沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

前のページ | 目次 | 次のページへ

年頭所感

宮城信雄

会長 宮城 信雄

平成20年の初春を迎えるにあたり、会員の皆 様に謹んで新年のお喜びを申し上げます。

昨年の7月に行われた参議院選挙で武見敬三氏 を当選させることが出来ませんでした。自民党 も歴史的大敗を喫し民主党が参議院で第一党に なりました。衆議院では与党が3分の2を占めて おり衆参両議院でいわゆるねじれ現象が生じて おります。これは宙に浮いた年金問題や政治と お金の問題、閣僚の相次ぐ失言に国民の怒りが 爆発し政権交代への意思表示がなされたともの と思われます。又、強い批判にもかかわらず続 投表明をされた安倍総理が突然政権を投げ出し 福田内閣が誕生しました。与党の大敗により結 果的に期限つきではありますが高齢者医療費の 窓口負担増の凍結がされ、75歳以上の一部から の新たな保険料徴収も凍結される見込みです。

新臨床研修制度を機に表面化した産科、小児 科医の不足、離島へき地や地方の公的病院の崩 壊は社会問題から政治問題に発展してきまし た。当初、科や地域の偏在として医師不足を認 めてこなかった国もようやく不足を認め医学部 の定員増などの医師確保政策を打ち出すように なりました。しかし年間110人程度では焼け石 に水の感が致します。

1990年代からの医療費抑制政策特にここ3回 続いた診療報酬のマイナス改定により日本の医 療は崩壊の危機に瀕しています。GDPに占め る国民総医療費の割合はすでに医療崩壊をして いるイギリスにも抜かれOECD加盟30カ国中 22位になり先進国では最下位に転落をしまし た。医療費削減がこれ以上続くと日本の医療は 完全に崩壊をきたすとの危機意識から医療の充 実に必要な財源の確保を求めて国民医療協議会 主催による「国民医療を守る決起大会」が200 名以上の国会議員の参加と医療関係者2,300人 が12月5日に東京に結集し開催され、それに呼 応する形で「国民医療を守る県民集会」を沖縄 県でも12月20日に開催しました。

昨年4月には仲井眞知事の理解を得て玉城信 光沖縄県医師会副会長が沖縄県の政策参与に就 任し、医療全般に亘って知事に直接提言出来る 立場になりました。政策参与をサポートする 「沖縄の医療のグランドデザインを描く委員会」 も立ち上がりより具体的な提言ができる体制が 整いました。会員の皆様も是非ご意見、ご提言 をして頂ければ幸甚に存じます。

去る12月17日に厚労省から平成17年の平均 寿命が発表され、県内女性は辛うじて一位を維 持しておりますが、肥満率が男性、女性ともに 全国一であり、肥満率の減少がないかぎり知事 公約の一つである長寿県復活は困難と思われま す。今年は肥満解消元年と位置づけて新生活改 善県民運動を展開することを提案していきたい と考えています。

メタボリックシンドロームに着目した特定検 診・特定保健指導が保険者に義務付けられ4月 から実施されます。会員が積極的に関与してい く必要があります。契約方法や健診料につきま しては保険者側と鋭意交渉中であり近日中に合 意を見る予定です。後期高齢者医療保険もスタ ートします。保険料については一定の案が提出 されてはいますがどのような医療提供体制にな るかは予断を許さない状況です。3 月までぎり ぎりもつれ込むおそれもあります。

永年の懸案事項でありました医師会館建設の 着工も建築基準法の改正に伴い若干遅れました が10月には完成の予定です。会館建設にともな い先生方には運営費を含め負担をして頂いてお りますが、ご理解の上ご協力の程宜しくお願い 申し上げます。

平成20年が会員の皆様にとって希望に満ち た一年となりますよう心から祈念して私の念頭 のご挨拶と致します。

前のページ | 目次 | 次のページへ