沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 2月号

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編集後記

全国的には、例年通り厳しい寒さが伝えられ ていますが、当沖縄では、25 ℃を越える夏日 が54 年ぶりに5 日以上続いた等、全般に温暖 な気候で年が明けました。厳しさの増す医療界 も、暖かみが実感できる状況への変革が望まれ てやみません。

報告事項で、県内および全国での「国民医療 を守る大会」が報告されていますが、この中で 宮城信雄会長が述べられているように、行政は 財政難を理由に医療費削減を進め続け、医療崩 壊の危機におとしめています。即ち、過重労働 に起因する医師・看護師不足による産科・小児 科等の地域医療提供の消失、高齢者の長期入院 病床削減、患者一部負担の引き上げによる医療 受診機会の減少等々が危惧されています。その ような中、座談会「療養病床の今後について」 が行われています。本県における療養病床の現 状、当局が規定した区分1 が実状はどういった ものか、これを削減することにより、医療難民 の増加が明らかであること、本県の社会性に合 った施策が必要であることなど、様々な問題点 がよく理解できるように感じました。医師会、 県、療養に関わる様々な職種の方々、老人会を はじめとする県民の方々が、正に歩調を合わせ て、この大難題に対処していきたいものです。

全国勤務医担当理事連絡協議会について安里 先生から報告されていますが、大阪府医師会 の、医療費抑制政策に対してデモなどでもっと 強くアピールを!との提言が印象的です。世論 へのより以上の強い呼びかけが必要な事は確か と思います。

近く実施となる特定健診・特定保健指導につ いては、実施に際しての詳細な質疑応答が掲載 されています。

厳しさの増す医療状況の中で20 年同一施設 で勤続されたコメデイカルの方々142 名が表彰 された事を嶺井先生が報告されています。述べ られているように、全ての医療従事者にとって 働きがいのある職場作りが大切と思います。

比嘉國郎先生沖縄県功労章受章・稲冨洋明 先生日本医師会最高優功賞受賞・中村義清先 生旭日双光章受章祝賀会について安里先生が報 告されています。御三名の先生方におかれまし ては誠におめでとうございます。今後とも変わ らぬ御指導を賜りたいと存じます。

アレルギー週間に因んで、嘉数朝一先生と荻 原啓介先生に各々アスピリン喘息とアトピー性 皮膚炎に対するステロイド軟膏の使い方につい て解りやすく説明して頂きました。早速、明日 からの診療に役立てたいと思います。

「生涯教育コーナー」では百名伸之先生が 「こどもの貧血」について詳述されています。 貧血は比較的ありふれた症候ながら、その病態 は多様です。症例を挙げながらの解説で門外漢 の小生にとっても勉強になりました。

インタビューコーナーでは、沖縄県医師会女 性医師部会会長の依光たみ枝先生が登場してい ます。多忙な医師業務と家庭との両立は、大変 御苦労があるものと思われますが、敬服の一語 です。女性医師部会は勿論、医療界の過重労働 等の解決に向け、御活躍を期待いたします。

吉原邦男先生、金城譲先生には、個人的、 集団的違いはありますが、それぞれ御活躍の近 況をいただきました。

随筆コーナーでは、中山良有先生に「英国湖 水地方紀行」の投稿をいただきました。自然や 伝統の保持、全く同感です。当地においても、 同様な考え方は、是非必要と考えます。樋口大 介先生の「ある内地の病院午前4 時の救急室」、 過重労働の改善が絶対不可欠です。長嶺信夫先 生の「古文書にみる聖なる菩提樹の歴史(前 編)」、歴史の重みが感じられます。

今月号にもみるように、医療界の実状は厳し さが続いていますが、現状を理解し、改善に向 け協力しあっていきたいものです。

広報委員 久場 睦夫

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