平成19年2月13日(火)午後3時から沖縄ハーバービューホテルのクインズルー ムに於いて、仲井眞弘多氏の知事就任に際して、仲井眞弘多知事と宮城信雄会長と の対談を開催しましたので、その内容について以下のとおり掲載致します。
仲井眞弘多知事(右)、宮城信雄会長(左)
○宮城会長 こんにちは。仲井眞知事には、 ご多忙の中、沖縄県医師会会報掲載のための対 談を快くお引き受けいただきましてありがとう ございます。本日は私が司会を兼ねてこの会を 進めてまいります。
県医師会では、月1回会報を発行し、約2,200 人の会員と都道府県医師会、その他関係団体に 配布して、多くの医療関係者に読んでいただい ており、非常に好評を得ております。今回、広 報委員会から「ぜひ知事と対談をして、掲載さ せて欲しい」との要望があり本日の対談を計画 させていただきました。一つには、知事の人と なりというのをぜひ会員に知ってもらいたいと いう意図があります。
それともう一つは、去年の非常に激しい知事選挙を勝ち抜いて12月10日に知事に就任され てちょうど2カ月経ちますので、そのご様子を 伝えたいと思っております。
○仲井眞知事 おかげさまで、あっという間 に2ヶ月が過ぎました。
○宮城会長 就任した当日から国との交渉、 それから基地の視察とか、この前は離島の視察 で、多忙をきわめておられているようですが。
○仲井眞知事 先日は南大東にも行って参り ました。
○宮城会長 市町村や各団体等から陳情を受 けるということで、マスコミに出ない日はない というぐらい、東奔西走、分刻みのスケジュー ルをこなしておられる。ぜひ知事のこの2カ月 間の感想をまずお聞かせ下さい。
○仲井眞知事
先程、宮城会長から選挙のお
話がありましたが、私は沖縄電力という、いわ
ゆる狭い意味の産業そのものの会社に20年ぐら
いいましたから、それ以外の世界というのは実
はあまりよくわからないまま選挙を戦いました。
医療関係者14団体をはじめ、全部で130団体 のご支援を受けて、おかげさまで去年の11月19 日に県知事選挙に当選させていただきました。 また、宮城会長には私の後援会長をお引き受け いただきまして、改めてお礼を申し上げます。
選挙期間中も申し上げたんですが、選挙のと きは県民が二手に分かれたわけですが、当選し たら、今度は137万県民の代表として、県民の ご意向を受けてしっかり仕事をしようと。私は 県議会の与党を中心にご支援はいただいたんで すが、医療団体であるとか、産業団体、文化団 体、いろんな団体の幅広いご支援を得て、「県 民党」という色彩で当選したと思っておりま す。その精神は忘れずに、いろんな分野につい てご要望を受け、また、いろいろ教えていただ いて、沖縄県の発展のために仕事をしたいと考 えております。
12月10日に就任をし、おかげさまで2カ月経 ったわけですが、私の政策運営の基本を2点に 要約して申し上げますと、沖縄県は、こういう 広い海の中の島で成り立っている県ですから、 ユニバーサルサービスを目指します。つまりど んな小さい島、過疎地域やどんな地域であって も、公共サービス、広域的なサービスは、ほと んど同じようなサービスを実現したいと考えて おります。
それからもう1 点は、東西1,000km、南北 400kmというこういう海の中に点在する島でで きている県は沖縄県しかありませんから。九州 の熊本県のように島はたくさんあっても、九州 という近場にあるという県と、海ばっかりとい う県とは気候条件、地理的条件も全然違ってく ると思います。したがって、沖縄本島を含めて の島々がみんなで助け合って、また古い言葉で 護送船団方式というんでしょうか、この精神で 県政運営をやっていこうと思っております。
○宮城会長 ありがとうございます。
その精神、知事の基本的な考え方というの は、非常に感銘を受けるところがあります。
○仲井眞知事 そうですか。恐れ入ります。
○宮城会長 沖縄県知事は47都道府県の中 でも、非常に特異的な立場におられるのではな いかと思います。これは、先ほど知事が話され ましたように、非常に広い範囲をカバーして、 それから海に囲まれているから、そういう意味 ではぜひ最初からの知事の基本的な考え方とい うのを貫いていってほしいと思います。
○仲井眞知事 よろしくご支援、ご指導のほ どをお願いします。
○宮城会長 それでは、本題に入りたいので すが、保健・医療というのは、県民の生活を支 える重要な基盤です。県民もその分野での拡充 を非常に望んでいると考えております。
私たち医師会としても、専門性を生かして県 民の健康の担い手として、県の医療行政には協 力をさせていただきたいと考えおります。
○仲井眞知事 ありがとうございます。是非 よろしくお願い致します。
○宮城会長 仲井眞知事は、公約で、医療そ れから保健・福祉の一層の充実を図って、「長 寿世界一の復活」、世界で一番元気な島を目指 すということで、医師会が提唱しております「健康・福祉立県」の実現をはじめ「産科医師 の適正確保」、「助産師増」、あるいは「乳幼児 医療費の免除システムの改善」、「医療政策参与 配置」等掲げておられます。それぞれの公約を どのように今進めていくのか、ぜひお考えをお 聞かせ願いたいと思います。
○仲井眞知事 保健・医療につきましては、 素人の私が今さら申し上げるのもなんですが、 実現には、保健・医療のいろいろな分野に携わ っている方々のお話を伺いながら、また、県庁 の職員にも専門家が大勢いますから、相談しな がら展開していこうと考えております。
私はこれまで長寿世界一というのは、我々沖 縄県民の誇りであると思っておりましたが、医 療の専門家からご覧になると、もはや男性も世 界一から落ちて、そして、女性もそう長く世界 一は維持できなかろうというようなお話がある と伺っております。何とか医師会の先生方のお 力も得ながら、何年かかるかわかりませんが、 世界に冠たる長寿世界一を取り返したいと考え ております。
産科医不足の問題については、地域によって 産科医の先生が足りない、現におられない、非 常に不便がある等、大きな問題が指摘されてい ることから、昨年5月に設置された「離島・へ き地医師確保対策委員会」の最終報告を踏ま え、平成19年度から医師確保対策を図ること にしております。助産師についても、絶対数が 不足し偏在していることは明らかであり、昨年 度から県立看護大学の助産師養成数を5人から 10人に増やし対応しております。また、助産師 免許取得者に対し、診療所への就労支援を図る ため、今年度から助産師の技術研修を実施して おります。県としては、昨年12月の県医師会等 関係団体からの要請を踏まえ、今後とも県立看 護大学の充実・強化を図る中で、将来にわたっ て安定的な助産師養成・確保に努めて参りたい と考えております。
それから、3番目に乳幼児の医療費の免除の システムについても、次年度から少しずつ改善 を図ることにしております。平成19年度は、対象年齢を入院は4歳児から就学前まで、通院は 2歳児から3歳児まで引き上げ、拡充する予定 をしております。
入院時食事療養費標準負担額については、在 宅医療と入院における負担金の公平化の観点か ら助成対象外とし、一方、入院世帯の負担増を 緩和するため、入院時の一部負担金は廃止し、 拡充した3歳児の通院についてのみ、同一月、 同一診療科にかかる医療費(1レセプト)に千 円の一部負担金を設定しました。
また、より助成を必要としている方々に対す る支援を行うため、児童手当特例給付の支給要 件に準じ所得制限を導入することとしておりま す。2月議会の承認を得て、拡充の方向で取り 組んでいきたいと考えております。
これではご満足はいただけないとは思います が、ちょっとずつ前に進めてこれを積み上げ公 約をはたすべく努力をしてまいります。
医療参与・補佐官については、特に県の場合 は県立病院を持っています。また、実際的な県 民の保健・医療は民間の医療機関が担っている ところが多々あります。こういう全体の医療の 状況について、いろんなご提言なりアドバイ ス、ご批判、ご指導をいただこうということ で、医療参与といいますか、補佐官のポストを 設置したいと考えております。
○宮城会長 アドバイザーというのでも、相 談役でもよろしいですよ。
○仲井眞知事 医師会から強いご提言もあり ますので、これを何らかの形で4月から実現し ていきたいと考えております。
医師会からは、もう一つ医療にかかるシンク タンクも設立してやっていくべきだというご提 言もいただいておりますね。
○宮城会長 はい。よろしくお願い致します。
○仲井眞知事 これもどんな形でやっていくか は別にして、医療福祉事業団ほか、いくつかの今 ある団体も上手に使って、ご希望に沿えるような 内容のものをぜひ作れないかということで、これ もできれば、19年度中にスタートできるように宮 城会長にも相談したいと思います。
○宮城会長 ありがとうございます。
医療参与、あるいは補佐官と名前はいろいろ あると思いますけれども、そういう役割を担う 方をぜひ選任をしていただいて、これは医療だ けではなくて福祉、それから県の様々な政策に 提言していけるような人をぜひ選んでいただき たいと思います。
○仲井眞知事 医師会からも適任者をご推薦 ください。
○宮城会長 次に助産師不足です。先般、看 護大学に助産師養成コースを設置して欲しいと 要請させていただきましたが、それとは別に県立 病院で助産師の資格を持っていながら助産師と しては働いていない、看護師として従事してい る方が数十名いるということです。この方々に 助産師として現場に戻っていただくような方策 はあるのかどうか。これは新聞でもそういうよう な講習会をされているという記事を拝見したの ですが、その辺について、県としてはどういう方 策をもっておられるのか伺います。
○仲井眞知事 県立病院の助産師の数は129 名おり、主に助産師を必要とする産婦人科病院 棟に配置しております。また、南部医療センタ ー・こども医療センター及び中部病院では、周 産期医療、母子総合医療センター、総合医療を 専門的に行うため、関連するNICU(新生児集 中治療室)に助産師を配置しておりますが、答 えになってますでしょうか。
○宮城会長 これは県立だけではなくて民間 の大きな病院でも、実際に助産師の資格を持ち ながら現場におられないという方がいるわけで すね。助産師を養成するには、少し時間がかか るので、資格を持っている人を研修なりを受け ていただいて現場へ戻すという事業があれば、 もう少し早く助産師の養成ができると思いま す。現場で働く方々の再教育について、県とし てぜひそういう事業もやっていただきたいと考 えております。
○宮城会長
次に、先ほどの話にもありまし たが、県民の健康で一番気になるのは、平成16 年度政府管掌保険生活習慣病予防健診のデータ で、30歳以上の男性の46.9%が肥満と診断さ れ、非常に多いということです。それから女性 も26.1%が肥満と診断されていることです。こ の肥満の問題をこのままにしておくと、男性の 平均寿命はさらに低下をしてくる。それから、 かろうじて1位の座を保っている女性の順位も 低下は免れないと。これはあくまでも平均寿命 の全国の順位が低下していると。「26位ショッ ク」というのはそういうことなのです。
実際は、沖縄県の男性の寿命は伸びているの ですが、他府県の伸び率が高かったために順位 が26位に落ちたということであって、寿命が短 くなっているわけではないです。その辺は、正 確につかんでおかないといけないと思います。 ただ、肥満率が全国一高いということは、これ を放置しておくと順位はさらに低下をするので はないかと懸念しております。そのため医師会 では、知事と同じ目標、長寿沖縄県の再生を目 指していろんな取り組みをやっております。
2003年から「ゆらぐ健康長寿おきなわ」とい うことで、それをメインテーマにして年に4回 ほど県民公開講座をやっているんですね。これ は医師会だけの取り組みだけでは力不足で無理 があるということで、ぜひ県も一緒になって肥 満対策に取り組んでいただきたい。それに対し て県としては、どういう取り組みをされている のか。一緒にやっていけるのかどうかというこ とですね。
○仲井眞知事 宮城会長が今おっしゃったよ うに、県の医師会では県民公開講座を開いてい ただいて、いろんなことで普及・啓発に取り組 んでいただいており、我々としても大変ありが たく思っております。「健康おきなわ2010」、こ れは平成13年度に策定したプランで、そのプラ ンを推進するために沖縄県医師会をはじめ、各 保健医療団体や国・県の関係機関、市町村、婦 人団体、商工団体、農業団体等の関係32団体 で「健康おきなわ2010推進県民会議」を設立 し、県民一体の健康づくり運動の推進を図って きました。
県民会議では、平成17年度から平成18年度 にわたって、肥満対策を重点課題の一つに設定 し、平成17 年度に実施した「健康おきなわ 2010」の中間評価や、政府管掌保険生活習慣 病予防検診の結果から肥満対策の強化が急務と して、平成18 年4 月に「肥満対策緊急アピー ル」を行っております。
それを受け、県では肥満対策の普及啓発テレ ビスポット広告やポスターの配布、沖縄版食生 活バランスガイドの研修等を実施するほか、各 団体においても、講演会や健康相談会、県民ウ ォーキング大会の開催など様々な普及啓発事業 が実施されております。
「長寿世界一復活」を公約の一つに掲げた私 としましては、「健康おきなわ2010」を公約実 現に向けたアクションプランとして改定し、肥 満対策を始め健康づくりについて県としての取 り組みを強化してまいります。県民会議を中心 とした健康づくり運動を県民一体で展開してい く必要があることから、今後も県医師会にはご 協力と連携をお願いしたいと考えております。
○宮城会長 去年の4月に県民が待ち望んで いた県立南部医療センター・こども医療センタ ーが開院しております。既に知事はそこを見学 に行かれたと思いますが、開院当初というのは 小児の救急患者というのが殺到して、診療機能 も麻痺状態に陥ったと。一部外来を閉めて縮小をされたようですが、現在の病院全体の状況は どうなっているのでしょうか。
それから、県立病院は非常に大きな赤字を抱 えております。県立病院全体として累積赤字も だいぶあると思うのですが、その県立病院の事 業については今後どういうふうに取り組んでい かれるか、ぜひ知事としてご意見をお聞かせ願 います。
○仲井眞知事 南部医療センター、それから こども医療センターについて、私もつい先日勉 強を兼ねて視察に行って参りました。私が考え ていた以上に立派な病院だなと。最近の病院と はああいうものだという、私も目からウロコが 落ちるような体験をさせていただきました。
開院当時は、特にこども医療センターに患者 さんが大勢殺到して、会長がおっしゃったよう な状態にあったようですが、現在はおかげさま で何とか落ち着きを取り戻しております。昨年 の4 月が平日で1 日45 人、土・日曜日で80 人 程。これが5月以降はそれぞれ平日40人、土・ 日曜日で65人という状況です。
あと、今の県立病院の事業についてですが、 これはまさしく頭の痛いところで、赤字を放置 したままでは、基本的にどんな事業でも長続き は難しくなってくるのが当然です。宮古病院も 老朽化が進んでおり宮古のみなさんには随分ご 迷惑をかけています。赤字体質からの脱却を図 らなければ、設備の更新とか、必要な手が打て なくなるとか、物事がなかなかいい方向に展開 しないという状況が強く出てきます。これにつ いては私もぜひいろんな方のお知恵も借りて、 県立病院の各院長とか、病院事業局長だけが頭 を悩ませるのではなくて、県庁全体でこれを取 り組まなければならないと考えています。同時 に「こども医療センター」のように必要とされ ていることにしっかり取り組んでいくことも県 立病院の重要な使命だと思います。
赤字というのはいずれにしても出るのを精選 し、場合によっては抑制し、入るのは拡大する ということに原理原則は尽きると思います。
一方で、県が税金を使ってしっかりやるべきものというのも当然のことながらありますの で、早いうちに本来やるべきものを洗い出し て、ニーズの内容は年々歳々変わっていくとは 思いますが、赤字で苦しい病院の経営管理をや っている院長先生方を今の状態から何とか解放 して、きちっとした形をなるべく早目に実現し たいと考えているところです。一部局でこの悩 みを背負うというのは、これもなかなか大変で して、私も一生懸命取り組んで参りたいと考え ています。
○宮城会長 この問題については、これまで 「病院健全化検討委員会」というのが数次にわ たって開かれて、いろいろ提言をしてはきてい るのですが、なかなか問題解決になっていない のが現状です。
○仲井眞知事 我々行政側がご提言を実行し ていないんですかね。
○宮城会長 その辺のところは非常に難しい のがありますが、民間のほうから見たらどこに 問題があるかというのはすぐわかります。知事 も民間におられたので、なぜ赤字になるかとい うのは、見たらすぐわかると思うのですが、先 ほど言ったように、病院というのはどうしても しなければいけない医療というのがあるんで す。赤字でもやらなければいけないというのは あるのですが、これだけ膨大な赤字をつくり続 けるというのは1つ問題があると思います。そ の辺については別の観点から提言はできると思 っているんですけれども。知事が先ほど言われ たように1つの部局でやろうしたら、なかなか そう簡単に解決できないのがあると思います。 そういうことからも先程申しあげたアドバイザ ーとかいうのが役に立ってくると思います。全 く別の観点からいろんな意味での提言ができる ということになってきますので。
○仲井眞知事 そうですね。ぜひそのアドバ イザー、補佐官の先生の意見を伺いたいと思い ます。
民間、外から見ると、理由、原因ははっきり しているという宮城会長のお話を聞いて安心し ました。
○宮城会長 ただ、問題の解決には一つの部 局だけでは難しいのがありますので、先程、知 事のお話しにもありましたとおり県庁全庁を挙 げて取り組んでいただきたいと思います。
○仲井眞知事 原因がはっきり見えていると いうことは、ある意味で半分以上は問題解決だ が、ただ、それを時間をかけて実行しなければ いかんという部分もあるし、残してじっくり取 り組む問題もあるかもしれません。ご提言をひ とつよろしくお願いします。
○宮城会長 仲井眞知事はご家族の看護・介 護の体験があるとお伺いしております。この看 護・介護体験を通して、県民の1人として、そ れから知事としての立場から私たちの医療の現 場を預かる者に対してのご意見とか、ご要望が あれば、ぜひそれをお聞かせいただきたいと思 います。そういう要望、問題点があれば改めて いきたいと思います。
○仲井眞知事 うちの女房は元気者だったの ですが、6、7年前に脳梗塞で倒れて、言葉が出 なくなって半身が動かないという状態になり、 それから約2年近く介護生活となりました。本 人が病院嫌いでして、なるべく家で介護しよう ということになったのですが、私も当時、沖縄 電力の社長の身であり、そんなに時間があると いうのではなく、彼女の友達3人が入れ替わり 立ち替りいろんな意味で応援してくれて助かり ました。倒れた6、7年前というと介護保険制度 がちょうど始まった時期だったかもしれません ね。例えば夜中でも、2時間おきか3時間おき に来ていただいてちゃんと対応してくれるし、 入浴なんかも頼むと週に2、3回若いヘルパーの 方が来て手際よくやってくれて、私は、あの介 護保険の仕組みというのは非常に有り難いと思 いました。
それから、お医者さん、看護師さんにもお世 話になりました。お医者さんは2週間か10日に いっぺんぐらい来ていただきまして、相談にも のっていただきました。また、何カ所かの病院にも入院さていただいて、病院にも大変お世話 になりましたが、いずれにしても介護の仕組み はあれから6、7年経っていますから、もっと成 熟していると思います。
介護というのは体験して分かりますが、家族 だけでやっていると病人に対しだんだんきつい ことを言ったりします。しかし、他人は丁寧に 対応していただけますので、助かります。娘達 には私がもし将来倒れたら、全面的に社会の介 護システムを活用するようにいってあります。
○宮城会長 介護というのは家族だけでやる と非常に大変なことです。そういう意味で介護 の社会化ということで、社会が面倒をみようと いうことで介護保険が制度化されました。仕組 みはそういう形で介護保険が出てきております けれども、またそれが逆にお金の問題で元に戻 りつつある。家族にまた面倒をみさせようという ことになってきているので、介護保険がなぜ出 てきたのかということをきちっとつかんでおかな いといけないと思います。ただ、これは県の役割 というよりも国の役割なんですね。ですから、介 護にしても医療にしてもきちっとしたシステムが できていないといけないと思います。
ただ、知事ご自身が介護を経験されたという ことで、こうあったほうがいいというのは実感 としておありであるということがよくわかりま した。
○仲井眞知事 個人の、素人の実感としてで すね。
○宮城会長 それがシステムとしてやられる ように、ということがあればいいなと思ってお ります。
それと、介護にしても医療にしても非常に人 手を要するんですね。知事は失業率を本土並に すると公約に掲げておられますが、介護や看護 については、養成すればその分だけニーズはあ るということです。そういう意味で、人を養成 するということはぜひこういう面からでも押さ えておいていただきたいと思います。
○仲井眞知事 私は「雇用大作戦」ということで、今度いろんな展開をぜひしたいと思って います。そういう中で県の部局でいいますと、 観光商工部、土木建築部、農林水産部、文化環 境部を中心に、それとまさに、今宮城会長がお っしゃった医療・介護を含めてかなりの分野に おいて、いわゆる民間ビジネスになっていると ころがありますので、そういうところも雇用・ 産業の大躍進計画に繋げていただこうかと思っ ております。
○宮城会長 それともう1 つの公約である 「10年後の観光客数1,000万人」ということで すが、それにも医療福祉は関係しているんで す。沖縄は、癒しの島・長寿の島ということで 沖縄を訪れる観光客は非常に多いんですね。リ ピーターも多い。そういう意味で医療福祉をき ちっと押さえておかないと、観光客も増えてこ ないという側面もあるんです。観光にもつなが るという観点からも健康福祉立県を言っている んですね。
○仲井眞知事 そうですね。確かにこれはイ ンフラの1つでもあるし、沖縄に移住してくる 人たちがなぜ多くなったかという中で、今、宮 城会長がおっしゃった医療・福祉を充実させ て、他府県から沖縄に安心して移住できる環境 がつくれたらいいと思います。さらに、沖縄の 産業が元気になって税収が増えたら、独自に医 療・介護等へ県自らのお金を投入していけば、 ほかの県に比べてもっともっと、癒しの島とし て整備をし、そういうベースがあれば、もっと もっと将来の観光立県の中身は健康福祉立県だ というところまでつながるのではないかと思い ます。
○宮城会長 すべてリンクしているのです ね。観光立県にしても雇用の拡大にしても。そ れから、観光客1,000万人にしても。それは1つ のある一定の考え方を推し進めていけば実現の 可能性が出てくるということですので、ぜひそ のへんのところをお願いいたします。
○仲井眞知事 ぜひまたお力を貸してください。
○宮城会長 最後になるのですが、仲井眞知 事は大変スマートでいらっしゃいますが、健康 の秘訣とか、何か普段から心がけておられるこ とがありましたら、ぜひお聞かせください。
○仲井眞知事 まず第1に、よく寝ることです ね。私はとにかくよく寝るんですよ。それから、 第2に、落語を聞くこと。落語のCDは500〜600 枚持っています。これを実際の数にすると千ぐ らいの落語になると思います。そういう「のんき 印&睡眠十分」で、スポーツはほとんどやって いないんですが元気です。
○宮城会長 先ほど話に出た「健康おきなわ 2010推進県民会議」では、重点項目を掲げて います。平成17年度は肥満の問題を取り上げ ました。18年度は3項目あって、肥満と虫歯予 防、それともう1点は禁煙なんです。
今度19年度の重点項目もやっぱりこの3つと いうことですが、知事はヘビースモーカーとい うか、タバコが非常に好きだというお話をお聞 きしております。医師会は禁煙運動というのを やっていて、47都道府県医師会が全館禁煙にな っております。ただ、会長室だけは治外法権と いう医師会もあるようですが。
○仲井眞知事 それはよくないですよ。
○宮城会長 そうですね。そういう意味で仲 井眞知事がもし率先して県庁の中でそういう禁 煙運動をされたら、数千人いる県職員は見習う と思うんですが、如何でしょうか。
○仲井眞知事 わかりました。なるべく早目 に禁煙を実行すべく努力したいと思います。
○宮城会長 医師会の中では「禁煙外来」と いうこともあって、タバコを止めるための援助と いうのをやっています。これは医療保険の適用 にもなっているぐらい健康を取り戻すために重 要視されています。先ほど言った推進会議の平 成19年度の重点項目は、虫歯と肥満とタバコで すから、知事が実行するとこれは非常に大きな 県民運動になっていきます。
○仲井眞知事 19年度もそうであれば、是非 実行しなければいけませんね。
○宮城会長 それが健康を取り戻すことのま ず第一歩ということになります。それから、長 寿が復活をすれば観光の面でも貢献しますし、 知事の公約したいくつかの重点項目はこれで解 決することになると思います。
○仲井眞知事 そうですね。みんな結構つな がっていますね。
○宮城会長 そういう意味ではぜひご奮闘を お願いしたいと思います。
○仲井眞知事 ぜひご指導をいただきたいと 思います。
○宮城会長 先ほど知事は落語がご趣味だと いうお話しがございました。そのような知事の 内面を存じ上げている方は非常に少ないのでは ないかと思います。知事の人となりとか人柄と いうのを、お正月のテレビで放映された新春対 談を見て初めて知った方というのは多いのでは ないでしょうか。そういうことから考えると、 本日の対談は非常に良かったと思います。この 雰囲気をなんとか会報を通して会員へ伝えて参 りたいと考えております。
知事へご就任されて2ヶ月ですので、これか らの長丁場を頑張っていただかないといけない のですので、ぜひ健康には留意されて下さい。 日本の47 都道府県の1 つということではなく て、非常にかけがえのない役割も担っておられ るので、沖縄のためにぜひ頑張っていただきた いと思います。本当に今日はどうもありがとう ございました。
○仲井眞知事 こちらこそどうもありがとう ございました。まだ勉強不足で、雑ぱくな話に してしまいましたが、今後ともよろしくご指導 のほどお願い致します。