会長 宮城 信雄
去る9 月15 日(火)、日本医師会館において 標記協議会が開催された。
はじめに、司会を務めた羽生田常任理事より 開会の辞があり、引き続き日医唐澤会長より 「我々は、これから政治の世界に振り回されな いような立場を作っていかなければならない。 それが日医の本来のあり方である。国民のため の医療をどうやって作っていくかに注力してい くべきである。これからどうなるかよく見極め て新しい政権に対して医療政策を訴えていきた い。」との挨拶が述べられた後、各都道府県医 師会から提案された7 題について協議が行われ たので、その概要について報告する。
協 議
<提案要旨(抜粋)>
母体保護法14 条で、人工妊娠中絶を行うこ とができる医師は、社団法人たる医師会の指定 する医師となっていたが、公益法人改革で社団 法人という制度、言葉がなくなってしまうた め、社団法人が公益社団法人に変更された。都 道府県医師会がこれまでどおり母体保護指定医 師を指定するためには、1)都道府県医師会が公 益社団法人に移行するか、2)法改正するかの選 択しかない。しかしながら、現状では全ての都 道府県医師会が公益社団法人に移行することは 困難と思われ、法改正が必要と考えるが、日医 の対応をお聞かせいただきたい。
【今村定臣常任理事回答】
この問題については、法案提出の前段階にお いて、当時の状況から考えて都道府県医師会 は、すべからく公益社団法人に移行するものと 判断され、改正法案について了承されたのでは ないかと推察する。しかし、その後公益社団法 人に関する諸種の規定が明瞭化なるにつれ都道 府県医師会の中には一般社団という選択の可否 についても議論され、この問題が表面化したと 理解している。改正母体保護法第14 条の問題 は、一般社団法人になった都道府県医師会に は、指定権限がなくなることに加えて、指定権 者を公益社団法人たる都道府県医師会と限定し たことから、そもそも当該地域に指定権者が不在になることになる。即ち都道府県医師会が一 般社団法人となった地域は母体保護法指定医師 の空白地帯になってしまう極めて憂慮すべき事 態となる。このことは、母性の生命、健康の保 護という国としての責務のあり方にも関わる重 大な問題となることは言うまでもない。日医と しては、このような事態を避けるべく厚労省と 折衝を重ねているが同法第14 条を緩める運用 を政省令等で規定する方法は法律の規律から事 実上非常に困難であると考える。そのため現 在、一般社団法人に移行する都道府県医師会が 出た場合でも従来どおり当該医師の指定権者と なるような法改正を第一に考えて交渉を続けて いる。
<提案要旨(抜粋)>
国保中央会の集計によると、特定健診の初年 度である平成20 年度分の市町村国保の受診率 は全国平均で28.3 %と、平成19 年度の基本健 康診査の受診率42.6 %に比べて大幅に減少し ており、目標受診率65 %を下回ったとの報道 があった。また、国の示した基本健診項目には 心電図検査や貧血検査、血清クレアチニンが入 っておらず、これらは本来、健診を医学的に考 えた場合、当然、基本健診項目に入れるべきで あり、拡充に向けて全般的な見直しが必要と考 える。日本医師会では、特定健診の拡充、健診 受診率向上に向けてどのように考え、そして厚 労省に対してどのように対応していくつもりな のか、見直しの現状並びに今後の方針について 伺いたい。
<提案要旨(抜粋)>
特定健診受診率は、全国平均で28.3 %にと どまっている。また、本会が昨年12 月に特定 健診受診者を対象に実施したアンケート調査で は、「特定健診の項目が不足している」と回答 した受診者が、社会保険の被扶養者で71.6 % に達している。受診率の低下は、がん検診にも 波及しており、以前であれば、多くの市町村が 住民健診として、老健法に基づく基本健康診査 とがん検診を同時に実施していたが、特定健診 は、保険者に実施が義務づけられたため、分け て実施する自治体も少なくなく、通知等もばら ばらになってしまう。日本医師会は、このよう に不備の多い特定健診・特定保健指導について どのようにお考えか、また、特定健診を従来の 市町村が実施する住民健診に戻すよう、厚労省 に働きかけるつもりはあるのか伺いたい。
(2)、(3)については関連していることから 一括して回答があった。
【内田常任理事回答】
老人保健法における基本健康診査においても 心電図検査、貧血検査については医師の判断に 基づき選択的に実施する項目となっている。特 定健診の制度では一定の判断基準が設けられて 医師の判断に基づき実施となっている。日本医 師会では特定健診の基本健診項目として全受診 者へ実施することを執拗に主張してきている。 今後も粘り強く交渉していきたい。
また、血清クレアチニン等従来の基本健康診 査に含まれていたもので特定健診には導入され なかった項目がある。これについても必要に応 じて見直しを行う必要があるというふうに言っ ている。健診項目については厚労省の責任で健 康局及び学会等関係団体を交えた議論が必要で あると考えている。
また、平成20 年度の特定健診の受診率につ いては、今年11 月1 日までに各保険者から支 払基金を通じて厚労省に報告されることになっ ている。速報値をみると特定健診の実施計画に 盛り込んだ目標からも下回っている状況であ る。制度の初年度で周知不足や理解不足、デー タ管理システムによる費用決済といったような ことで時間を要し、現場の混乱、煩雑さが増し たことが実施率の低下の要因であると考えてい る。この辺の整理を厚労省へ強く申し入れてい るところである。ご指摘のとおり特定健診とが ん検診の実施主体が異なることから、市町村に おいて連携がとれず、特定健診だけでなくがん 検診の受診率にも影響している非常に重大な状況であると認識している。がん検診を含めた疾 病予防対策の総合的なシステムの構築が必要で ある。同じ地域の住民の間で格差を生じさせる ことがないような仕組み作りが必要である。受 診率向上のためには特定健診とがん検診が一体 に実施できる体制を確立することが望ましいと 考えている。厚労省に関してもこの点を強く要 望しているところである。特定健診・特定保健 指導という今回の制度は、医療費の総枠管理と いう考え方に対抗して生活習慣病対策を中心と した予防の推進という具体的な施策の積み上げ において医療費を適正化するという考えの下に スタートした。国民が病気にならず健康に生活 することが出来るようにするという予防重視の 考え方というものは正しいと思っている。予防 と治療が一貫性を持って実施されるべきであ り、したがって従来の制度に戻せば全ての問題 が解決するものではないと考えている。政局が 大きく動いている中で今後の政治情勢も踏まえ ながら対応することが必要である。厚労省の各 担当課に対しては今までも医師会の意見を主張 し交渉しているところであるが、今後も医師会 の主張を実現すべく、引き続き現場の意見を反 映するように問題解決に向けて全力を尽くした い。また、特定健診に限らず各種健診や保健指 導を含め中立公正な立場から検証、協議し質の 向上を目指すという第三者評価機構の設立も具 体化に向けて検討を進めているところである。 これらを通じて中長期的な対応も同時に進めて いきたい。
<提案要旨(抜粋)>
後発医薬品の利用促進策の状況を調剤で調べ てみると、後発医薬品調剤加算、後発医薬品調 剤体制加算が認められている。しかし、院外処 方を行っている医療機関に対して、これまで全 くそのような配慮が講じられてこなかったばか りか、同一成分の薬剤であっても後発品の適応 が異なる場合、これまでは一方的に医療機関に 対して不合理な査定を行ってきた。
後発医薬品の普及促進を図りたいとするのな ら、医療機関にも処方料加算のインセンティブ を与えることが必要と考えるが、日医は如何お 考えか。また、日医は2,200 億社会保障費削減 廃止の財源のために、これまで後発医薬品使用 促進に敢えて反対しなかったのだと思うが、差 額通知問題については、医師の裁量権にも影響 しかねない。この点についても日医の考えをお 聞かせいただきたい。さらに、後発医薬品につ いては無駄な在庫や、事務の煩雑さを無くすた めにも、同一価格に統一すべきと考えるが、如 何か。
【藤原常任理事回答】
先発と後発で適応が異なる場合の査定問題に ついては、通常この査定は保険者からの申し出 によるものであり、うるさく査定を主張するこ とは、逆に後発医薬品の使用促進を阻害するこ とになることを保険者にしっかり説明していき たい。支払基金に問題提起したところ、基金と しても問題意識を持っており、日医や薬剤師会 と相談のうえ今後何らかの指示を全国支部へ出 したいとしている。
医療機関への処方料加算については、後発医 薬品の使用促進を図るにはご提案いただいたと おりのインセンティブが必要と考えている。次 回の改定で検討したい。
差額通知問題については、医師の裁量権に影 響しかねないという点については、医師の処方 権は確保されており、患者さんが自己負担額軽 減のために後発医薬品の使用を希望した場合で も医師として使用に不安があればしっかり患者 さんに説明していただいたうえで判断していた だきたい。
後発医薬品を同一価格に統一するというご意 見については、ある成分の後発医薬品を同一名 で収載して薬価を一つにするという趣旨と理解 しているが、薬事承認上は品目ごとに承認とな っており、各社製品の医療機関への納入価格、 市場実勢価格を適切に薬価に反映させるという 現行制度の下で銘柄別の収載の方がよいのでは ないかと思うが、国が後発医薬品を同一価格に 進めるのであれば可能であるので、それも一つ の考え方である。
質疑
○岡山県医師会:井戸
療養担当規則に後発医薬品について努力義務 が盛り込まれている。これは今後の影響が非常 に大きい。個別指導の場を利用して強く指導す るということは非常に問題があるのではないか。
【藤原常任理事回答】
我々が遵守しているルールに対して経済的な 色彩の濃いものが入ったことについて遺憾に思 っている。また、このことが行政側に保険指導 の口実を与えたという認識を持っている。中医 協において指導に連結するのは止めて欲しいと 要望しているが、項目を削除しないと難しいと 考えるので、削除を求めていきたい。
○奈良県医師会:大澤
日医は、後発医薬品の使用促進にいて積極的 に進めているのか、反対なのか態度がはっきり しない。後発医薬品の安全性が一番大事であ り、その事が棚上げされている。
【藤原常任理事回答】
非常に残念ではあるが経済的な側面が働いて いることは認めざるを得ない。中医協で、安全 性、有効性、品質の問題については厚労省に確 認している。厚労省は公の場で大丈夫だと言っ ている。実際には医療現場では、医師、薬剤 師、患者さんも含めて、信頼については不十分 だと思う。品質を上げる要求は引き続きやって いきたいが、日医の方針として、今の状況か ら、後発品の使用を反対する態度はとれないと 考える。
<提案要旨(抜粋)>
一医療機関では対応に限界があり、日医とし てはかかる困窮医療機関を助けるべく世論や政 治に訴え、未収金問題は保険者に責任ありとす る解釈の道を探る方が、モデル事業より先決で あると思うが如何か。
【今村聡常任理事回答】
未収金の問題は医療機関の存続に関わる大変 大きな問題であると認識している。日医で、医 師会病院や診療所の未収金問題の調査をさせて いただいたところ、医療機関の種別に関わらず 未収金問題が発生していることが分かった。こ れはメディアにも発信して取り上げてもらっ た。一方病院団体は独自で調査をして、大変大 きな金額が未収金として発生しているとうい結 果が出だ。これらを保険者の責務だということ で訴訟も辞せずというふうにメディアで大変大 きな問題になったが、残念ながら、そのことだ けで保険者の責務というような方向性での解決 はなかなか出てこなかった。そういう中で、厚 労省の中に検討会が設けられ、日医、病院団 体、保険者、患者、行政、法律家が参加して議 論なされた。その中でも保険者の責務という法 律的な解釈は結論としては出されなかった。検 討会では、今ある制度の中でやれることをやっ ていこうということで、様々な取り組みの一つ としてモデル事業が立ち上げられた。実施に当 たっては、保険担当の藤原先生から強く申し入 れて、医療機関の回収義務については条件が緩 和されている。また、提案された対策が確実に 実施されること、取り組み状況をきちんと把握 して、効果があったかどうか検証して、今後も 未収金問題については、国がきちんとフォロー していくようにと書き込まれた。日医としても 今後も注視していきたいと考えるので、ご協 力・支援をお願いしたい。
質疑
○愛媛県医師会:大橋
我々が善管義務を果たしてといことで、努力 しても限界が見えている。応召義務という法的 縛りを負わされて、尚且つそこから発生する損 害については自分たちで対応しなさいというの は理屈が通らないと考える。
【今村聡常任理事回答】
今まで制度でありながら、保険者徴収をやっ てこなかったことが問題ということで、保険者 にこれをやってもらおうということになり、そ の時に医療機関として何も努力がないのは困 る。最低限の徴収義務は働きかけをしていただ きたい。保険者としては、最終的に財産の差し 押さえもあり得るとしている。
<提案要旨(抜粋)>
1)近畿厚生局は、大阪府医師会における今年度 集団的個別指導の医療機関の選定に際して、 本来対象でなかった医療機関に通知するとい う前代未聞の失態を犯した。日医において も、厚労省に対して厳重に抗議いただくとと もに、厚労省を通じ、近畿厚生局に対して、 ホームページ等を通じて謝罪と今後の対応を 公表するよう働きかけていただきたい。
2)指導大綱で個別指導の選定基準として示され ている「集団的個別指導を受けた保険医療機 関のうち、翌年度の実績においても、なお高 点数保険医療機関に該当するもの」について は削除するよう働きかけていただきたい。
3)集団的個別指導の対象医療機関を選定するレ セプト1 件あたりの平均点数を算出するに際 して、医薬分業を実施しているところの平均 点数の算出方法、選定の基準レセプト、後期 高齢者分の扱い等平均点数の算出方法を具体 的に公表するよう働きかけていただきたい。
4)平成21 年1 月30 日付、厚労省医療指導監査 室長発の内簡が実効あるものとなっていな い。近畿厚生局は指導大綱で定められたこと 以外は一切医師会との協議はありえないとす るなど頑な態度をとり続けている。地方厚生 局と地元医師会が充分協議できるよう再度厚 労省へ協力に働きかけていただきたい。
5)集団的個別指導は、結果的に医療費抑制の一 環として実施されているものである。今後の 集団的個別指導のあり方について、日医の見 解を伺いたい。
<提案要旨(抜粋)>
集団的個別指導から連動して行われる個別指 導が実施されている。また、対象医療機関の選 定の際の院内・院外処方の点数調整について は、実態をつかんだ上で正しい調整を地方厚生 局にお願いしたい。
(6)、(7)については関連していることから 一括して回答があった。
【藤原常任理事回答】
今回の近畿厚生局の不祥事はあってはならな いことであり、ご指摘のとおり前代未聞の失態 である。この件に関しては、近畿厚生局は、大 阪府医師会からの二度に亘る抗議を受けて、厚 生局長から大阪府医師会長宛謝罪文を提出し、 それ以前に誤って通知した保険医療機関に対し ても謝罪文を送付したと聞いている。ホームペ ージを通じての謝罪については、今回の件は限 られた保険医療機関に対する問題であり、現時 点においてホームページ等に掲載させた場合、 かえって混乱を招くということも考えられるの で、ご了解いただきたい。平均点数の明記につ いては、個別の保険医療機関の平均点数を明ら かにされた場合、対象レセプトの月等を予測で きるということになる。これは指導の公平・公 正の維持がいかがなものかと懸念される。この 問題は現行の指導大綱の見直しにも係わる問題 である。
高点数を選定基準から削除することについて は、現行の個別指導の選定基準としては、情報 提供を優先することとされており、個別指導を 4 %実施することとしている以上、情報提供が 4 %以下であった場合、どうすればいいのかと いう問題が生じてくる。情報提供がなければや らなければいいとの考え方もあるが、そうした 場合は都道府県毎に指導割合に格差が生じるこ とになる。これは公平性から理解が難しいと考 える。その様な場合の対応として恣意的要素を 排除しての選定と考えれば、現行の考え方もや むを得ないのではないかと考える。但し、選定 医療機関の区分別平均点数の例えば1.5 倍以上 というように高い設定を設けるというような方 向で当局と折衝しているところである。
医薬分業を実施しているところの平均点数の 算出方法の公表については、院内、院外処方の 調整については、平成17 年3 月に厚労省より 事務連絡が出されており、毎年3 月に当該年度 の数値が都道府県単位で示されている。数値は 公表されていないが、開示請求すれば見ること ができる。選定基準レセプトの公表について は、対象レセプトの月を明らかにした場合、実態に即した選定が困難となることが懸念され、 また公平・公正の維持が疎外されることも懸念 される。賛否両論が考えられるが、慎重に検討 していきたい。後期高齢者医療分の公表につい ては、数値については毎年示されており、開示 請求すれば見ることは可能である。
近畿医師会から、近畿厚生局における近畿医 師会との関係は、平成21 年1 月30 日付、厚労 省医療指導監査室長発の内かんを逸脱したもの になっているとの指摘を受けて、先般指導監査 室に申し入れたところである。
集団的個別指導は、ご指摘のとおり医療費抑 制策の一環との側面があるのは否定できない。 保険指導のあり方については、医療機関が萎縮 診療に陥らないよう引き続き主張していきたい。
集団的個別指導の集団部分については、やむ を得ないと考えるが、集団的個別指導から個別 指導に連動しないように申し入れている。
その他
○新型インフルエンザワクチンの接種に関す る基本的な方向性について
飯沼常任理事から資料に基づき次のとおり説 明があった。
新型インフルエンザワクチン接種の実施につ いては、従来の予防接種とは異なり、実施主体 は国となる。郡市区医師会が、実施医療機関 (手挙げ)を把握し、とりまとめたうえで都道 府県医師会へ連絡し、都道府県医師会長と国 (地方厚生局長)とが委託契約を締結すること になる。
現在、優先接種対象として、インフルエンザ 患者の診療に従事する医療従事者、妊婦、基礎 疾患を有する者、1 歳〜就学前の小児、1 歳未 満の乳児の親等から順次接種することとされて いるが、これは、あくまでも5,400 万人分のワ クチンを2 回接種するという条件での計算で、 最近の新聞報道によると様々なエビデンスが出 ており多少変わるかと思うが、現状はこの様に なっている。
また、基礎疾患を有する者として優先接種対 象者となった者が、かかりつけの医療機関以外 で接種する場合、かかりつけの医師は当該者が 優先接種対象者である旨の書面を発行していた だくこととなっている。
なお、日本医師会は、低所得者に限らず被接 種者全体に対する財政支援、輸入ワクチンの国 内での早急な治験の実施と結果の公表等を厚生 労働省へ強く要望している。
日本医師会監修で冊子「医療従者のための新 型インフルエンザ対策実践ガイド」を作成し た。当冊子は、日医ホームページへ掲載すると ともに、10 月1 日号の日医雑誌に同封して会 員へ送付する予定である。
○財務委員会の設置について
羽生田常任理事から、この度、議事運営委員 会で議論いただき、石川代議員会議長名で各都 道府県医師会長宛、財務委員会の設置について 通知させていただいたところ、静岡県医師会鈴 木会長から、やり方がおかしいとの指摘があっ た旨説明があり、引き続き、担当の今村聡常任 理事から、その経緯について次のとおり説明が あった。
代議員会の審議の最中にそれぞれ予算、決算 委員会委員の先生方が抜けてしまうこと、また 審議時間が短いこと、審議された内容が一般の 会員に公開されず中身が分からないこと等の問 題点が指摘され、検討させていただいた。公益 法人制度改革に伴い定款諸規定委員会で議論す る中で、新たな定款では予算は理事会承認、決 算は代議員会承認となっていることを踏まえ て、予算の審議についても従前どおり代議員の 先生方に審議いただく方がよいということで、 予算委員会や決算委員会と同様な委員会を代議 員会に設置していだきたいと考えた。代議員会 議長は定款諸規定委員会委員長でもあり、経緯 もご理解いただいているということで今回検討 をお願いした次第である。
以上の説明の後、羽生田常任理事から次のと おり説明があった。
代議員会の委員会として財務委員会を設置す るのはどうかということで議事運営委員会にお いて議論いただいた。その結果、10 月25 日の臨時代議員会に財務委員会を設置することを議 長から提案することまで決めていただき、その 趣旨について代議員の先生方へ石川議長名で通 知を出させていただいた。
引き続き、石川議長から次のとおり説明があ った。
去る7 月10 日に日本医師会顧問弁護士3 名の 同席のもとに議事運営委員会を開催した。その 席で今村聡常任理事から、財務委員会について 説明を受けて審議した結果、全会一致で、10 月 開催の臨時代議員会において議長から財務委員 会設置を提案することを了承していただいた。 また、財務委員会は日本医師会長が設置する会 内委員会とは異なることを確認した。財務委員 会は、初めて設置する委員会であるため、重要 事項との認識を持って慎重に協議したところで ある。これまで、石川県医師会小森会長はじめ 多くの会員、予算、決算委員会委員を経験した 先生方から指摘があった。予算、決算の審議に ついてはもっと時間をかけて吟味してはどうか との意見は先生方へご案内のとおりで、基本的 には賛成いただけるものと考えている。議事運 営委員会は、議事運営に関する重要な事項を扱 うので、財務委員会の設置の有無について検討 するのは重要な事項にあたると考えたところで ある。今回財務委員会の設置について、議事運 営委員会に諮ったのは、初めて設置するもので、 財務委員会は、予算委員会、決算委員会と同様 に代議員会が設置する委員会であるので、理事 会に諮る必要はなく、会長設置の会内委員会と は異なるということを踏まえて、議長が代議員 会に諮って設置するものと考えている。なお、 ご指摘のとおり、財務委員会は公益法人制度改 革と関わるものなので、設置の趣旨等は執行部 より定款諸規定委員会へ説明していただいてい るところである。7 月31 日付の議長名通知によ り、財務委員会の設置を決定したかのように受 け取られたと思うが、あくまで議事運営委員会 での了承が第一条件である。議事運営委員会決 定事項は、議事運営委員会で了承されたことを 記した事務的な記録であり、定款で位置づけら れた記録ではない。今後、送付文書については 厳重な注意を要することを事務局に伝えた。代 議員会の混乱を避け、円滑に会を運ぶことが議 長の責任であるので、この際仕切り直してもか まわないと考えている。今後、ご指摘を受けな いよう、また文書送付等に厳重に注意を払うこ とを条件にしてご了承いただきたい。
静岡県医師会鈴木会長
議事運営委員会というのは、議事運営に関す る協議だけに限られており、組織に関わる案件 についてまで議論する権限は持っていないと考 える。また、議事運営規則にも書かれている事 項である。今回、議事運営委員会において協 議、決定し、代議員会へ上程したとしても案件 自体手続き上の不備を指摘されることは間違い ない。因みに、現行の予算、決算委員会は、議 長が代議員会へ諮って設置しており、議事運営 委員会に諮って設置したものではない。新公益 法人へ移行して予算が理事会の承認事項とな る。今後の新体制の整備に入れながら、しかる べき権限を持った機関、例えば財務委員会設置 検討委員会において、充分に慎重に審議を重ね たうえで、理事会において財務委員会を設置し て、代議員会の了承を得るものではないかと考 える。充分な審議が出来ないということであれ ば、予算、決算委員会をそのまま残して、これ を通年型にしてはどうか。改めて財務委員会を 設置する必要はないと考える。
石川代議員会議長
顧問弁護士とも相談した結果、基本的には定 款、規則違反はないということであったが、議 事運営員会が強引に進めるつもりはない。ご了 承いただけないということでれば、代議員会で 議論すると混乱を招くので、仕切り直しも考え ている。今回の通知文書に問題があったのは事 実であるので、その点をお詫びしながら、ご了 承いただければ早速財務委員会が動き出すが、 今回の10 月25 日の臨時代議員会は今までどお り予算、決算委員会を行うということであるの で、ご了承いただきたい。