沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 9月号

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編集後記

今月はトピックスとして、1)地域医療崩壊阻止 のための沖縄県民集会、2)地域医療崩壊阻止のた めの総決起大会、3)第187 回県医師会臨時代議員 会−平成19 年度会務報告・諸決算を承認−、4)第 17 回沖縄県医師会県民公開講座(ゆらぐ健康長寿 おきなわ、心停止と救命蘇生〜あなたの大切な人 を助けるのはあなた〜)の4 題を取り上げている。

地域医療崩壊阻止のための総決起大会(7 月24 日笹川記念会館)、地域医療崩壊阻止のための沖 縄県民集会(8月1日ロワジールホテル)が開催 された。医療崩壊は地方だけでなく、都会でも起 こっている。小児科、産科、麻酔科を中心に一つ の科の廃止から閉院になることもある。最大の原 因は1)医師不足(5〜10万人)2)継続される医療 費の削減3)マスコミや国民の医療関係者のバッシ ングなどである。命を削って必死に医療を支えて いる医師・看護師等の医療関係者には批判ではな く感謝の声が大きな力になるだろう。英国、米国 のような医療崩壊にならないよう、医療再生を医 師会として模索しなければならない。

第187 回沖縄県医師会臨時代議員会で新議長に 新垣善一先生、副議長に高里良孝先生が選出され ました。その後、宮城信雄会長から挨拶の中で 「後期高齢者医療制度」、「県立病院改革基本構想 と医療提供体制」、「医師確保に直結する後期研修 システムの構築」、「救急医療体制」、「医師会会館 の竣工と今後の活用」について述べられた。また、 地区医師会から寄せられた質問で来年5 月に始ま る「裁判員制度」、「学校医と学校産業医」、「後期 高齢者医療制度」についての活発な討議が行われ た。医師会のオピニオンリーダーである代議員の 先生方へのエールをお願いしたい。

第17 回沖縄県医師会県民公開講座は、ゆらぐ 健康長寿おきなわ、心停止と救命蘇生〜あなたの 大切な人を助けるのはあなた〜というテーマで開 催され、450 名の方が熱心に講演、パネルディス カッション、AED の実体験コーナーに参加され た。琉大法文学部の石崎博志先生のAED を使っ た救命体験は多くの参加者に突然死は身近なこと で、AED で確実に救命できるとの思いを強くさせ たようでいい講演であった。比較的若い年齢層の 参加者が多く、AED のデモ機を使用しての実体 験コーナーはクーラーも効かないほど参加者の熱 気があったとのこと、市民の関心が高く今後も継 続し開催する必要があると思われる。

生涯教育コーナーでは、嶺井定一先生と藤川栄 吉先生から寄せられた激励文は嬉しい便りであ る。さて、9 月号では妊娠は成立するが流死産や 早産を繰り返して生児が得られない不育症につい て琉大生殖医学分野の正本仁講師が執筆された。 「母体―胎児」間の生命誕生の際の子宮内での複 雑―不思議なメカニズムにただ感嘆するばかりで ある!

金城忠雄先生、砂川富正先生の感染症・予防接 種について:日本は麻疹感染症予防対策の後進国 で1998 年〜 2001 年に沖縄で9 名の麻疹による死 亡や、2007 年に全国の大学を中心に流行したこと は記憶に新しい。はしか0(麻疹排除)を達成す るには予防接種率95 %以上が必要で、県内全会 員が一致団結し、1 期・2 期麻疹予防接種を徹底 しなければならない。

久保田徹先生の慢性咳嗽のプライマリケアでは 日常診療でしばしば遭遇する疾患であり、診断・ 治療に大いに役立つ記事である。

琉大医学部附属病院長の須加原一博先生へのイ ンタビューでは、沖縄の課題である専門研修を、 「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」プロ ジェクトへ参加し全国の医療機関・大学病院と多 極的に連携することによって解決できるのではな いかと期待したい。

井上徹英先生の「医療用ヘリ導入への悪戦苦闘」 は離島を多数抱える沖縄で先進的にドクターヘリ を導入し、それが認められ沖縄の救急ヘリ事業と なった経緯である。沖縄の救急医療のための新た な展開に、関係機関の連携・協力をお願いします。

那覇市立病院の地方独立行政法人化の顛末記 は、猫の眼行政の中で必死に生き残る道を模索し その結果独立行政法人化を選択した那覇市立病院 のその道程と、新しく開かれつつある希望の持て る、医療再生への未来が見えてくるようである。 独立行政法人という道を選択した開拓者達の健闘 に今後も注目したい。

若手コーナーは「一生勉強」、「自ら実践」をモ ットーに開業2 年目を邁進中の宮里昌先生の力強 い開業レポートであった。

編集後記は初挑戦で、沖縄県医師会報を隅々ま で読んだのは初めてだった。内容の豊富さには感 嘆するばかりである。編集後記からもれた記事も あり、オリンピックの感動の勢いで精読をお勧め します。

広報委員 石川清和

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