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舛添厚生労働大臣に
社会保障費2,200 億円削減撤廃を直接要請!

舛添厚生労働大臣が視察のために来沖された ことを受け、去る8 月14 日(木)、那覇市社会 福祉協議会において、同大臣と面談する機会が 得られたことから、8 月1 日に沖縄県医療推進 協議会主催で開催した「地域医療崩壊阻止のた めの沖縄県民集会」において決議された“社会 保障費の年2,200 億円削減撤廃”について当医 療推進協議会加盟団体代表者と共に、直接大臣 に要請した。要請に際しては、仲井眞弘多沖縄 県知事、翁長雄志那覇市長、仲村正治衆議院議 員にも立ち会っていただいた。

当日は、当推進協議会を代表して、宮城信雄 会長が決議文の朗読を行い舛添大臣に手渡した。

これを受けて舛添大臣から概ね次のとおり挨 拶があった。

○舛添大臣

みなさんからの要請は厳粛に受けとめている。

現在の課題である医療・介護等の不安を解消 すべく“福田内閣5 つの安心プラン”が着手さ れ、特に医療ビジョンについては、医師不足、救 急医療、産科、小児科、外科、麻酔科等におけ る問題解決を図るべく様々な施策をとっていく。

医療訴訟リスクに対しても無過失補償制度の 創設等、医療崩壊と言われている現在の問題点 を明確にして一つ一つ解決していきたい。

10 年がかりで大きな変革を行う車輪と、た らい回し問題などの目の前に迫った問題である 車輪を同時に動かしていきたい。

社会保障費削減についても、私は限界である と申し上げてきたし、福田総理と当時の大田弘 子経済財政大臣と話をして、骨太の方針の中に 社会保障、医師不足は例外である旨明記してい る。これから年末までの予算編成までに全てが 決まるため、社会保障費削減の撤廃に向けて今 後も取り組んでいきたい。

具体的に申し上げると、2 つの側面で成果が でるようにしたいと考えている。一つが既に限 界にきている2,200 億円の抑制であり、無駄を 無くす努力もするが、税制改正の議論の際に、 たばこ税を増税し、700 億円を社会保障予算に 組み入れることと、もう一つは公共工事の見直 しによる重要課題推進費3,300 億円の中から 1,500 億円を社会保障費に充ててもらうことで、 その分圧縮することが出来る。そういった財源 の措置については他の大臣はやっていないが、 私は財務大臣と直接大臣折衝を行った。新たな る財源が入った時には、それを充当すると当時 の額賀財務大臣は明言している。その約束をき ちんと守ってもらう。

今後ともご指導、激励を賜りたい。

○宮城会長

大臣が2,200 億円削減の撤廃のために、抵抗 して頑張っておられることに敬意を表したい。 しかし、政府全体の方針とは言え、2,200 億円 の機械的削減はもはや無理であることは分かっ ているはずである。是非ともそのような方針は 撤廃させるような政策をとってもらいたい。ま た、医師不足の問題がなぜ顕在化したのかは、 大臣もよくご存じだと思うが、新臨床研修制度 によって一気に表面化している。これについて は医師の養成を増やすことが閣議決定されては いるが、年に数百人であり、それも10 年後に しか効果は出ない。新臨床研修制度では結果的 に1 年間で約7,000 〜 8,000 人の削減を行って いることになり、2 年間で約14,000 人の削減と なる。即効性をもたすのであれば、必修化を1 年にして7,000 〜 8,000 人の医師が毎年増える ようにしてもらいたい。そのようなことも考え ていただきたい。また、たらい回しがなぜ起き るかというと、拒否ではなく、現場の人手不足 によって患者を受け入れられない状況であるた めで、これについても特段のご配慮をお願いし たい。

○舛添大臣

研修医制度については現在見直しに入ってい る。只、新臨床研修医制度が全て悪いのではな く、様々な科目を経験して研修の水準を上げる という点では成果が上がっている。

研修先の病院の現状を変えなければやってい けないということがそもそもおかしいのであっ て、根本的な問題解決を図っていきたい。医師 不足については、勤務医が足りないのであっ て、医師の偏在、地域の偏在、開業医と勤務医 の偏在、診療科目の偏在等、色んな偏在があり ながらも全体的にみるとやはり医師は足りな い。今後は診療報酬の改定や、勤務医の分娩手 当の予算措置等いろんな対策をとっていきたい と思うので、ご協力賜りたい。

目の前の命を救うため我々も努力をしていく が、昔の「白い巨塔」ではないが、「何処何処 に行け」と命令していた時代もあったが、今の 若い医師はそれに従うかという面もあり、今後 は柔軟な制度設計も考えていきたい。

明確な労働条件改善のビジョン無しには、今 のドクターに負担をかけるだけなので、それを はっきりさせたうえで、長期的な政策と短期的 な政策を組み合わせてやっていきたい。

なお、今回の舛添大臣への要請については、 自由民主党沖縄県支部連合会の具志孝助会長、 翁長政俊幹事長の取計らいによるものであり、 両氏には改めて感謝申し上げます。