沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 12月号

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編集後記

朝夕は肌寒くなり、体調を崩してしまいやす い時期になりました。会員の皆さんは体調管理 怠りなく、日々の診療に励んでいらっしゃる事 と思います。医療を取り巻く環境も激変し、財 政主導の様々な改革が行われようとしていま す。社会福祉予算の削減は、いつも弱い立場の 者たちに負担が大きく、弱い者いじめの改革が 社会全体の不安を拡大していきます。これだけ の事をしておきながら、政府や官僚は実際に社 会的弱者の不利益は生じていない等とうそぶく 厚顔さは全くあきれる限りです。

第117回日本医師会臨時代議員会では後期高 齢者医療制度における主治医制度について、療 養病床の再編について、有床診療所について、 沖縄の日本脳炎ワクチンの確保に関して議論を してきました。現場において病める者に接する のは臨床現場の医師です。医師会はこの立場を しっかり社会にわかっていただき、声を上げて 患者さんのための提言をしていきたいと思いま す。平成19年度全国医師会勤務医部会連絡協議 会では、いまや過酷を極める勤務医の実態を踏 まえて、勤務医の勤務状態の改善や、女性医師 就労に関しての支援体制の充実を訴える沖縄宣 言を採択し、国に働きかけを行う事になりまし た。平成19年度第1回沖縄県医療保健連合(な ごみ会)幹事会では、健康福祉の向上のため 様々な関係機関が連携して取り組んでいく為に 様々な活動がなされようとしています。真栄田 篤彦常任理事には、南風原町新川に建設される 新沖縄県医師会館の建設工事安全祈願祭につい てご報告頂きました。新会館建設には会員の皆 様のご協力が必要です。なにとぞご理解、ご協 力を賜りますようお願い申し上げます。今回は 緊急提言として琉球大学医学部附属病院第一内 科の健山正男准教授より急増する沖縄県の HIV/AIDS患者の現状と今後の課題に関してご 寄稿いただきました。多くの医師がHIV/AIDS 患者に遭遇する可能性があるようです。しっか りと勉強して対応していきたいものです。琉球 大学医学部附属病院耳鼻科の鈴木幹男先生から は、耳鼻科領域の内視鏡下手術について詳細に 解説していただきました。低侵襲性と整容性に 優れた内視鏡手術の進歩が非常によくわかりま した。県立南部医療センター・こども医療セン ターの伊良波史朗先生には、転移性骨腫瘍と放 射線治療について詳説していただきました。骨 転移による癌性疼痛に対して非常に有効な姑息 的照射(緩和治療)は放射線治療のタイミング が重要のようです。頭蓋骨縫合早期癒合症の診 断については南部医療センター・こども医療セ ンターの下地武義先生よりご寄稿いただきまし た。乳児期健診の際にしっかりみておきたいと 思わせました。健康に関して喜久村徳進先生か ら、特に霊的(スピリチャル)という部分に関 してご投稿いただきました。霊的健康は足るこ とを知る事で近づけるのかもしれません。医師 不足と新臨床研修医制度の問題点に関してはハ ートライフ病院の佐久川廣先生よりご投稿いた だきました。特に2年目のスキルアップを如何 に図っていくべきか、後期研修を含めて大きな 課題でもあります。沖縄で優秀な医師が育ち、 長く活躍出来るためには、沖縄全体を一つとし たグローバルな研修協力体制が構築される必要 があるのではないかと思いました。リレー随筆 では勝連英雄先生に、医師に至り、そして今に 至る道のりを語っていただきました。随筆では 豊見城中央病院の桑江紀子先生に、とても繊細 な文章を書いていただきました。また吉川朝昭 先生には愛情あふれる親と子のふれあいを熱く 語っていただきました。総合保健協会附属診療 所の大城盛夫先生の「安里川の岸辺」は心に染 みます。天が時を与え、地が利を与え、人は和 をもって何事か成すのでしょうか。若手コーナ ーでは与那原中央病院の安里英樹先生に書いて いただきました。安里先生は同期生でもあり、 安里先生がいかに野球にうち込んでいたかもよ く知っています。人との出会いの中で、整形外 科医師として大きく成長し、尚も感謝という言 葉をテーマにするあたりは安里先生らしいです ね。その昔学生の頃、コンパの帰り、安里先生 と二人で一緒に酔っぱらって国際通りを歩いて いるとき、恰幅の良い安里先生とマリンらしき 外人の方がケンカしそうになりましたね。小柄 な私はきっと殴られるのは私だと直感し、アイ ムソーリー、ベリーソーリーと土下座して謝っ た思い出を思い出しました。あああ、恐かった。

広報委員 玉井 修

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