常任理事 真栄田 篤彦
去る10 月29 日(木)、県医師会館において 標記会議が開催されたのでその概要について報 告する。
冒頭、宮城信雄会長から下記のとおり挨拶が あった。
挨 拶
沖縄県医師会長 宮城信雄
平成21 年度の第2 回 地区医師会長会議を開 催したところ、大変お忙 しい中をご出席頂きあ りがとうございます。平 素は医師会の事業推進 のため各地区医師会長 はじめ役員の皆様方には各種委員会の出席や諸 業務について、多大なるご協力を頂いているこ とに対し感謝申し上げます。
さて、去る8 月30 日に総選挙があり、その 結果政権交代が行われました。新しい鳩山政権 が誕生し、2 ヵ月足らずでありますが既に色々 な問題が出てきております。前政権が景気対策 を行うために作った15 兆円近い補正予算の内、 緊急を要しないものから3 兆円ほど削除してお ります。一方来年度の予算では概算要求が95 兆円に達していますが、景気がこれだけ停滞し ている中、税収は40 兆円を切るだろうと言わ れています。
また、概算要求には項目だけあげて金額を示 していないものが沢山あります。診療報酬を引 き上げるとマニフェストに書いてあるにも関わ らず、その引き上げの金額は全く入れていませ ん。そういう金額を入れていない状態でも95 兆円という概算要求となっています。それを削 ってきて、はたして90 兆円以下に抑えること が出来るかどうか、現政権の手腕が問われると ころであります。収入が40 兆円を切り、予算 が90 兆円となると50 兆円ほど足りないことに なりますが、鳩山総理は早くも赤字国債で埋め ることを匂わせております。自民党が赤字国債 を出していることに対し、非常に厳しい批判を して、「このような政治、予算運営の仕方、国の運営の仕方はもう止めようではないか、赤字 国債を出して子供達にそのツケを回すことはも う止めようではないか」ということから政権が 変わったはずでありますが、政権が変わった途 端に赤字国債もやむを得ないのではないかとの 発言が出てくるほど、現実は厳しいものであり ます。
特に医療に関して言えば、2,200 億円の機械 的削減は撤廃されております。ただレセプトオ ンライン化については、自民党政権の中で水面 下で話し合われてたことが、ただ表に出てきた だけであって、手あげ方式等という話は全く出 てきていません。そういう意味では、現場の中 から裏切られたという意見が強いのではないか と思っております。
更に医師会にとって非常に大きな問題は、中 医協の委員が医師会の推薦がゼロになったこと であります。日医はなんとか推薦枠を確保しよ うと政権政党をあまり批判せずにきました。も し日医枠がゼロになった場合は声明を出すと言 っていますが、どういった声明が出されたの か、あるいは出されるのか聞いてはおりませ ん。ただ、報復人事だという発言はしておりま した。政権が変わったら医師会を完全に無視し ていくというやり方は問題があるのでは無いか という気がします。沖縄では政権交代というの は野党、与党が大体8 年置きに交代しておりま したので、それに対する対応は沖縄の方が慣れ ておりますが、国の政権が変わったことは初め てであることから、残念ながら日医の執行部も 身動きが取れないというか大きな動きが取れて いない状況です。本日は那覇市医師会から次回 の日医会長選はどうなるのか、あるいは医師連 盟はどうなるのか等といったご質問があります ので、後ほどご回答申し上げます。また、イン フルエンザでは第2 波が沖縄を襲ってきており ますが、第1 波の時に行政、県医師会、大学、 県立病院等々で医療人が総力をあげて協力しな がら対策に取り組みました。その結果、数名の 犠牲者を出したものの大きな問題には至らずに 済んでおります。
本件については、沖縄県が先行県として沖縄 でのインフルエンザ対策が県庁を通して厚労省 に報告され、国の基本的な政策に繋げられてお ります。
本日は、各地区医師会より様々な議題が出さ れておりますので、ご議論いただき今後の医師 会の運営・活動の参考にして頂きますようお願 いいたします。
議 題
大城修会長
<提案要旨>
地域社会で行われる 諸々の行事に医師会員 が、色々な名目で依頼 を受け、医師としての知 識技術労務の提供を求 められる事が多々ある。
嘱託契約した公立学校医の学校マラソン大会 への出動、福祉施設の嘱託医、任意団体の敬老 会の救護医、ツールドおきなわ、各地のトライ アスロン、児童トライアスロン、ムーンライト マラソン、体育協会運動会、○○祭りの救護、 これらの行事に於ける医師の責任義務範囲はど のように解釈されるのか?契約文は必要か、又 それの効力は?
救護機器や医薬品の持参も要求されることも ありますが、どう対処するのがいいか?その費 用は誰が支払うか?医師の負担?
依頼する側には医師会が当然提供するものだ と、ばかりの考えがあるようにも感じられる。
各地区いかがお考えで、どう対応しているの か伺いたい。
<県医師会回答>
各種イベントへの医師派遣はその主催が公的 なものである場合問題は少ないと思われるが、 主催が任意の団体であった場合にはその対応に 苦慮するものと思われる。任意の団体からの医 師派遣に対して沖縄県医師会が直接対応したり、地区医師会に斡旋する事は原則的に考えら れないが、任意の団体から直接地区医師会に協 力依頼を行う事は充分考えられるし、これまで も地区医師会では個別に対応してきたものと思 われる。
この様な任意の団体からの医療協力要請に関 しては、ご指摘の様に何かトラブルが発生した 場合の責任の所在や医療材料の調達などに関し て議論はほとんど行われてこなかった。しかし、 今後様々なイベントに対して医療協力要請は増 加していく事が予想され、その現場における責 任の所在をうやむやに放置すれば、いずれ会員 に不利益な事態に発展する可能性がある。今後 この様な事態に発展しない為にも、顧問弁護士 などの意見も踏まえ何らかの事前申し合わせの 内容を整備する必要があるものと思われる。
<各地区回答>
○中部地区医師会
呉屋五十六常任理事
おきなわマラソンに 医師派遣している。担 当する医療機関が医薬 品を持って行き、使っ た分を終了後に請求し ている。また、学校医 については、学校側か らの要望が大きすぎるとのことから、平成20 年4 月に事前に打合せして欲しい旨申し入れし ている。これで全て解決するわけではないが、 各病院が医薬品を持って行き精算している。
○浦添市医師会
山内英樹会長
大きな行事はない。 ヤクルトキャンプやオ ープン戦に派遣してい る。今まであまり検討 していない。これまで 団体が医師会を通して 依頼しているが、今後 整備していきたい。
○那覇市医師会
かなりイベントがあり、救護班の派遣依頼が ある。応召義務の一つとして対応している。薬 品は持っていったことはない。救急患者が出た ら救急車を呼び搬送している。法的なことは検 討したことはない。最近、各学校等公的な場所 にAED が設置されているので会員の訓練が必 要になってくると考えている。
○南部地区医師会
できるだけ対応するようにしているが、どこ まで現場で対応出来るか会員も不安を感じてい る。救急車に待機してもらい、現場では処置は それほどしていないように市町村に要請してい る。責任問題等が伴うと思うので、弁護士を通 して検討しておきたい。
○宮古地区医師会
原則として公的団体の依頼を受け付けている が、任意団体の依頼には対応していない。トラ イアスロンは特別である。市長が医師会員であ ったことから、医師会員が医療救護部長に指名 されている。医療救護部長を中心に医療班を結 成してその日一日ボランティアでやっている。 県立宮古病院に勤務したことのある医師(本 島・本土にも)に呼びかけて20 数名来ていた だいている。旅費と宿泊費は支払われるがボラ ンティアである。18 回大会に溺死者が出たと き、海上保安庁からボランティアが書類送検さ れたことがある。医療救護部長がそれはおかし いと抗議して署名集めて取り下げさせた。任意 団体から1 週間前に依頼がきたりするが、学校 からもそういうことが多かった。学校の駅伝大 会には、3 時間最後尾をついて回っていたが、 養護教諭を集めて医師なしで活動できるように 変更した。法的なことは大事なことであり、検 討したい。
○八重山地区医師会
上原秀政会長
大きなイベントでは、 石垣島マラソンとトラ イアスロン大会がある。 マラソン大会には市か ら依頼がある。会員に 広報して5 〜 6 名をボ ランティアでお願いしている。トライアスロンは、宮古地区医師会が 一生懸命やっているので、主催者は医師会が派 遣して当然と思っている節がある。八重山では そこまで出来ないと考えている。来年からやら ないといけないかなと考えるが、ボランティア なので宮古地区からアドバイス受けていきた い。しかし、そこまでやる必要があるのかとい う疑問もある。附属する訴訟も常に念頭に置か なくてはならないと考えている。
○宮古地区医師会
宮古(18 時間)と八重山(4 時間)では時間 が違う。重症が県立宮古病院に全て行くと宮古 病院が通常の業務の対応ができなくなる。そこ で、トライアスロンの患者用にベットを別に設 置して対応している。以前、県立宮古病院がパ ンクしたことがあり、一般の重症患者の対応に 支障がでたので、現在は県立宮古病院の外で診 る体制を取っている。
○国療沖縄公務員医師会
石川清司会長
筋ジストロフィーの 患者さんから依頼があ る。特別支援学校から 一月前に文書で依頼が ある。できるだけ対応 しているが、特別な取 り決めはしていない。
○琉球大学医師会
太田孝男理事
医局別に対応してい る。小児科の場合は完 全ボランティアで対応 している。
○那覇市立病院医師会
川野幸志会長
那覇市から依頼があ る。大きなものは那覇 マラソンで、本部に医 師・看護師等で15 名く らいを派遣している。 AED と点滴をしても収 まらないものは救急で搬送している。20 年間 その体制でやっている。それ以外の那覇市から の要請があれば派遣する。契約のことは把握し ていない。
○北部地区医師会
医師の日当の上限を県医師会で決めていただ けないか。手を上げる人がなかなかいない。
◆宮城会長
各地区ともできるかぎり依頼があればできる だけ対応しているが、法的なことは曖昧になっ ているようである。医師会として顧問弁護士と 相談して早急に検討した方がよいと感じたの で、雛形をつくって地区に提供したい。早めに やっていく必要があると思う。
金額についても、統一した方がよいと思う が、宮古のようにボランティアでやっていると ころもあれば、南部のようにある程度金額決め てやっているところもある。全県統一は難しい かも知れないが検討していきたい。
友寄英毅会長
<提案要旨>
革命の時代を思わせ る政権交代が起こった が、日本医師会が現政 府に対してどのような スタンスで向き合って いくかという姿勢が唐 澤会長のお話を聞く限り医師会会員に全く伝わ ってこないのが現状である。今後の医療政策の あり方について、その現場を担う当事者とし て、また学術団体としての日本医師会ひいては 沖縄県医師会が、今後も積極的に政府、与党に 提言していくことは大変重要と考える。
<県医師会回答>
宮城会長より去る10 月20 日(火)に開催さ れた日本医師連盟執行委員会、10月25日(日) の日本医師会臨時代議員会の審議内容を基に、 新政権発足後の日本医師会や日本医師連盟の対応について説明があった。
名嘉勝男会長
<提案要旨>
去る9 月28 日に南部 市町村会より城間会長 (南風原町)をはじめ7 名の関係者が本会に来 所され、南部市町村の 厳しい財政事情を強い られている状況から委託料金の減額改定とロス ワクチン請求契約削除の要請を受け、本会と市 町村会との話し合いが持たれました。
本会は、三役会、理事会等で慎重審議を重 ね、委託料金については、これまでの市町村と の委託契約の経過を踏まえ、要請金額3,300 円 に対し、例年同様4,000 円を提示致しました。 これに対し、市町村会側は本会の意向に理解を 示し例年同様4,000 円で締結することに決まり ました。
今年度の委託契約からは、ロスワクチン請求 については県内他地区との統一化を図り、ロス ワクチン請求に関する内容は削除され、その他 については例年同様に委託契約を締結します。
他地区医師会におかれまして、料金改定問 題等について取り上げられているかご教示願い たい。
各地区事情はあると思うが、地区医師会とし て統一できたらいいと考えているが、いかがか?
<各地区回答>
○北部地区医師会
各市町村から要請があったが、他の地区の状 況も聞いて4,000 円で決まった。
○中部地区医師会
管内市町村は値下げの要望あると思うが、地 区には話はきていない。ロスワクチンには触れ ていない。相互乗り入れは、那覇市医師会とは やっていない。那覇が上げるのを待っている。
○浦添地区医師会
市からは特に要望はきていない。4,000 円で 契約した。今後、そういうことは想定されるの で、医師会である程度の見解は統一できたらい いと思う。ロスワクチンには触れていない。
○那覇市医師会
那覇市の料金が安いことで他地区に迷惑かけ ている。インフルエンザの説明会のとき、小児 科の会員からできるだけ安くやりたいとの意見 があった。そういう状況なので市とは3,300 円 と事務手数料200 円で契約している。老健は 2,000 円である。新型インフルエンザは3,600 円なので、季節性インフルエンザのようにすぐ に200 円取れないのではと考えている。予防接 種担当者は懸命に市と交渉しているがやっと 300 円上がった。
○宮古地区医師会
宮古島市は、65 歳以上の季節性インフルエ ンザは自己負担1,000 円、市の補助が1,000 円。新型インフルエンザについては、感染拡大 防止のためということで小・中学校の接種が集 団から個別になった。今まで無料でやっていた ので、個別も無料になり、市の補助を2,000 円 にしてもらった。会員から小学生は大変なんだ よとお叱りを受けた。市町村の財政事情に左右 される。ロスワクチンは請求していない。
○八重山地区医師会
3,800 円で契約している。1,000 円自己負担。 そのほかの予防接種は、集団はなく全て個別で やっており、自由診療なので各自決めている。 医師会で大枠を決めようという話があったが、 やらないことになった。
◆宮城会長
ワクチンの接種料金を決めるときの考え方が ある。診察料・手技料等を含めていくと、診療 報酬上でいくと7,000 円〜 8,000 円になる。そ れが基本になる。実際にそれぐらいでやってい る地域もある。もう一つは、市町村は、ワクチ ンメーカーから値上げがあったら無条件でのん でいる。しかし、予防接種料、手技料となると 非常に抵抗ある。道路の舗装を少し短くするだけで、ワクチンの補助はすぐ出てくる。そうい う観点から各地区は交渉すべきであろうと考え る。それぞれ事情があると思うが、あまり低い 状況で契約すると足並みが乱れて相互乗り入れ が難しくなるので、できれば各地区統一したほ うがよいと考える。
池村眞会長
<提案要旨>
特に宮古、八重山離 島医療にかかる25 億円 について経過を教えて いただきたい。一部報 道で凍結、削減が聞こ えているが経緯がわか っていれば教えていただきたい。
宮古では、今回の基金は県立宮古病院に使お うと合意している。県から意見を聞かれたら、 宮古・八重山は削らないよう要望していただき たい。
<県医師会コメント>
地域医療再生臨時特例交付金(地域医療再 生基金)については、これまで、100 億円程度 の地域医療再生計画について10 地域、25 億円 程度の地域医療再生計画について84 地域を対 象とすることを予定していた。
しかし、平成21 年度第1 次補正予算の執行の 見直しについて閣議決定が行われ、地域医療再 生臨時特例交付金(地域医療再生基金)につい ては、100 億円程度の地域医療再生計画を取り 止め、750 億円を執行停止とすることになった。
これにより、25 億円程度の地域医療再生計 画の対象地域を94 地域とし、各都道府県で2 地域ずつを対象とする予定としている。
なお、今回の見直しにおいては、次期診療報 酬改定において十分に地域医療に資する対応を 行うことを前提とすることとしている。
また、今後のスケジュール等について、下記 のとおり変更が生じている。
<今後のスケジュール等>
11 月6 日(金)地域医療再生計画(案)の提出期限
12 月中旬 国に設置する有識者による協議会の開催
12 月中旬 都道府県に対する交付金の額の内示
1 月8 日(金) 交付金の交付申請期限
1 月中 都道府県に対する交付金の交付決定
残念ながら県立宮古病院の新築の事業は入っ ていない。これは別の事業である。100 億は、 地域の病院の再編に使うのは全て削られたの で、全国どこからもでてこない。宮古・八重山 で25 億、北部で25 億となっている。宮古・八 重山をセットにした形の離島の地域医療再生と なっている。北部と宮古・八重山は、放射線機 器を持っていないのでがん拠点病院に指定され ていないが、準がん拠点病院として地域におけ る役割として整備していく。県医師会でも話さ れた地域医療の連携、遠隔医療・画像診断とか も盛り込んで地域医療を支えていくことになっ ている。北部保健医療圏の都道府県単位の事業 の中に、医療に携わる人たち(医師・看護師 等)をサポートするものとして、シミュレーシ ョンセンターと琉大に委託するための寄付講座 を作るという予算配分になっている。
病院建築のための予算は、別の基金で計画さ れているので今回の予定には入っていない。
<各地区回答>
○宮古地区医師会
宮古地区は、県立宮古病院が何とかならない と地域医療再生の何もない。建物そのものの費 用でなく、機能に関するもの費用は認められな いのか。
◆宮城会長
各地区にアンケート取った。予算には、アン ケートの結果も含まれている。当初、補正予算 で3,100 億円、10 医療圏は100 億、84 医療圏 は30 億であった。都道府県で2 医療圏は必ず入れてもらうようにするということで94 箇所 になり、全都道府県に2 医療圏ずつとなった。 医療圏を増やした時に30 億を25 億にした。し かし、無駄削減ということで100 億が削られ た。その後の変更はきていないが、日程がずれ ていくにしたがって削られるものがでてくるの ではないか。
政権交代による補正予算の変更の影響でかな りずれていて、12 月末に決まるようである。宮 古・八重山を支える、離島医療を作るシステム を県全体としての事業として書き込まれている はずである。がん対策も入っている。
本計画は、人を育てることに重点がおかれて いる。
<提案要旨>
新型インフルエンザ対策では沖縄県医師会は いろいろ中心的に活動されていますが、これま での県医師会の新型インフルエンザ対策に関す る総括と今後の具体的な取り組みがあれば教え てください。
<県医師会回答>
はじめに、これまでの新型インフルエンザ対 策に関する経過について報告する。
本会では、厚労省が新型インフルエンザ発生 を宣言した4 月28 日、県新型インフルエンザ 対策本部及び地区医師会感染症担当理事を招集 し緊急会議を開催し、新型インフルエンザに係 る今後の情報の連携体制並びに指示系統につい て確認を行うともに、県並びに各医師会が迅速 に連絡し合うためのメーリングリストを作成 し、今後の対応に備えた。
6 月29 日に沖縄県(中部地区)で新型イン フルエンザ患者が1 名発生し、各医療圏におい ても発熱外来等の医療提供体制に係る調整会議 が随時開催されている。
8 月15 日、流行の中心であった中部地区で 国内第1 号となる死亡例が発生した。それに合 わせ、県新型インフルエンザ対策本部より本会 に対し、検査診断ではなく臨床診断によるタミ フル投与を奨励する旨の通知が出され、本会か ら各地区医師会に対し取り急ぎ通知を行った。
8 月19 日、本県にインフルエンザ流行警報 (定点29.60、翌週46.00)が発令された。那覇 市立病院等の夜間、休日の救急だけでは対応が 困難となっていることから、県から本会に対し、 各医療機関においても時間外診療を実施してい ただきたい旨の依頼が届いた。本依頼を受け、 本会から8 月25 日付けで各地区医師会宛に、時 間外・休日の輪番制運用の依頼を通達した。結 果、県内28 の医療機関に手上げいただいた。
9 月8 日、沖縄県から、定点あたりの報告数 がピーク時の半数(22.60)となったことから、 時間外診療体制を一先ず休止することについて 調整があった。
9 月15 日、本県において2 人目の死亡例が発 生した。同日、県新型インフルエンザ対策本部 長(知事)と救急病院管理者による第2 波に向 けての話し合いがもたれた。
以上が、これまでの経過の概要となる。
次いで、沖縄県の医療提供体制とその他の問 題点について報告する。
本県では、各地区で医療体制と流行状況が異 なっていた。
北部地区では、二つの救急病院で発熱外来を 対応し、会員が輪番制で北部地区医師会病院へ 応援を行っていた。
中部地区では、定点が46 を超えた時点では 流行のピークは過ぎており、時間外診療は救急 病院で対応可能となっていた。また、軽症は診 療所、入院は救急病院、対応できない重傷例は 県立中部病院等、役割分担がピラミッド化され ていた。
南部地区では、14 の救急病院で対応してい たが、夜間の救急が2 病院に集中し、対応困難 となる時期があった。昼間の対応については、 中部地区同様、診療所と病院とで役割分担が明 確化されていた。
宮古、八重山地区では、各県立病院で対応が 行われていた。
本会においては、年4 回マスコミとの懇談会 を行っており、今年は5 月と9 月に新型インフ ルエンザをテーマに取り上げ、うがい・手洗い の具体的な方法や新型インフルエンザに係る正 しい知識とパニックならないような報道のお願 いをした。
診療・治療に関する問題点として、重症例の ほとんどがタミフルの処方が48 時間を超えて おり、またそのほとんどが迅速検査キットで陰 性となっている点が挙げられる。
最後に、本会における今後の具体的な取り組 みについて説明する。
本会では、第2 波に向け、新型インフルエン ザ対策に係るポスター「うつさない、うつらな い、つぶさない」を4,000 枚作成し、会員医療 機関や教育機関、公的機関、モノレール駅等に 配布を行い、全県的な新型インフルエンザの予 防のための啓発に努める。また、新型インフル エンザワクチン接種事業についても、本事業の 円滑な実施に向け県新型インフルエンザ対策室 専任チームと密な連携を図り、各地区医師会等 に対し適宜情報提供に努めたいと考えている。
○宮古地区医師会
診療所と病院の役割分担が非常に大切だとい うことが分かった。これらの体制をとる際のパ ンデミックの指示はどこが出すのか。
○真栄田常任理事
県の新型インフルエンザ対策本部が指示を出 し、本会から各地区医師会へ伝達する流れと なる。
○宮古地区医師会
宮古では、県立宮古病院が中心となり、各会 員が宮古病院に応援にいく体制を整えていた。 このような体制でも問題ないか。
○宮城会長
各地区の状況に応じた体制があると考える。 県医師会としては、1 カ所に患者が集中しない よう必要に応じ時間外診療等の実施を手上げに てお願いしていく。
○那覇市立病院
那覇市立病院は一時期患者が集中し混乱が生 じたが、那覇市医師会の協力により何とか乗り 切った。平日は特に問題はないが、日曜日は診 療所が閉まっているため、今後日曜日の対応を 検討していく必要がある。
○宮古地区医師会
新聞等で広報が必要と考える。
○那覇市立病院
新聞等で広報しても患者が集中していた。
○當銘理事
発熱相談センターを受け持った保健所が、県 立南部医療センターに行くよう誘導していたこ とがあった。保健所間の対応に差異があった。 今後、地域の病診連携をどう行っていくかが課 題となる。
○安里常任理事
中部地域は、必ずしも県立病院だけに集中し た訳ではない。4 つの救急病院がバランス良く 対応できていた。新型インフルエンザに関わら ず普段の救急体制においてもバランスが取れて いる。南部地域の問題は日々の診療の延長にあ ったのではないかと考える。
○宮城会長
各地区で、より密な連携を取っていただけるよ う問題を総括してほしい。よろしくお願いしたい。
玉城副会長より、定例総会については、例年 参加者が約50 名と少なく、その成立にあたっ ては全会員数(約2,300 名)の過半数の出席も しくは委任状が必要であることから全会員に対 し当日の救急患者への対応、その他不測の緊急 事態による医師会総会への欠席に対処する措置 として、予め委任状の提出をお願いしている が、例年提出が少なく再度提出の呼びかけを行 っていることから、各地区医師会におかれても 各医療機関における医局等での取り纏めの周知 方についてご協力頂きたい旨の依頼があった。