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年頭所感

宮城信雄

会長 宮城 信雄

平成22 年の新春を迎えるにあたり、会員の 皆様へ謹んで新年のお喜びを申し上げます。

昨年8 月30 日に行われた衆議院選挙で自民 党が歴史的大敗を喫し民主党を中心とする新政 権が誕生しました。後期高齢者医療、消えた年 金、社会保障費の機械的削減、二代にわたる政 権の投げ出し等長年続いた自民党政治に対する 国民の不満が高まり政権交代へと大きなうねり となっていったと思われます。民主党はマニフ ェストで社会保障費の2,200 億円の機械的削減 は中止し医療費をOECD 加盟国並みに引き上 げ、医師も1.5 倍に増やし後期高齢者医療は廃 止するとしております。社会保障費の削減の見 直しや医療費の増額は私たち医師会が要望して きたものであり、新政権に期待するものです。 しかし新政権は「聖域なき削減」と称して国民 公開の場でマニフェストに反して「診療報酬」 は見直しと「仕切り人」に言わせております。 開業医の収入は勤務医の1.7 倍もあり、診療報 酬は開業医から勤務医にシフトすべきだと主張 をしております。地域医療崩壊の最大の原因は 10 年以上に渉る医療費削減にあることは多く の国民の共通認識です。診療所、病院を問わず 医療経営は非常に厳しい状況に置かれているの は変わりありません。診療報酬を診療所から病 院へシフトして診療所が荒廃していくと病院も 立ち行かなくなります。

昨年の総選挙で日本医師会は自民党を支持し たとのことで中央社会医療協議会から3 人の日 医推薦の委員がすべて排除されました。民主党 による明らかな報復人事です。医療制度改革に しても診療報酬改定にしてもこれまで政権政党 を支持してきた日本医師会は妥協を重ねてきま した。これからは医療政策に対して是は是、非 は非として明確に立場を表明して交渉して行く ことが出来るようになったと思われます。日本 医師会に対しては毅然とした態度で政府と交渉 して行くことを望みます。

医療費をOECD 国並みに引き上げるにはそ れ相当の財源が必要です。医療費は公費(税 金)と保険料と自己負担で成り立っています。 これ以上保険料と自己負担を上げることは出来 ません。残りは公費(税金)を上げるしかあり ません。民主党は4 年間は消費税を上げないと しています。無駄を省くことや埋蔵金だけでは 社会保障費を賄う財源は出てきません。財源確 保のためにも消費税引き上げの論議をすぐにで も始める必要があります。

昨年5 月にメキシコで発生した新型インフル エンザは瞬く間に世界中に流行し8 月15 日に は日本で初めての死者が沖縄で出ました。医師 会は行政当局と密接に連携を取りながら対応を してきました。会員の皆さまのおかげを持ちま して第一波の流行を抑えることが出来ました。 第二波の大流行が新年早々に起こるかどうか注 視をしていく必要があります。

7 月には西島英利参議院議員の選挙がありま す。医師会の代表として是非とも再び国会に送 りたいと思います。皆様方の特段のご配慮の程 よろしくお願い申し上げます。

平成22 年寅年が会員の皆様にとりまして明 るい希望に満ちた一年になりますよう祈念して 年頭のご挨拶と致します。

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