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第187 回沖縄県医師会臨時代議員会
−平成19 年度会務報告・諸決算を承認−

去る6 月26 日(木)、午後7 時15 分より沖 縄ハーバービューホテルクラウンプラザにおい て第187 回沖縄県医師会臨時代議員会が開催さ れた。

はじめに、代議員会の正副議長の任期が去る 3 月31 日をもって満了したため、仮議長に野原 俊一代議員が選出された。野原仮議長より定数 の確認が行われ、定数57 名に対し、44 名が出 席し、定款34 条に定める過半数に達しており、 本代議員会は有効に成立する旨宣言された。続 いて議長選出が行われ、新垣善一代議員(中部 地区)が選出されると共に、新垣議長の下で副 議長の選出が行われ、副議長に高里良孝先生 (那覇)が選出された。

以上の議長・副議長の選出の後、宮城会長よ り次のとおり挨拶があった。

挨 拶

○宮城会長

宮城会長

皆さん、こんばんは。 一言ご挨拶を申し上げ たいと思います。

任期満了になってお りました議長及び副議 長が選出されました。 議長に当選されました 新垣善一先生、副議長 に当選されました高里良孝先生、誠におめでと うございます。今後2 年間代議員会の円滑なる 運営と執行部に対するご指導ご鞭撻のほどをよ ろしくお願い申し上げます。

本日は、第187 回臨時代議員会を開催し、平 成19 年度の会務、諸決算などについてご審議 していただくことになっております。そのため にご案内申し上げましたところ、多数の代議員 の先生方がお集まりありがとうございます。

お陰を持ちまして、平成19 年度の会務も代 議員の諸先生方、会員各位のご協力により予定をしておりました諸事業も滞りなく推進するこ とができました。

さて、平成18 年6 月の医療制度改革関連法 案の成立を受けて、今年の4 月から「後期高齢 者医療制度」あるいは「特定健診・特定保健指 導」等が実施されてきておりますが、特に、後 期高齢者医療制度に関しては、マスコミ等でも 連日取り上げられておりますし、当事者の高齢 者の年金から天引きをされるということ、それ から、低所得者からも保険料を取るというよう なことがありまして、非常に不満が湧き出てき ています。そういうことがあって、国会の中で も野党が廃止法案を提出するというようなこと になってきております。

当該問題につきましては、全国の医師会でも いろいろ議論がされております。本日も、地区 医師会から質問がありますので、後ほど、担当 理事に詳しく説明をしていただくことになって おります。

本会といたしましても、私もいろいろ説明を しているんですが、制度自体は平成12 年に日医 が出したグランドデザインの中で後期高齢者医 療は別立てで創設をすべきであるという提言を しております。その当時の理念というのは、75 歳以上のお年寄りというのは、ほとんどの方が 病気を持っている。医療費の3 分の1 がそれに 使われているというようなことから、社会保障 という理念のもとに新たに保険制度をつくるべ きだという提案をしております。

ですからいろいろ問題があるとは思いますが、 日医が提案した社会保障制度の理念に基づいた 形に戻すべきだというふうに考えております。

後期高齢者の管理料、それについてもいろい ろ問題があります。そのことに関しても県医師 会としては地域の事情を考慮して、慎重に対応 していただきたいということで、各医療機関の 自主的な判断に任せるというようなスタンスを 沖縄県医師会としてはとっております。

いずれにいたしましても、当該制度というの は、国民が納得するような制度に見直す必要が あるというふうに考えております。

一方、県内では、今年度中に県立病院改革の 基本構想をまとめることになっております。沖縄県医師会としても、県立病院の果たす役割、 医療提供体制はどうあるべきかというようなこ とからいろいろ検討して意見を言っていきたい というふうに考えております。

また、医師確保の観点から県全体を網羅した 後期研修システムの構築です。前期研修という のは、沖縄県というのは年間140 人〜 150 人ぐ らい来ておりますが、後期研修というのを沖縄 県全体でシステムとしてつくっていくべきだと いうふうに考えております。

それから、ドクターヘリ等を含めた救急医療 体制の整備についても関与していきたいという ふうに考えております。代議員各位におかれま しても忌憚のないご意見賜りますようお願いを したいと思います。

後ほど、会館建設の議題が上程されますが、 待望の会館が11 月の竣工に向けて急ピッチで工 事が進められております。今年中には新会館で の業務がスタートできるというふうに考えており ます。出来上がった後には、積極的に会館を活 用していただくようにお願いしたいと思います。

本日は、お手元の資料にお示ししてあります ように、報告2 件、議事7 件を上程しておりま す。詳細につきましては、各担当理事より説明 をしていただきますので、慎重にご審議の上、 ご承認賜りますようお願い申し上げましてご挨 拶といたします。ありがとうございます。

その後、報告・議事に移り、報告事項は玉城 副会長から平成19 年度沖縄県医師会会務につ いて、稲福監事より平成19 年度沖縄県医師会 会計監査について報告があった。議事は以下の 議案について各担当理事から説明が行われ、全 て原案どおり承認可決された。

  • 第1号議案 平成19年度沖縄県医師会一般 会計収支決算の件
  • 第2号議案 平成19年度沖縄県医師会医事 紛争処理特別会計収支決算の件
  • 第3号議案 平成19年度沖縄県医師会用地 特別会計収支決算の件
  • 第4号議案 平成19年度沖縄県医師会会館 建設特別会計収支決算の件
  • 第5号議案 平成19年度沖縄県医師会共済 会特別会計収支決算の件
  • 第6号議案 平成20年度沖縄県医師会諸会 費賦課徴収要項改正の件
  • 第7号議案 平成20年度沖縄県医師会一般 会計収支予算補正の件

なお、当代議員会における質疑応答の主な内 容は次のとおりである。

質疑応答(要旨掲載)

1.議事に関する質疑

○名嘉勝男代議員

名嘉勝男代議員

先ほどの会務報告の 中で、沖縄県保健医療 計画が策定されたとい う報告があったが、地 域医療委員会の中で、 これができあがった場 合には、冊子をぜひ会 員に配るように要望し たが、もし県でそれが配られなかったら、沖縄 県医師会で配ってほしいと思う。もちろんネッ ト等でも見れるとは思うが、医療機能の連携の ことが載っているので、そのマップをぜひ会員 にも見てもらいたい。地区医師会でもみんなに 声をかけているので、どうなっているのか教え てもらいたい。

回答(玉城副会長) 当初の予定では沖縄県 から医療機関へ全部配るというお約束だったの で、もう一度確認したい。もしいってなければ 県に確認する。

2.代表・個人質問

裁判員制度に関する3 つ疑問点について (中部地区医師会:代表質問)

○中田安彦代議員

中田安彦代議員

裁判員制度に関する 3 つの疑問点について。 これは前回中部地区医 師会の理事会で話し合 われたものをまとめた ものである。

1)免除規定

質問内容は裁判員は衆議院議員の選挙権を 有する者の中から「クジ」で選ばれるもの で、医師もその対象になるといわれている。

患者の生命を預かっている医師は、いつ呼 ばれるかわからない状態で働いており、また、 当日緊急手術や患者急変のときもある。裁判 所で決めた期日に出頭せよ、出頭しなければ 罰金を課すというのは、現代の徴兵制と批判 されても仕方がない。

医師は、政令などで裁判員免除の規定をつ くれないものか。

2)守秘義務

裁判員は、評議の過程で知り得た秘密を裁 判終了後も生涯にわたって漏らしてはならな い。秘密をもらしたときは6 カ月以下の懲 役、または50 万円以下の罰金に処されると あるが、そもそも「クジ」で選ばれた者に、 そこまでの守秘義務を課してもいいものか。

3)日当

裁判では精神的にも肉体的にも拘束され る。裁判員の日当は1 日当たり1 万円以内と されている。裁判は少なくとも2 年ぐらいは 続くのではないか。その間、経済的にも裁判 所に拘束されるというのはいかがなものか。

以上のことから、この制度には問題点も多 く、医師の裁判員についてはこれを免除して いただくよう、働きかけをご検討願いたい。

回答(真栄田常任理事) この裁判員制度に 関する問題点について、私自身も本当に同じよ うに思っている。ただ、日本医師会では平成17 年度の段階で、これを認めて協力するという形 で回答しているが、実際には先生方ご理解され ているように、個別にわたっては、例えば重症 患者を抱えているとか、あるいは本人が病気の ときとか、そういうような形の場合には、執務 が免れるというか、免除されることになってい る。希望する地区医師会には、那覇地方検察庁 の企画調査課より具体的に説明することができ ると聞いている。1)のご質問については、各地 区医師会でも那覇地方検察庁の企画調査課から 詳しく説明を受けて確認していただきたい。

それから、2)と3)についても県医師会での協議そのものも非常に難しい面もあるが、結論と しては、やはりこの裁判員制度について、県医 師会としてもう一度理事会で十分に協議して、 日医に申し出るべきかを判断したいと思う。

ちなみに、先ほど先生がご指摘したように、 国民で割ると、1 年間に裁判員の候補者になる 確率というのは、約60 人に1 人ということで、 非常に確率が高い。やはり医師としての職務、 特に開業医の場合には1 人であるので、その開 業医の場合の勤務状態、あるいは重症患者を抱 えているとか、そういう状況を説明すれば免除 になるかもしれないが、その詳細についてはや はり先ほどお答えしたように、那覇地方検察庁 に確認して説明を受けていただきたい。

来年の5 月から始まるため、一刻の猶予もで きないと思うが、もう一度県医師会でも詳細に わたって検討して、中部地区医師会の要望とし て日医に申し出るか確認したいと思う。

後期高齢者医療制度について (浦添市医師会:個人質問)

○山里将進代議員

山里将進代議員

浦添市医師会でも後 期高齢者の医療制度が スタートした後、理事 会でも話し合いがもた れたり、勉強会もやっ ているが、まだ十分突 っ込んだ論議が行われ ているわけではないの で、本日は私個人の質問ということで意見を述 べさせていただきたい。

まず、4 月にこの後期高齢者医療制度がスタ ートしたわけだが、制度そのものが大変問題が あるということで、ご存知のようにマスコミで も連日取り上げられ、国民からもかなり批判が 出ていることや、全国の県医師会レベルでも明 確に反対を決意するというような医師会も出て おり、全体としては制度についてはかなり批判 の声が強いのではないかと思っている。

参議院では、廃止の法案がすでに通過してい るし、沖縄でも県議会として廃止を決議すると いう動きがかなりはっきりしており、多分決議 は出るんじゃないかと思う。

そういう状況を踏まえ、沖縄県医師会として も、この後期高齢者医療制度について今後どう いうような対応をしていくのか質問をさせてい ただきたい。

私は、やはり日本の医療制度のもっている長 所、非常にかかりやすい皆保険でフリーアクセ スが確保されているという点が非常にいい点だ と思うが、今度の後期高齢者医療制度は、患者 のフリーアクセスの確保という点で非常に問題 があるのではないかということと、後期高齢者 の診療料と関連するが、医師間のいろんな連携 が非常にやりにくくなるような、そういう側面 が非常に強いと思っている。もう1 つは、私た ちは今まで必要に応じて必要な医療サービスを 提供するということで、出来高払い制度の下で やってきたが、今回の後期高齢者の診療料とい うのは、全国的にはこれを手を挙げて算定する という医師は非常に今のところ少ない状況であ るが、この制度が残された場合、医療費抑制の テコに使われて外来の医療の包括性につながっ ていくという、そういう危険性があるものでは ないか私は考えている。

これが老婆心であればいいが、制度としてこ ういう問題のある制度は、やはり私は撤回させ ていくような運動が必要じゃないか思ってお り、後期高齢者の特に診療料については廃止を していただきたい。県医師会もそういうことで リーダーシップをとっていただきたく意見を述 べさせて頂いた。

回答(平安理事) 山里先生のご指摘のとお り、国民だれもが知るこの制度は問題があると ころである。私が的確な答えができるとは到底 思わないが、これまで県医師会として話し合っ てきたことや、現在のとりまとめたところをま ずはお伝えして、またご検討いただきたいと思 っている。

まず、この制度については、後期高齢者とい う言葉はどうあれ、75 歳以上で区切って、新しい保険の形にするということ、そのことと診 療報酬上の問題とはやはり、入り口は分けて議 論しないと混乱してしまうということがあるか と思う。

そういうことでまず医療制度、後期高齢者医 療制度についての当会のとりまとめたところを 改めて確認させていただく。これは日医が当初 から示していたとおり、患者さんに負担を求め るのではなくて、医療費の9 割を公費で賄う と、そういった新しい社会保障制度に見直しを 求めていくというスタンスである。日医が示し た見解というものを6 月19 日に自民党の議員 の有志会あたりで改めて言っており、それで確 認してもやはり75 歳以上の高齢者に対しては 国が保障の理念の下で支えるべきだということ を強調し、75 歳以上を手厚くする、今までと 同じ医療を提供する、医療費の9 割は公費、す なわち国が負担する、高齢者の家計負担は保険 料と一部負担を合わせて1 割ということで、こ の4 つを柱にした制度をつくっていくべきだと いう姿勢は変えていない。

当会としても、75 歳以上の高齢者に対する 医療制度は、社会保障という理念の下で現行制 度であれば問題があるということである。当然 のこととして見直すという姿勢をもっている。

それから、診療報酬上のことで密接に関係し ている後期高齢者診療料の問題だが、まずこの ことを考える前に、昨年5 月に厚生労働省が唐 突に総合科医という概念というべきか、構想を 示してきたわけだが、それに対して日医は昨年 来、総合科医という構想が患者のアクセスポイ ントを減らすとか、地域格差を生じさせる、あ るいは国が総合科医を認定することは、官僚の 権域を増大して地域医療を国が管理統制するこ とになるのではないかということで、ずっと反 対してきている。そういうことが最終的には人 頭払い制にもつながるであろうということで、 この唐突な国の提案というものは非常に批判を 受けていったわけだが、国としては高齢者を総 合的にみる医師の案というものをどうもずっと 推し進めてきて、それがいつの間にか中医協と か、後期高齢者医療制度の中に乗っかってき て、最終的には74 歳以下の生活習慣管理料と いうものが75 歳以上にはないからということ で、この後期高齢者診療料の新設ということに つながったわけである。

その中で、かかりつけ医といったものの発想 がどうしても見え隠れしているということで、 先生方が危惧されていることはご指摘のとおり だと思っている。

そうは言っても、日医としては、総合という 表現が排除になったとか、主治医という表現が 担当医に変わったであるとか、やや骨抜きには できたとかということも言っていて、そんなに 心配ないとも言っているが、日医の常任理事の 中でも、山里先生がご指摘のとおり、やはりい ずれ外来診療の定額払い、そういったものの伏 線になっていくのではないかとか、医療機関へ のフリーアクセス問題など、いろんな問題が見 え隠れしているということである。

そんな状況にあるが、先ほど述べたように75 歳以上では、生活習慣病管理料にあたるものが ないということで、もしかして地域の事情によ っては、これを算定、検討せざるを得ないよう なことが出るかもしれない。やはりこれは診療 報酬上の問題でもあることも確かですので、手 上げ制にもなっている。当会としては、この診 療報酬というものが創設の経緯を考えると、や はり慎重に対応はしていただきたいが、最終的 には現時点では医療機関の自主的判断に任せる ということで、今までのところそういうことに なっている。

日医としては、中医協の検証も含めて、今 後、この後期高齢者診療料の算定のあり方とか 実情を見て、フリーアクセスに何らかの問題が 出ている場合には断固修正を迫ると、そういっ たことは言っている。そういうことで当会も考 えている。

この後期高齢者診療料、申請の際の施設基準 になっている研修会というのがあるが、これに ついても、当初は6 月中に説明会について日医 から連絡があるということだったが、その後の 診療料に対する非常にブレた、分かれた見方と か、いろんなものが出てくる中で、日医の中で もやはり研修会そのものを開催すべきかどうか ということで揺れているようである。

現在までのところ、説明会についての通知等 はまだ来ていない。近日中に届くということで あるので、当会としても日医の見解をみた上 で、これまでの経緯も含めて研修会の開催についても、さきほどの診療料のことと併せて慎重 に検討していきたいと考えている。

○山内英樹代議員

山内英樹代議員

先日の会長会議でも那 覇市と南部地区から同じ ような質問があったとい うふうに記憶している。

ぜひ、こういう制度 の問題は代議員会でき ちんと討論すべきだろ うと思う。会長会議の テーマとしてはどうかと私自身は思っているの で、ぜひご検討をお願いしたい。

それからもう1 点、今、担当理事からお答え をいただいたが、県医師会として答えるのは、 日医との関連でかなり問題があるというのは 重々認識しているが、もう少し明確な方針とい うか、日医が提案したフレームワークではある が、当初提案したのとは明らかに内容が違って きているということはあると思う。そのへんを 踏まえて、沖縄県医師会としても、現状ではこ うだというような意見を出していただけると有 難いと素直に感じている。

回答(宮城会長) この後期高齢者医療制 度。「制度」というのと診療報酬上の「管理料」 の問題は分けて考えないといけないと思う。後 期高齢者医療制度に対して明確に反対をしてい る医師会は全国で茨城県医師会だけである。そ のほかの医師会は地区医師会を含めて、診療料 の算定に対しては明確に反対をしている医師会 はいくつかある。そういう意味で、医師会とし ては制度そのものに対して反対ということは言 えないだろうと思う。

ただ、診療報酬上で医療費抑制の仕組みをつ くるということに対して、基本的には反対すべ きだとは思うが、先ほど言ったように県医師会 の理事会でいろいろ検討していった段階では明 確に反対するというのはいろいろ問題があると いうことで、慎重に対応すべきだというのが県 医師会の意見、見解だということである。明確 な姿勢をとるようにという意見は、いろんなと ころからも聞いているが、ただ、地区医師会で もアンケートをとった結果、講習会については ぜひ開催してくれという医師会と、開催すべき でない医師会と、同じような危惧を抱きながら も医師会の態度も変わっている。

そういう意味で、県医師会として講習会を開 くべきではないと。あるいは開かないという明 確な態度は今のところはとっていないというこ とである。ただ慎重に対応していきたいという ことである。日医が講習会を開くということが 出てきたときに、それに対しても慎重な対応を とっていきたいと考えている。

学校医と学校産業医のあり方について (南部地区医師会:代表質問)

○名嘉勝男代議員 最近、学校・産業医の配 置で大変苦慮したので、それでこの問題を提示 している。質問内容はここに書いてあるが、ご 承知のとおり公立学校(高校・特殊学校)にお いては、教員を含む職員数が50 名を超える場 合には、産業医を配置することになっている が、会員によっては産業医を断るケースもあ り、対応に苦慮している。

産業医の資格を持っていない学校医にも半強 制的に産業医を兼任していただいているのが現状 である。ところが現に一部の会員からは、資格を 持っていないのに専門外なので、産業医のことで は責任をとれないなどの厳しい意見もある。

そこで、産業医だけを他の医師に委託すると した場合、問題になるのが産業医の委託報酬で ある。開業医が診療を一時ストップさせて出向 くには、到底見合わない報酬であり、今回の問 題を難しくしている要因だと思われる。

学校に産業医を配置するには、やはりそれに 見合う報酬が必要である。

この件に関しては、再三、医師会へ要請を行 っており、九州各県に比べ本県の学校産業医の 報酬は決して安いものではないことは理解して いるが、上記に述べたように、会員の先生方に 学校医及び産業医を依頼する立場にある医師会 にとっては非常に大きな問題である。

ぜひとも、窮状をお汲み取りの上、問題解決 に向けた対応についてご検討いただきますよう お願い申し上げる。この件に関しては、以前に も再三、取り上げられたようであるが、進展がないということで提案している。

回答(宮里理事) 再三、要請されて進展が ないということだが、やはり再三、要請してき た経緯があり、それが動かない理由としては、 産業医の報酬が日本医師会と厚生労働省と文部 科学省と三者の合意で決められたという経緯が ある。

それから、次世代を担う子供たちのためにボ ランティア精神を発揮してほしいという意図が あり低く設定されている。それでも沖縄県は全 国に比べると低くはないという現状である。も う1 つ動かない理由は、そのための財源がほと んどないということである。財源がないという ことで動きがない。それでも皆様のご苦労に対 して担当部署と交渉は続けていきたいと思って いる。

産業医をしっかり今度要求した場合には、産 業医は月にいっぺん現場に赴くという規定があ るので、そうなった場合は、きっちりと監査が 入るということは答えを得ている。

それから、一番大きな問題として、医師会 長、あるいは担当理事が一番苦労しているの は、おそらくお願いをして断る人がいるという ことだと思う。そういう現状が実は他の地区医 師会でも、特にここ7、8 年出てきている。中 部地区医師会でこれが問題になったことから委 員会をつくり、去年1 年間かけて所轄の教育委 員会にお願いをした経緯がある。中部地区医師 会が一番大きくて会員が508 名、それから南部 地区医師会が385 人いらっしゃる。大きいとこ ろほどそういう問題が出てきているというの は、やはり385 分の1 であると学校医を断りや すいという現状と、それから産業医の先生が少 なくて、特に公立高校、それから特殊学級に関 しては、職員が50 名を超えた場合は産業医を 配することが望ましいとなっているが、産業医 の数そのものが少ない。報酬が少ないというこ とで、いったん引き受けてしまうと次の人が出 てこない。そうすると延々とその職務に就くこ とになる。ところが、ある程度ボランティア精 神を発揮してなされているその職務に対して、 教育委員会と現場の管理者である校長の無理解 が非常に大きい。そもそも学校医は義務教育の小中学校に学校教育法で学校保健法で、子供た ちを心身共に健やかに育て上げて、将来、役に 立つ社会人を育て上げるという目的で医師会は 協力しているはずである。あくまでも協力であ り、私たちは教育委員会の一機関ではない。

ところが、これは先輩方が、戦後、非常にボ ランティア精神を発揮されまして、積極的に医 師を派遣していた経緯がある。ところが本来は 管理者たる校長が自分でドクターを探して依頼 して、それでもできなければ医師会にお願いし て適当な人を推薦してもらうのが筋である。そ の中で話し合って決めるのが本来だと思うが、 今のあり方は、校医あるいは産業医を決めるや り方は、医師会が決めてお願いして派遣すると いう逆の形になっている。そのため、管理者た る校長先生が医師会が送るのは当たり前と思っ ている。だから自分たちの都合の範囲内でし か、健診も組まないし、それからいろんな行事 も組まない。先生の予定を無視してしまう。そ ういう現状がある。

本来ならば、小中学校は義務教育に関しては 積極的に協力すべきであるが、専門学校、高等 学校、大学に関してはその限りではないので、 中部地区の花城担当理事にお聞きすると、私立 高校は校長先生自らが探してお願いして、話し 合いをして行っているので何らトラブルは起き てないとのことである。

下から11 行目をご覧になって頂くと、まず、 いろんな現在の枠組みがある。「公立高等学校 の校医は産業医が望ましい」、「報酬は決まって いて財源はない」、「ボランティア精神を発揮し てほしい」。それから「産業医は医師会がリー ダーシップをとって配置」している現状。それ から「校長あるいは管理者の理解不足」。こう いう枠組みの中で単に報酬を上げても解決しな いと思う。県医師会は報酬アップを図るための 交渉はするが、各地区医師会でやはりこちらか ら配置するのか、お願いされて配置するのかと いう配置の見直しと、それから私たちは教育委 員会の一機関ではなくて、協力機関だというこ とをしっかり打ち立てて、やはり校長先生が探 すべきではないかという選択肢も投げかけてよ ろしいのではないかと思う。探せなければどうぞまた私たちに相談していただきたい。そうい う形であればおそらく学校側の無理解も解消さ れるのではないかと思う。

学校ではおそらく卒業生でドクターもいらっ しゃるであろうし、それから、父兄の中にもい るであろうし、頼まれれば嫌と言わないと思 う。多分そういう選択肢もあってよろしいので はないかと思う。

実は、きのう確認したら、中部地区医師会は、 9 つの市町村があるが、そこの教育委員の方々 に、「自分たちは教育委員会の一機関ではない。 協力機関であるということをしっかりと認識し て、健診に関しても2 カ月前に相談してほしい。 あるいはいろんな問題を事前に調整してほし い。」等を花城先生の名前で出してある。そのこ とから先生方もそうしていただきたいと思う。

それからもう1 つ、初診料、再診料が問題に なったときに日本医師会の担当理事が日医ニュ ースに書いてあったので皆さんもご覧になった かと思うが、開業医はアフター5、それから、 昼休み、診療時間もときには社会貢献してい る。その最たるものが学校健診であり、予防接 種である。再診料、初診料を下げてもらわない ためにも社会貢献をしているということを切り 札に使っているので、ぜひそこらへんも勘案し て、この問題はやはり社会奉仕という一面と、 それからもう1 つ、おそらく不満はそこだと思 うが、配置に関してもう1 回教育委員会としっ かり打ち合わせしたほうがよろしいのではない かと思う。

○名嘉代議員 今のご意見で公立高校の学校 長自ら校医を探す、依頼すると言うが、今回こ の件を申し入れる予定はあるのか。

回答(宮里理事) それは各地区医師会でや っていただきたい。ただ、こちらとしては報酬 を上げる交渉は持続してやる。それから、必要 があれば教育長にそれを意見として上げる。

○中田安彦代議員 地区医師会は、地区の医 療関係についてやっているが、県立学校という のは、県の組織なので、本当は県医師会がやる べきじゃないか。

以前、中部地区の県立高校は、中部地区医師 会が斡旋して校医を出しているが、考えてみれ ば、習慣的にやっていることだが、組織を考え たら日医は国全体のこと、県医師会は県に関す ること、地区は地区医師会と考えているがいか がか。

○宮里理事 それで良いかと思う。