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本誌会報生涯教育における自己学習について

嶺井定一

嶺井医院泌尿器科 嶺井 定一

今日、医療界は地域医療の格差による崩壊、 informational society と internationalism による社会全体のglobalist の波とともに、医 療全体を取り巻く厳しい状況に直面している。 そして、医療の高度化にともない、従来の専門 分野が更に細分化され、その結果、医学部卒業 後の研修制度も流動化され、更に、現在、医療 の労働環境も非常に厳しい状況にあり、医療訴 訟問題においても、不当な刑事訴追の増加が見 られ、実際には不起訴になった事例でも厳しい 取調べを受けることが多くなり、あらゆる手段 で罪状を認諾させようとする現状においては、 医療側も、色々な対応、対策が求められるよう になっている。従って現在、我々が直面してい る医療関連の諸問題に対峙せざるをえない状況 におかれており、その一環として生涯教育制度 が創設されたものと思われる。

日本医師会生涯教育制度は、1987 年度に医 師の自己教育・研修が幅広く、効率的に行われ るための支援体制を整備することを目的に発足 し、その意向を受けて、沖縄県医師会では、本 誌を活用し、各科専門分野の論文を掲載して会 員諸氏に提供し、専門以外の知識取得にも大い なる貢献を果しているものと思われる。最近の 論文を拝読して、各専門科の医療に関する学問 的知識の向上、各疾病における新しい検査、治 療の進歩と目覚しい躍進が見られ、生涯教育コ ーナーの論文を拝読することは、新しい知識の 習得に繋がるものと思われる。

斯様に、生涯教育自己研修制度は、関連専門 科との情報交流の場ともなり、また、先進的医 学の研究、診療技術、医療知識の情報等の提供 も受けられ、今後の診療に役立ち、更に、政府 が推し薦めている生涯学習の振興にも繋がるも のと思われる。

生涯教育のハガキによる解答申告について は、今更、試験を受けているようであり、我々 の世代は○×式テストには馴染が薄く慣れてな く、しかも間違っていたら恥ずかしいと云う思 いもあり、最初の頃は解答ハガキを提出するこ とを躊躇しがちであった。しかし、自分の専門 科以外の種々多様な分野の知識が得られること を知り、年老いて勉学には、日暮れて道遠しと 思われがちな現在、前途に光明を見いだし「書 を読めば、万倍の利あり」と云う古典名言にも ある通り、これからも継続しなければと痛感し ている次第である。