異常気象という言葉がひんぱんに使われた今年の夏が過ぎようとしています。酷暑という言葉も登場し、本土で40℃を越す地域も出てきました。南国沖縄でさえも最高気温32℃〜33℃までしか表示されず本土の友人にはほんとの暑さは温度表示ではなく直射日光の強さで決まるものだと強がってみました。この異常気象は地球温暖化によるものとされますが、我々は何の手もうてずにいます。人類の未来はどうなるのか気にもなりますが、編集後記の〆切がもっと気になり、書き出しています。
さて会報10月号の巻頭に先日那覇空港で発生した中華航空機炎上への対応が3人の先生方から報告されています。その日テレビで飛行機炎上爆発のシーンが流されていましたが、その裏で那覇市医師会の先生方が苦労しながら空港に駆けつけていたことをはじめて知り感服した次第です。空港をかかえている医師会として日頃から対応のマニュアルは作っていたとの事ですが、診療を中止しての行動にはただただ頭が下がる思いです。今回の事故では3人の先生方が供に指摘していますように、都市部における緊急時の現場へのアクセスの方法が大きな問題のようです。災害時には現場での救急対応が必要であり、医療チームの早めの到着が必要とされます。今後、警察、消防、市との間でしっかりしたマニュアルが作られ、実行されていくものと思われます。それにしても医師、看護師が頑張る必要のない時には被災者がいないということで、とてもいい状況なのだと認識を新たにしました。
10月号には生活習慣病に関連した報告がいくつか見られます。
九州各県医師会学校保健担当理事者会の報告では学童の生活習慣病が取り上げられ、学校健診での対応の必要性が示され、行政へのはたらきかけが必要とされています。物が豊かな社会で育てられている子供達の健康はそこまで危機に瀕しているかとの思いです。
第2回沖縄県医師会と沖縄県福祉保健部連絡会議では成人の生活習慣病について話し合われました。現在沖縄県では生活習慣病に起因する死亡者が増えています。県福祉保健部から平成20年からの医療制度改革の一環として特定検診、特定保健指導が実施されますが、これに的確に対応し県民の健康づくりへの積極的な姿勢が示されました。これに対し、医師会役員からも具体的な提案が出され生活習慣病の減少、そして長寿県の復活へ向けて協力していく方向が示されています。
月(週)間行事のお知らせでは琉大二内の須教授が長年の研究結果から沖縄における糖尿病の増加が指摘されています。1991年からの15年間で県内の糖尿病患者は倍増しています。その原因は食事の問題や歩行移動時間の減少などであることがデータで示されています。糖尿病は早期発見が大事で治療も可能です。10月に始まる糖尿病週間で県民の中に糖尿病に対する認識が高まることを期待したいと思います。
生活習慣病は成人に対する啓蒙も必要ですが、中・高校生を含め幼少期から食事、運動の重要性をしっかり教育していく必要があるのかもしれません。
今号で20頁にわたり「ドクターハラスメント」の特集を報告しています。10回目となる医療に関する県民との懇談会は県民の代表14人と医師会側から宮城会長以下6人の役員が出席され、玉井担当理事の司会で進められました。民間の委員から身近で聞かれた様々な情報が述べられました。多くの医師は決して悪意を持って患者に接することはありません。しかし意思疎通の不充分さの結果として多くの不信、不満が患者サイドには残っているようです。ある委員から患者は元々医師を頼りにし病気を治してもらいたくて病院に行っているし、もっと丁寧に対応する必要があるとの指摘があります。患者の話を丁寧に聞く、結果を丁寧に伝える、予後について丁寧に話す、こうやって丁寧をつけて行動すれば多くの患者は納得するかもしれません。
ドクハラは医師の意志に関係なく医師と患者の間の信頼が欠如のためおこることは明白です。今回の座談会では皆さんの持っているドクハラに対する考えが出されてそれについて話し合われており、かなり理解しあえる部分が増えたのではないかと思います。また違う形でこのドクハラの問題は取り上げてみてもいい問題だと思います。
10月号にはその他多くの先生方から貴重な投稿を戴き感謝申し上げます。今後も会員の皆様からの忌憚のない御意見を賜り、より充実した広報誌にしたいと考えています。
広報委員 比嘉 敏夫