沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 8月号

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編集後記

今月はトピックスとして、1)地区医師会長会 議、2)第106 回沖縄県医師会医学会総会、3)マ スコミとの懇談会「後期高齢者医療制度」につ いて、4)緑蔭随筆16 編、の4 題を取り上げて いるが、何れも時宜を得たものであり、また読 み応えのある内容であった。

1)地区医師会長会議は真栄田篤彦常任理事から の報告であるが、今年の11 月には完成・引き 渡しが見込まれる医師会館建設の順調な進捗 状況の確認、併せて開館運営の細則や建設に 係る諸経費賦課徴収の改正、補正予算等の検 討がなされ、6 月26 日の臨時代議員会への報 告が決定された。また、いま議論沸騰する 「後期高齢者医療制度」の問題についても、 各地区医師会から諸々の意見が出されたが、 日医の基本的なスタンスを確認して、当面は 厚労省の制度改変の成り行きを静観する構え である。

2)第106 回沖縄県医師医学会総会は中部病院の 上田真先生による感想記であるが、142 題の 一般演題の盛況さに加え、ミニレクチャー2 題や、特別講演である「死生学入門〜こころ 豊かに生きるために〜」という非常に重いテ ーマを、ユーモアたっぷりに語られる上智大 学名誉教授アルフォンス・デーケン先生の 哲学の広さと深さへの共鳴が印象的である。

3)マスコミとの懇談会「後期高齢者医療制度」 については玉井修理事の報告であるが、マス コミ関係者10 人、医師会関係者14 人の参加 で去る5 月21 日に行われた。宮城会長のス ライドを使ったプレゼンテーションに引き続 いて、マスコミ側との意見交換がなされた が、我々医療者側にも理解が困難な複雑怪奇 な日本の医療制度の中で、新たな火だねとし て登場した「後期高齢者医療制度」の抱える 問題点をどこまでマスコミ側に伝えることが 出来たのか、その不安は拭いきれないもの の、マスコミの持つ大きな社会的な影響力を 考えると、このような懇談会を持つ意義が強 く感じられるものである。

4)緑蔭随筆16 編は、壮観である。新春干支随 筆と併せて年2 回の随筆特集であるが、今回 も読み応えのある話題が満載であり、読者の 皆さんも存分に堪能されるものと確信する。 以上の4 題が今月号で取り上げたトピックス である。

生涯教育コーナーは沖縄リハビリテーション センター病院・又吉達先生の「脳卒中後の視野 障害に対するリハビリテーションの新たな試 み」であるが、視野障害に対するリハビリテー ションの取り組みがあることへの驚きと共に、 リハビリテーションの世界の深さと広がりに感 服した。

インタビューコーナーでは、筆者の後任で久 米島病院の院長に赴任された村田謙二先生の登 場であるが、新天地に掛ける意気込みと情熱が 直截に感じられ、既に当地の自然と風俗に十分 にとけ込んでいる様子が窺える。

今月の「発言席」は、特筆である。今帰仁診 療所・石川清和先生の投稿で、「中国の危険な 食品」と「中国に人民元はない」という2 冊の 本の紹介であるが、かつて自らを中華と呼んだ 漢民族の誇りはどこへ行ったのだろうか。「眠 れる獅子」が国家の近代化に乗り遅れ、もがき 苦しむ有り体が、中国を「近くて遠い未知の 国」としているのか。オリンピック開幕も直前 に迫っているが、北京へ出かける予定の人には 必読の本である。

広報担当理事 當銘正彦

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