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「愛の血液助け合い運動」月間(平成19年7/1〜7/31)に因んで

屋良勲

沖縄県赤十字血液センター所長 屋良 勲

「愛の血液助け合い運動」月間の趣意

沖縄県赤十字血液センターの血液事業につき ましては、平素から格別のご高配を賜り、厚く 御礼申し上げます。血液事業は、国・県・地方 団体が一体となって、献血思想の普及・推進、 献血者の確保、組織化について行い、日本赤十 字社が献血の受け入れから検査、製剤、供給を 分担することになっています。WHOは1975年 に「医療に使う血液はすべて献血によるべきで ある」、「自国で必要とする血液は、その国で自 給自足とするべきである」と決議しています。

献血者の確保については、血液法第11条(献 血受入計画)に基づき、採血業者としての日本 赤十字社が国の定めた基本方針及び献血推進計 画に則した献血受入計画を策定しています。

目標量としては、必要とする血液製剤を過不 足なく安定的に供給するために、全血液量で約 130万L、血小板成分献血で約30万L、血漿成 分献血で約32万Lの合計約193万Lを確保する としています。平成19年度の沖縄県の献血目 標人数は、全血で約3.8万人、血小板成分で約 6.1千人、血漿成分で約9.1千人、合計5.3万人 です。手術を含む緊急に血液を必要とする患者 さんのため、また大きな災害時に大量の血液を 必要とすることを想定して、3日分の血液の備 蓄を義務づけられています。需給調整といって 足りないときは全国から受け入れます。

平成18年度は献血者の人数が500万人を割り ました。少子高齢化の影響と、若年層の献血者 の減少が大きな原因と考えられます。目標量を 確保するために、国・県・地方公共団体との連携を密にして献血者の確保に努めることにして います。具体的には、献血協力団体やボランテ ィアの理解と協力、各年齢層を通してより多く の国民からの献血、血液事業に対する知識の普 及、年間を通した各種のキャンペーンを実施し ています。

7月の「愛の血液助け合い運動」は上記の趣意 の基に沖縄県と日本赤十字社沖縄県支部・血液 センターを中心に各関係団体の協力を得て行わ れる催しであります。「献血運動を国民運動に」 が認識、周知されることを切に願っています。

キャンペーン期間中の活動内容(表1参照)

平成19年度の運動期間中には表1に示すよう に、各種のイベントがあります。7月1日(日) には月間行事も合わせて地元2紙に県知事メッ セージが掲載されます。その他街頭でのキャン ペーン、パネル展示会、街頭献血、県庁職員に よる献血、マスメディアを通じての広報等献血 が県民の尊い命を救っていることを身近に感じ て頂きたいと思います。

表1.

表1.「愛の献血助け合い運動」主なるイベントと街頭献血

献血推進を県民運動に

沖縄県の平成19年度赤血球製剤の適正在庫 数(3日分)は、A型260本、O型230本、B型 140本、AB型70本、合計700本です。緊急時を 含む輸血、災害時の緊急輸血の目的で、日々の 適正在庫を維持するため献血者に呼びかけてい ます。血液センターでは採血、製剤化、厳重な 品質管理そして各医療機関に迅速に供給してい ます。この目標を達成するためには、多くの献 血者の理解と善意が欠かせません。

血液事業を支えているのは、沖縄県をはじ め、一般献血者、奉仕団体、各企業、赤十字奉 仕団、各保健所管轄区域で任命されている献血 推進委員等、多くの方々であります。中でも印 象に残る献血活動を行っている団体をあげます と、一貫して献血の普及啓蒙活動を行っている ライオンズクラブや社長自ら関連企業に呼びか けて年2回の献血日を設定して献血を実施して いる大興建設(嘉手納町)があります。社員の 名刺には「献血は誰にもできる人助け」と刷り 込まれています。献血して頂けるだけでも有り 難いのに、終了後は採血車の職員をねぎらって パーティを準備してくれます。他にも生コンク リート業界は、全島の同業者に呼びかけて献血 を行っています。また、地域の献血推進協議会 や赤十字奉仕団の献血推進活動も活発で、献血 時の呼びかけ、献血者へのお世話など、積極的 に活躍しています。特に宮古島市や石垣市での 献血は、献血車を船で運んで各2週間ずつ行わ れますが、市長自ら献血推進協議会の会長とな って、全島をあげてあらゆる業種の方が献血に 協力しています。実に有り難いことで、日常業 務の一環として心安く献血活動を進めているこ とに頭の下がる思いです。緊急に大量の血液が 使用され、ある型の血液が適正在庫の危険域に ある時には、登録者に電話連絡して久茂地の献 血ルームにきてもらうこともあり、自衛隊に緊 急献血を依頼することもあります。感謝の毎日 であります。

最後に、年間を通して各種の献血推進のキャ ンペーンをさせてもらっていますが、尊い命を 救う血液の必要性、そしてそのための献血の重 要性を多くの県民が認識し、献血運動に参加さ れることを願ってやみません。