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老医師と生涯教育

瀬尾駿

沖縄セントラル病院 内科 瀬尾 駿

先日県医師会広報担当の方からファックスを頂きました。設問の正解率が宜しいので記念品を進呈する、生涯教育コーナーについての感想等を寄稿するようにとの内容でした。県医師会名簿に拠りますと、明治・大正と昭和一桁生れの先生方が以外に多い。姓名を拝見しますとその殆どは地元のご出身と思われ、現役医師として益々のご活躍はさすが伝統の長寿県であり、一般の寿命統計とは違うのだと感服致しておりますが、その中からご指名を受けたとすれば大変な名誉であり、厚くお礼申し上げますと共に駄文を投稿させて頂きました。

平成12年那覇市に転居する以前は、富士山麓の水が美しい小都市に住い、昭和41年外科・整形外科を診療科目に20床の医院を開設、会員数が130名程の医師会に所属しておりました。周辺はゴルフ場ばかりでご多分に洩れず当初からゴルフに熱中、いつ頃からか切っ掛けは日医生涯教育であったかもしれませんが、ゴルフとアルコールで気心の知れた仲間が数名集まり、飲み会を兼ねた勉強会を始めました。リーダーからの出題をテーマに喧々諤々、メンバーは内科系が多く外科とは無縁なテーマばかりでしたが真面目に取組み、沖縄に移住する迄継続しておりました。その間に頂戴した日医の生涯教育修了証は昭和62年に始まり、以降毎年分を保存しておりますが、縁あって沖縄セントラル病院の勤務医となり、内科外来・病棟管理という経験のない仕事を任せられましたが、あまり支障もなく今日迄過ごしており前医師会時代から始めた生涯教育のお陰かとも思っております。

日本はまもなく本格的な高齢化社会を迎えます。医師の社会では片寄りのある医師不足で騒がれておりますが、いずれ高齢化と過剰の時代は避けられないのではないでしょうか。高齢化に伴う身体機能の衰えはやむを得ないとしても、老医師にとって一番厄介な病魔は治療法のない痴呆です。近く後期高齢者の自動車免許更新時には知能テストを実施するそうですが、病識のない呆けになる前に何かその気配とか前兆にでも気付かせてくれる方法はないものか、小生は沖縄に移ってからクイズの類いに熱中しておりますが、子供にでも解けそうな簡単なクロスワードパズル、易しいから呆けの予兆に気付かせてくれるのではないか、藁にも縋る思いです。時には朝日新聞のクイズにも挑戦しますが、難解な出題が多く健全?な頭脳も悲鳴をあげるばかりで長続きしません。

そこで本誌の生涯教育コーナーの登場となるわけですが、掲載される論文には出題に関した回答がどこかに記載されており、解らなければ何回も読み返すだけで正解が得られたうえに、添付されたハガキで回答すれば5単位が頂ける、こんな有難い企画が他にありますか。

最近教員免許制度が改正されましたが、定年制のない医師免許もいつの日か見直されるかもしれません。生涯教育制度は医師の憲法ともいえる「医の倫理綱領」に依拠しておりますが、現在の終生医師免許制度を守る為にも、医師会員の単位取得申告率が年々上昇している事こそ何よりも喜ばしい実績となるのではないでしょうか。