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日医会長に唐澤��人氏再選出
−第118回日本医師会定例代議員会−

常任理事　安里　哲好

去る4 月1 日（火）、2 日（水）の両日にわた り、日本医師会館において、第118 回日本医師 会定例代議員会が開催された。

会長選挙については現職の唐澤��人氏と兵庫 県医師会員の下間秀晃氏が立候補し、事実上唐 澤氏の信任投票となった。結果は約9 割の票を 獲得した唐澤氏が再選を果たした。

なお、当代議員会の概要は以下のとおり。

第1 日目（4 月1 日）

当日は定例代議員会に先立ち九州ブロック日 医代議員連絡会議が開催され、北野邦俊熊本県 医師会長より挨拶が述べられた後、議事運営委 員の横倉義武福岡県医師会長より前日に行われ た議事運営委員会について報告があった。

なお、今回の代議員会副議長候補である米盛 學鹿児島県医師会長から、日本医師会の進路を 決める重要な役割を仰せつかる立場に立とうと しており、九州は一枚岩となって協力をお願い したい旨の挨拶があった。

第118 回日本医師会定例代議員会

定刻になり、仮議長に遠藤俊一議員（東京 都）が選出され、仮議長より開会宣言が述べら れた後、出席代議員の確認（氏名点呼）が行わ れ、定数354 名に対し、2 名欠席の352 名の出 席をもって会の成立が確認された。

続いて遠藤仮議長より議事録署名人として稲 倉正隆代議員（宮崎県）、鈴木勝彦代議員（静 岡県）が指名され、議事が進行された。

選挙

（1）議長選挙

定数1 名に対し候補者は石川育成氏（岩手 県）1 名のため、投票によらず同氏を当選人と 決定した。

なお、議長の挨拶は以下のとおり。

「引き続き議長職の承認を頂きありがとうございます。これまで副議長3 期、議長1 期の計 8 年に亘り代議員改革に取り組んできたつもり でございます。今後は定款30 条に従い、さすが 日本医師会だと評価されるような真摯な議論と 秩序ある代議員会を目指して努力いたします。 変わらぬご指導ご叱正をお願いいたします。」

（2）副議長選挙

定数1 名に対し、候補者は有山雄基氏（奈良 県）、米盛學氏（鹿児島県）の2 名のため、選 挙立会人並びに開票管理人の立ち会いのもと選 挙が行われ、開票の結果米盛學氏が当選した。

※米盛學氏206 票、有山雄基氏143 票、白 票1 票（有効投票数350 票）

なお、新副議長の挨拶は以下のとおり。

「皆様方の熱き思い、熱き期待を頂戴し、ハラ ハラしながら待っておりました。ありがとうござ いました。私は各ブロックの先生方に非常に失 礼をしました。2 人で一つの席を目指すというこ とについて、非常に熟慮に熟慮を重ね、1 週間前 に立候補するという事態になり、皆様方へご挨 拶状をお送りする暇もなかったことをお許しく ださい。ここに皆様方のご信任を得て、石川議 長を支えると共に、唐澤執行部の更なる発展と、 各都道府県医師会が一致団結して世界に冠たる 日本の医療を守りぬいていけるようにすること が私の役割であろうと思っております。

微力ではございますが、皆様のご期待に沿え ますよう誓いを立てご挨拶に代えさせていただ きます。」

※副議長選挙終了後、議長より8 名の議事運営 委員（各ブロック）が指名され、役員選挙の進行 を確認するため議事運営委員会が開催された。

（3）会長選挙

定数1 名に対し候補者は唐澤��人氏（東京都）、 下間秀晃（兵庫県）の2 名のため、選挙立会人並 びに開票管理人の立ち会いのもと選挙が行われ、 開票の結果、唐澤��人候補者が当選した。

※唐澤��人氏304 票　下間秀晃氏27 票　白 票20 票（有効投票351 票）

（4）副会長選挙

定数3 名に対し、候補者は岩砂和雄氏（岐阜 県）、竹嶋康弘氏（福岡県）、宝住与一氏（栃木 県）の3 名のため、投票によらず3 氏を当選人 と決定した。

（5）理事選挙

定数13 名に対し候補者は下記13 名のため、 投票によらず全員当選人と決定した。

鈴木聡男（東京都）　北野邦俊（熊本県）

久野梧郎（愛媛県）　長瀬　清（北海道）

塩見俊次（奈良県）　妹尾淑郎（愛知県）

沖田信光（佐賀県）　伊東潤造（宮城県）

碓井静照（広島県）　鶴谷嘉武（群馬県）

酒井國男（大阪府）　小林　博（岐阜県）

高島三喜（栃木県）

（6）常任理事選挙

定数10 名に対し候補者は11 名のため、選挙 立会人並びに開票管理人の立ち合いのもと選挙 が行われ、開票の結果下記10 名が当選した。

三上裕司（大阪府）　木下勝之（東京都）

石井正三（福島県）　藤原　淳（山口県）

中川俊男（北海道）　羽生田俊（群馬県）

今村定臣（長崎県）　内田健夫（神奈川県）

飯沼雅朗（愛知県）　今村　聡（東京都）

続いて（7）監事、（8）裁定委員の選挙が行 われ、いずれも定数内の候補者で投票によらず 下記のとおり当選人と決定した。

監事

大西雄太郎（長野県）　森下立昭（香川県）

森　洋一（京都府）

裁定委員

知念昭男（東京都）　奈良橋喜成（東京都）

油谷桂朗（京都府）　蟹江孝之（長野県）

凌　俊朗（佐賀県）　長田昭夫（鳥取県）

神山照秋（群馬県）　皆藤美實（栃木県）

國井一彦（山形県）　岡田幹夫（静岡県）

島田保久（北海道）

投票風景

その後、石川議長から当選者の紹介が行われ、 当選者を代表して唐澤会長から概ね次ぎのとお り挨拶があった。

「役員をご選出いただきまして、ありがとう ございました。医療を囲む環境は非常に厳しい ものがありますが、この道を切り開くべく今後 2 年間誠心誠意努力いたします。副会長、理 事、常任理事と力を合わせ一丸となって先生方 のご期待に応えるよう努力いたしますのでご支 援ご指導賜りますようお願いいたします」

2 日目（4 月2 日）

唐澤会長から所信表明が述べられると共に、 3 期目の日本医学会長に就任された高久史麿会 長より挨拶があった。

唐澤��人会長挨拶（要旨）

唐澤会長は2 年間を振り返り、「未曾有の医 療制度転換期の中で、荒波を全身に受けながら の船出となり、経済財政諮問会議が打ち出した 5 年間で1.1 兆円という社会保障費の圧縮、十 分な検証がないままに成立した医療制度改革関 連法などになんとかブレーキをかけるべく必死 で戦い続けてきた。政府による財政主導型の医 療制度改革がこのまま続けば、国民の負担増と 医療の質の低下を招き、地域医療体制は崩壊へ の道を辿ることになると憂慮している。日本医 師会の基本的使命は、学術団体として国民医療 に貢献することであり、心温まる医療、満足度 の高い医療の提供に精励すると共に、普遍的な 医療提供体制の確立への努力が最重要である。 この目的のため将来性のある医療政策と理念を 掲げ国民の求める医療を追究していくことが第 一義であり、そのためには、全国の診療所医 師、勤務医、研修医、青年医師、女性医師な ど、ことに昨年沖縄県において開催された全国 医師会勤務医部会連絡協議会における「沖縄宣 言」等を尊重し、すべての会員の意見の集約を 図り、医療の進むべき方向について有効な政策 を提言していく努力が必要であるとして、新執 行部一丸となって全身全霊を打ち込んで会務を 遂行していく」との決意が述べられた。

その後、竹嶋副会長から平成19 年度の会務 報告が行われた後、引き続き議事7 議案につい て審議されると共に、ブロック代表質問（7 件） 及び個人質問（12 件）についての質疑が行わ れた。

特に、2008 年度の診療報酬改定における 「外来管理加算5 分要件」については、現場が 混乱することが必至であるとして、日医は撤廃 を目指すべきだとの意見が相次いだ。これに対 し、竹嶋副会長は日医として一貫して反対した ものの結果的に5 分目安が入ったが、実際は5 分という数字にこだわらず十分に幅をもたせて 行ってもらいたいと述べると共に、4 月以降の 中医協で外来管理加算の見直しを含めて議論し たいと説明した。

また、「死因究明制度」問題に絡んだ質問が出され、これに対し、宝住副会長並びに木下常 任理事は医療安全調査委員会（第三者機関）の 設置は、診療関連死が起こったら警察に届ける という仕組みではなく、我々医療界が責任を持 ってこの問題に対応しようという仕組みであ り、一両日中に出される予定の厚労省第3 次試 案が、我々と同じ対応となるので是非ご覧いた だきたいと説明した。

また、同委員会の調査報告書については、医 療界の代表が中心となった委員会に届けられ、 そこで判断される。隠ぺいやカルテの改ざん、 リピーターなどは例外として、それ以外は原 則、捜査機関に提出することはない。行政処分 についてはこれまでの制裁型から再教育を主体 とする支援型になると共に、病院に対しても医 療業務改善指導という新たな仕組みが出来る。 委員会を厚労省に置くことについては、あくま で事務局が設置されるのであり、医療行政の中 心である厚労省に置くことが合理的だと考えて いるとの説明があった。

また、「新医師臨床研修制度の見直し」に対 する質問については、岩砂副会長から新医師臨 床研修制度が国民医療崩壊につながる危機的状 況をもたらしたとの意見が示され、代議員より 提案された、卒前・卒後の教育を含む一貫性の ある教育システムを再構築して臨床研修期間を 1 年間短縮することについて検討の余地は十分 あるとしたが、先ず今後は新制度が医師不足・ 医師偏在にどのような影響を与えたかを検証 し、今後の政策提言のための基礎資料とすべ く、全国の大学医学部と臨床系の教室宛にアン ケートを送付したとの説明があった。

そのほか「日医の対外広報費の倍増」、「看護 師国家試験合格ラインの設定」、「勤務医の職場 定着推進」、「日本医師会勤務医部会の設立」等 についても活発な質疑が交わされた。

議事

第1 号議案　平成19 年日本医師会会費減免申 請の件

宝住副会長より資料に基づいて提案理由の説 明があり、賛成挙手多数により原案どおり承認 された。

第2 号議案　平成20 年度日本医師会事業計画 の件

第3 号議案　平成20 年度日本医師会一般会計 予算の件

第4 号議案　平成20 年度医賠責特約保険事業 特別会計予算の件

第5 号議案　平成20 年度日治験促進センター 事業特別会計予算の件

第6 号議案　平成20 年度医師再就業支援事業 特別会計予算の件

第7 号議案　日本医師会会費賦課徴収の件

上記2 号議案から7 号議案について関連事項 として一括上程され、第2 号議案について竹嶋 副会長より、第3 から7 号議案について宝住副 会長よりそれぞれの提案理由の説明が行われた。

また、宝住副会長より追加議案として第8 号 議案日本医師会役員功労金支給の件について、 今回退任された前役員の先生方への功労金支給 についての提案理由の説明があり、賛成挙手多 数により原案どおり承認された。

なお、議案の審議について、議事進行の都合 により、議長から予算委員会を設置して同委員 会に一括審議を付託することが提案され、賛成 多数で承認され、予算委員25 名が指名され （本県から小渡副会長が就任）、別室にて審議が 行われた。

その後、個人質問が再会され個人質問終了 後、予算委員会の浅野定弘委員長（滋賀県）よ り、第2 号議案から7 号議案まで、それぞれ担 当理事から説明を受け、慎重に審議した結果、 全会一致で原案どおり承認した旨の報告があっ た。以上の報告を受け、本会議における評決を 諮ったところ、賛成起立多数により、原案どお り承認可決された。

最後に、唐澤会長並びに石川議長から閉会の 挨拶が述べられ、代議員会は閉会し引き続き第 66 回日本医師会定例総会が開催された。

第66 回日本医師会定例総会

総会は、まず唐澤会長より開会の辞が述べら れた後、次の3 点について報告が行われ、全会 一致で承認され会を閉じた。

• （1）庶務及び会計の概況に関する事項
• （2）事業の概況に関する事項
• （3）代議員会において議決した主要な決議

に関する事項

印象記

副会長　小渡　敬

去った4 月1 日と2 日に、日医会館で1 日目は複数立候補のあった日医会長と代議員副議長およ び常任理事の選挙が終日行われ、翌日は定例代議員会でブロック代表の質問と個人質問が行われ ました。選挙については、九医連が推薦した候補者が全て当選し、第2 次唐澤執行部がスタート しました。特に日医副議長については、鹿児島県医師会の米盛學会長が1 週間前の立候補にもか かわらず、現職を破り63 票差で当選しました。前回の選挙でも長時間を要し、議場閉鎖のため外 に出れず、その時にも出来れば別の人に代わってもらいたいと思いましたが、今回も再び同じ思 いをしました。

2 日目は、定例の事業計画と各種会計予算の審議がなされました。私は玉城副会長の代わりに 予算委員会に出席をしたため、代議員会での全ての質問を聞くことは出来ませんでしたが、代議 員会では死因究明制度の第3 次試案と、今年度の診療報酬改定の中で要件が見直された外来管理 加算いわゆる5 分要件問題に質問が集中していました。その5 分要件問題については、担当の竹 嶋副会長が答弁にあたり、これを導入した背景には再診料の引き下げを阻止するために苦渋の選 択であると述べていましたが、いずれにしても歯に衣を着せた不明確な回答であり、釈然としま せんでした。第3 次試案についても激しいやり取りがあり、木下担当理事が興奮気味に最終的な 結果を見て欲しいと述べていたのが印象的で、日医の対応を信頼しても良いような印象を受けま した。

会議づくしでうんざりしたので、帰りに花見を楽しむため上野公園に寄りましたが桜より人の 数が多く、しかもアジアの観光客が大挙押し寄せ、桜は美しかったが花見にはなりませんでした。 しかし同公園内にある東京国立博物館で、平城遷都1300 年記念「国宝薬師寺展」が開催されてお り、そこで日本仏像彫刻の最高傑作のひとつとして知られている日光・月光菩薩立像（国宝）を 直接間近で観る事ができました。私は仏像のことは詳しくありませんが、本物を間近で観るとそ の荘厳さと迫力に感激しました。

印象記

常任理事　真栄田　篤彦

今回は日医の会長選挙があるので、4 月1 日、2 日と二日間にわたり、日医会館に長時間詰め た。第一日目の9 時から、九州ブロックの九州医師会連合会の事前集会があり、その中で、今回 の代議員会副議長選に出馬を決意された鹿児島県医師会長の米盛學先生の決意表明挨拶があり、 九州連合会として一致団結して「九州はひとつ」の合言葉を強調され、投票へのお願いがあった。 又同じく日医理事および日医常任理事の九州ブロックからの再任投票依頼もなされた。

同日9 時30 分より定例代議員会がはじまった。今回の会長選においては、対立する有力候補は なく、予想通り、近畿ブロックを除く全てのブロックが唐澤��人現会長を推薦していたので、圧 倒的多数で唐澤現会長が再選された。唐澤会長は健康上はなんら問題ないと話し、今後日医執行 部が一丸となって日本の医療費抑制政策の方向転換を目指していくと表明した。近畿ブロックが まだ混沌としているので、まだ日医は全国一本化はされていないが、今日の医療危機を乗り切る ためにはやく、一本化に向けて頑張って欲しいと思う。

印象記

常任理事　安里　哲好

初日は議長・副議長選挙と会長・副会長等の選挙が行われた。結果はすでに新聞等での報告の通 りで、唐澤��人会長が再選し、九州からは竹嶋康弘副会長（福岡県）、米盛學副議長（鹿児島県）、 今村定臣常任理事（長崎県）、沖田信光理事（佐賀県）、北野邦俊理事（熊本県）が選出された。

2 日目は唐澤会長2 期目の就任挨拶があり、足取りもしっかりしており、話し方もスムーズで、 内容も素晴らしく、完全復活のような感がし安堵した。昨年、沖縄県での、全国医師会勤務医部 会連絡協議会の際に、唐澤会長を飛行場まで迎えに行き、また、素晴らしい特別講演もしていた だいたことへのお礼を、長崎での九州医学会総会の懇親会で述べた矢先のご病気でしたので、非 常に心配していたが、健康なお姿を拝見して、重ね重ね安心した。会長の挨拶の要旨は、全国の 診療所医師、勤務医、研修医、青年医師、女性医師など、特に沖縄県での「沖縄宣言」等を尊重 し、すべての会員の意見集約を図り、医療の進むべき方向について有効な政策を提言していきた いと述べていた。

ブロック代表・個人質問の中では、「死因究明制度」についての議論が多くなされた。日本医師 会は、警察庁との間で継続的な協議を行い、全ての届けるべき診療関連死はまず第三者機関であ る医療安全調査委員会に届け出て、そこで医療の専門家である医師を中心とした調査委員会で原 因を究明し、例外的に悪質で故意や重大な過失（隠ぺいや改ざん、同じミスを繰り返すリピータ ー）である事例のみを限定し調査機関へ通知することになったと述べ、このたび、日医の考えを 入れ、厚労省は第3 次試案として発表するとのこと。

代議員会の代理出席は二度目だが、会長選挙に加わったのは初めてである。会場を閉鎖し、選 挙の時は入退場ができない状態にして、事務局が各出入り口に2 名ほど立っていて、どうしても （時として、命に関わる状況が発生するかもしれないので）の時は議長の許可を得てのみ、外に出 られる状況であった。しかし、選挙はスムーズに進み、会長就任祝賀会（東京駅の近くのホテル） の前に、上野公園での薬師寺仏像の展示と桜を鑑賞できた事は、雑踏の中であったが、心地よい ひと時を享受した。

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