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編集後記

気象庁の宣言にもかかわらず、乾いた過ごし やすい日々が続き、16 年ぶりの夏場の給水制 限が噂される梅雨の後半、帳尻を合わすかのよ うな豪雨で土砂崩れのニュース。降れば土砂降 り。自然は時に、それに対する人間の営みをあ ざ笑うかのような姿を見せます。

昨年の同月号で新型インフルエンザのパンデ ミック対策行動計画の策定に関する報告が載り ました。それから1 年、メキシコに始まった新 型インフルエンザは、弱毒型とはいえ瞬く間に 世界中に広がり、WHO からphase6 パンデミ ックの宣言がなされました。テレビ報道を賑わ した違和感を持つほどの完全な予防衣とサーモ グラフィーで行った日本の徹底した水際作戦も 一旦崩れると、まさに千里の堤も蟻の穴からの 諺のごとくあっという間に全国に広がりを見せ ております。東大医科研からウイルスの変異の 報告もなされました(6 月15 日現在)。新型イ ンフルエンザの問題は真栄田篤彦常任理事から 報告された九州医師会連合会第97 回定例委員 総会ならびに第1 回地区医師会長会議の主要議 題の一つにもなっており、我々一人一人にとっ てもその対応は決して対岸の火事としてはなら ないものと考えられます。

第1 回地区医師会長会議でのもう一つ議題で ある在宅医療支援システム・ネットワーク構築 は、玉井修理事から報告のあった終末期医療を めぐる座談会のなかでも、問題点として挙げら れた在宅介護力を補うシステムとして早急に構 築の望まれるものであります。

このようなシステム、ネットワーク構築の鍵 となるのはやはりマンパワーと考えられます。 同じく玉井理事から報告のあったマスコミとの 懇談会の中で、圧倒的な医師不足と偏在の中 で、幸いにも沖縄に集まる研修医の教育プログ ラムの中で、離島及び地域医療を念頭に置いた 県立中部病院と琉球大学の取り組みは、この問 題を解決する礎になるものと期待されます。

一方でこのネットワーク構築を期待される沖 縄県立病院ですが、受け皿として病院本体の経 営健全化が急務とされ、そのなかで、今回のイ ンタビューコーナーでは、4 月から県立南部医 療センター・こども医療センター院長に就任さ れた大久保和明先生に伺いました。その内在す る県民の財産である同センターの重要性を認識 して頂き今後の経営健全化計画の推進を図る旨 のご発言を頂きました。

生涯教育では、南部医療センター・こども医 療センター心臓血管外科の長田信洋先生からご 寄稿頂きました。長年にわたるご経験と研究か ら、全国トップレベルの成績を誇る小児先天性 心疾患外科治療のあらましについてご教示頂き ました。またプライマリ・ケアコーナーでは、 沖縄協同病院の名護宏泰先生から突き指の診療 についてご指南頂きました。たがが突き指と思 うなかれ、手術を要する病態が含まれているこ とに驚きました。

若手コーナーの浦崎貴志先生の医療IT 製品 の利便性と使ってわかる欠点は、日々電子カル テと格闘する我々にもうんうんと頷ける内容と なっております。

上江洌良尚先生のロゴマークは、その診療所 外観とも相まってまさにカフェと間違えるモダ ンな印象を受けるものでした。

源河圭一郎先生からは笑い話のごとき昔話も 交えて長年取り組んでこられた禁煙運動につい てご発言を頂きました。

金城忠雄理事からは、沖縄県自動車保険医 療連絡協議会から、交通事故の減少傾向、沖 縄の問題点として自動車保険加入率の低さ、自 賠責保険診療費算定基準について報告を頂きま した。

愛の血液助け合い運動月間にちなんで県立南 部医療センター・こども医療センターの大城一 郁先生から、限りある血液製剤の適正使用につ いて提言を頂きました。

今号の随筆は長嶺信夫先生の沙羅双樹で、数 年にわたるご執筆で我々も少しだけこの花につ いて詳しくなった気がします。気がするだけで すが…まだまだ詳しくなれないのは公益法人制 度改革の件です。真栄田先生からの報告を伺っ てもふーん、広報委員会でさる先生から説明を 聞いても大変だーと法律・制度への弱さを露呈 したところで編集後記とさせて頂きます。

広報委員 豊見山直樹

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