沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 8月号

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編集後記

雨量が多い梅雨が明けた後は渇水が心配な猛 暑です。読者諸氏はお元気ですか。表紙の写真 は伊藤敏明先生の綺麗な八重山の海で飾りまし た。さてトピックを概観します。「国民医療を 守る沖縄県民集会」、問題の大きさが良く伝わ ります。国の医療制度改革は実質医療費削減政 策でそのしわ寄せが高齢者や低所得者にきて、 医療、介護難民の発生が懸念されます。今後の 課題は反対運動の拡大化でしょう。「第1回メデ ィカルコントロール協議会連絡会」報告から浮 かび上がることは、取り組みには都道府県によ り地域格差が大きいことです。救急救命士の病 院内挿管実習に携わった体験から推測すると本 県は心配です。

「第1回地区医師会長会議」冒頭の宮城会長 の挨拶に注目です。来年4月から発足する後期 高齢者の全く新しい医療保険制度、保険者に課 せられている特定健診、特定保健指導の問題、 両者とも実施は決まっているのに中身が見えず まだ波乱もあるでしょう。念願だった医師会館 建設、予算もほぼ決まりだいぶ形が見えてきま した。乞うご期待です。「第104回沖縄県医師 会医学会総会」会頭の新垣敏雄先生のご挨拶に は歴史への深い造詣が感じられます。会も盛況 であったよし次回も盛会を祈ります。

さて恒例の緑陰随筆、これが楽しみの方もお られるとのこと、十数編も並ぶと顔ぶれも多士 済々です。少し舞台裏を披露しますがこれだけ 集めるには苦労がいります。まず対象の方々の リスト(作り方は企業秘密?)から書いて頂け そうな方を選び、推薦人を決め依頼文を発送し ます。原稿を集めてまた一苦労です。趣味の話 題などは無審査ですが、内容が政治的な発言や 歴史認識や思想上の問題になりますと編集委員 の中で採否や書き直しで議論が起きます。広報 委員会で判断できない場合は理事会へ上げます が実は理事会でも意見は様々で容易に収束しま せん。結局は少数派には我慢して頂いて最大公 約数的な結論・対処に落ち着くのですが、編集 者としては解決に時間がかかっても鶴の一声や 声の大きい人の独断ですぐ決着よりは良いと考 えています。

関東を中心に若者達に猛威をふるった麻疹の ニュースは記憶に新しいですが、それに触発さ れて麻疹関連の記事が多く集まりました。プラ イマリ・ケアコーナーの浜端宏英先生の「全数 報告制度」、全国に発信したい制度です。イン タビューコーナーの上原真理子先生の記事には 宮古地区での麻疹ワクチン接種率向上の背景に 関係者の奮闘振りがうかがわれます。緑陰随筆 コーナーの遠藤和郎先生のテーマも麻疹でし た。医療者養成機関において遅くとも病院実習 前にワクチン接種を義務づけるべきとの提案は 傾聴に値します。もう一つのプライマリ・ケア コーナーの山里将仁先生の「消毒しない・ガー ゼを当てない外傷の閉鎖療法」、従来の伝統的 な?創傷処置を根底から覆しています。私も臨 床の現場で小児外科や形成外科の創傷処置が随 分変わったと感じていましたが、理論まではわ かりませんでした。「創傷治癒のメカニズム」 は、説明されれば目から鱗が落ちる思いです。

城間寛先生の「新臨床研修制度」、新研修医 の半数以上が県外出身者とのこと、研修医間で の沖縄の人気はどうやら自然条件だけでなく 「いちゃりばちょうでー」「ゆいまーる」等の言 葉で表現される県民性も大きく寄与しているの ではというご指摘全く同感です。金城福則先生 執筆の生涯教育「大腸癌」と「大腸がん検診」、 精度管理が良ければその効果が十分に期待でき る事業とのこと、食生活の西洋化が進んだ沖 縄、長寿県復活を目指す沖縄の早急の課題でし ょう。若手コーナー原田宏先生の「若い医師諸 君へ」、文末のまとめの7か条沖縄のすべての研 修医に読ませたいです。そろそろ紙面が尽きよ うとしています。ここでは取り上げることがで きなかった多くの執筆者達にも最大の感謝をこ めて筆を置くことにします。

広報担当理事 村田 謙二

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