が年取ってしまった。

診察室の横の部屋でほとんど寝たきりの生活 となってしまったが・・・。

ある日突然、親父の入れ歯が入らなくなった。

はめようとすると痛がるのである。

どうやら親父も若い時から歯を大切にしなか ったようであり、似たもの親子である。

親父を歯医者に連れて行く訳にはいかなか った。

やむなくお隣の玉城生夫先生に電話を入れた。

最初は歯科衛生士の方が飛んで来てくれ、口 腔内の状況を玉城先生に報告した。

その後、先生は沢山の歯科道具を持って来家 された。

何回かの型合せ(?)の結果、出来上がった 親父の入れ歯は立派だった。

あの巨大な象さんも歯がなくなると象生は終 了との事だったが・・・。

うちの親父はこれからきっと長生きをするか も知れない。

僕は耳元でささやいた「歯は大切にするのだ ぞ、親父殿」

親父を治療中の玉城先生の写真を以下に掲載 して頂く。

過日、私の歯の治療に「タマキ歯科」をお訪 ねした時、先生に性懲りもなくご質問した幾つ かの項目もついでに載せていただく。

歯を大切にしない困った親子のお話しと、そ の治療の為に汗水流して下さったタマキ歯科の 皆様に感謝しつつ旧年を過し新年が明けた。

<Let’s economize on our teeth>

I have a toothache, I went to Tamaki dentist, nearby.
I was feeling throbbing pain when eating since the end of last year, Dr Tamaki is a good friend.
He’s kind sometimes and come to my home and takes care of my father’s teeth.
Thank you very much for his help.
My tooth has a cavity, too.
The reason will be because I did not take good care of my teeth.
The treatment was not painfull but doctor said to come for a check regularly.
Delicious dishes will be eaten again from tomorrow.

1)歯科医師会では訪問歯科診療に関し、積極 的な取組みがあるのでしょうか?

(回答)沖縄県歯科医師会では平成18 年度より 在宅歯科診療研修会を4 回コースで開催し、 歯科医師・歯科衛生士の訪問歯科診療につい ての研鑽に協力しています。

今年度は地域医療再生事業において、在宅 歯科支援事業を開催しています。

中南部・北部・宮古・八重山地区の4 ヵ所 において研修事業を開催しております。

また在宅歯科治療器材整備事業でポータブ ルユニットやポータブルレントゲンを購入 し、各地区において貸与出来る環境整備を行 っています。

患者さんと医療機関を結ぶシステムとして 在宅歯科支援センターの開設に向けて準備を しています。

我が家に来て下さり、石膏(?)で型をとって下さるスタ ッフと玉城先生。
親父の顔も「?」である。

型をはめて「石膏が固まる迄動かないで下さい」
親父はすぐ動こうとする。
何回もやり直しをした。「あ〜あ〜あ〜」親父はうなった。

2)訪問歯科診療に関し、難しい点など特にあ りましたらお伺いさせて下さい。

(回答)1.医療機関として問題点

  • 1)診療所の80 %以上が歯科医師1 人で運営 されている為、訪問診療に出て行くにはそ の時間は診療所を閉じなければならない。
    (訪問診療に対する時間の調整)
  • 2)臨床歯科医師の多くは、在宅医療や要介護 高齢者の治療に対する経験が少ない。
  • 3)現在の訪問歯科診療に対する診療報酬体系 が十分位置づけされていない。
    (診療に対する評価は勿論であるが、特に 移動に対する時間の問題や診療前後の準備 時間等診療以外の時間に評価がない)

最終段階である。
玉城先生「入れ歯の具合はどうですか?どこか痛くはあり ませんか?」
親父「うん」とうなずく。

あれから6ヵ月、入れ歯は快調であり、食欲もすすむ。親 父さん人生は最後に「食欲ですネ」親父は「当たり前だ」と 答えた。

2.受入側の問題点

  • 1)歯科治療に対して割と安易に考えている点 がある。(すぐ抜歯が出来る。すぐ入れ歯 ができる等)
  • 2)現場における難しさでは診療所の設備と大 きな違いがある為、満足のいく治療が出来 ない。(室内の照度やスペースの問題、器 材の問題)
  • 3)他職種との連携する事の難しさ。(緊急時 や全身的な疾患を抱えている為に観血処置 などに対する後方支援との連携)
  • 4)介護保険か健康保険かの事務手続きの煩雑 さ等が挙げられます。

3)現代は高齢化社会になっており、各家庭や 施設でも歯科の悩みについて困っている 方々も多いと思いますが、患者さん方から お願いするとすれば歯科医師の皆様側へど のような連絡方法がありますか。夜間の歯 痛など動けない方々に対する対策等につい ても合せお教え下さい。

(回答)本来なら一番先に考えられる事はその 患者さんの口の中を一番よく知っている先 生、すなわち以前通っていた、かかりつけ歯 科医院の先生にご相談するのが一番望ましい と考えます。夜間は診療している歯科医院は ありませんので緊急であれば救急病院に連絡 して下さい。しかしながら訪問診療はありま せん。

記載したように地域医療再生事業の一貫で 沖縄県歯科医師会では平成22 年度に在宅歯 科支援センターを開設いたします。

支援センターの役割としては、患者さん等 からの問い合せにより、16km 以内の在宅支 援歯科協力医を検索し、それにより在宅歯科 協力医を紹介できるシステムになります。

又、後方支援としての病院歯科との連携を 図ることで、リスクの高い患者さんに対する観 血処置などを行えるよう調整を行っています。

他に訪問看護協会や介護支援(ケアマネー ジャー)等との連絡会を開催する事により、 より医療連携が行えるよう積極的に行う予定 です。

4)その他、訪問歯科診療について(医師や一 般家庭向け)助言あるお言葉を頂けたらと 思います。

(回答)患者さんの元に出向いて、何が必要な のかを確認する事が大事です。

在宅の患者さんにとって、まずは口が開け られるかが問題です。開口できないのであれ ば最初に行うのは咀嚼筋を始めとする、表情 筋の緩和と口腔ケアによる口腔内の環境整備 から始めていく。

それであればポータブルユニットでなくて も、携帯用のエンジンがあればなんとかなる かと思います。

開口でき意思の疎通ができてから歯科治療 を行っても遅くはないと考えています。

  • 1)はじめに、通院が困難な理由をお知らせ下 さい。
  • 2)要介護認定の区分をお知らせ下さい。ケア マネージャーさんとの連携が必要になるの で連絡先をお教え下さい。
  • 3)どのような保険証を持っているかお知らせ 下さい。
  • 4)キー・パーソンは誰であるか教えて下さ い。
  • 5)どこまで治療したら良いかお考え下さい。

まだまだ、沢山あるかと思いますが。以上ま とめてみました。

質問者:當山護、回答して下さったのは玉城生夫先生です。

本原稿を受領したのは當山堅次先生がお元気 な1 月中旬ですが、2 月8 日未明、先生はご逝 去されました。

ご冥福をお祈り申し上げます。 (広報委員一同)