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編集後記

診察が終わり、診察室を出て行く患者さんに 「それでは良いお年をお迎え下さい」と声をか ける時期になり、年の瀬を実感します。「それ では良いお年を...」という言葉の中には、ま た来年元気なお顔を拝見させてくださいという 気持ちがあり、私自身こうしてまた新たな年を 迎えられる事を感謝する気持ちも込めていま す。患者さんには常に一期一会を意識してお会 いする様にしていますが、特に年の瀬にかける お互いの言葉には一種独特の感慨があります。 医者と患者さんという立場を少し越えて、人間 同士でお互いの奮闘を讃え合っているような不 思議な感覚が涌いてきます。

今回は、第115 回日本医師会臨時代議員会報 告を玉城副会長に書いて頂きました。日医は広 報の予算執行率が63.2 %だそうです。日医が広 く国民に理解されるためにはもっと広報への働 きかけを重視すべきだと思いました。

九州医師会連合会各種協議会報告では、医療 保険対策協議会に関して今山理事より、リハビ リテーション日数制限の廃止や在宅療養支援診 療所の現状、療養型病床における医療区分の見 直し等について活発な意見交換が行われた事を ご報告頂きました。また、介護保険対策協議会 では小渡副会長よりご報告があり、地域包括支 援センターの現状や介護療養病床の廃止問題に 関して討議された様で、ベッドを6 割削減し、 その受け皿作りへの様々な模索が行われている ようです。誤った選択をしないためにも、介護 保険施行5 年間の総括をしっかり行う必要性を 強く感じます。地域医療対策協議会では、玉城 副会長が次期医療計画の説明と、中小病院を如 何に存続させるかという問題、今後の老人医療 についてご報告して頂きました。今後のかかり つけ医のあり方に関して積極的なアピールがさ れています。

第13 回県民公開講座報告では、骨粗鬆症を テーマに講演の様子や、その後の座談会の内容 が掲載されています。700 名余りの参加者で会 場は熱気いっぱいでありました。会場の雰囲気 が少しでも伝わると嬉しいです。

平成18 年度第2 回マスコミとの懇談会報告で は、介護保険制度の改正により今後予想される 問題に関してマスコミの皆さんと協議しまし た。在宅で介護する事が困難な沖縄の現状を鑑 み、介護難民の発生が危惧される現状を話し合 いました。いつしか議論は白熱し、ターミナル ケアのあり方に関しても熱心な議論がなされま した。

生涯教育コーナーでは、男性型脱毛に対する propecia の効果と副作用に関して新垣実先生に 書いて頂きました。適応や禁忌、副作用の発現 に関しても詳細にご報告頂いております。

今回のインタビューコーナーは、ラオス国口 唇口蓋裂患者支援センターが沖縄平和賞を受賞 した事を記念して、より多くの紙面を割いて、 琉球大学医学部歯科口腔外科の砂川元教授にイ ンタビューしてまいりました。「今後の目標は?」 との質問に、「栄えある賞を受賞して尚、地道 に活動を変えずにやっていく事です。」とおっし ゃった時は、私、大変感銘を受けました。

若手コーナーでは、琉球大学整形外科の大嶺 啓先生から、若いドクターへ送る夢ある整形外 科へのいざないを書いて頂きました。また、北 部地区医師会病院の中安弘毅先生より、1 年目 研修医の初々しさが伝わってくるご寄稿を頂き ました。

追悼では、花城清順先生より、安座間廉先生 との思い出を書いて頂きました。業界を越えた 沢山の方々との交流や、様々な楽しい思い出が 綴られています。何しろその記憶の鮮明さに驚 くばかりです。

リレー随筆では、沖縄県立南部医療センター 心臓血管外科の久貝忠男先生に、超高齢者にお ける心臓外科手術の適応に関して書いて頂きま した。こんなトシになって心臓の手術なんて、 という消極的な意見が本人や家族から聞かれる 一方で、実際に危険な状態になったときに結局 緊急手術になってしまうという現状。高齢化が 進む一方で、今後益々議論を呼ぶ可能性のある 問題です。高齢者に対する医療はどうあるべき で、どのような考え方を持つべきなのか、今後 じっくり考えてみたいテーマです。

広報委員 玉井 修

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