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「ゆらぐ健康長寿おきなわ」
〜認知症(痴呆)について〜
〜第11回沖縄県医師会県民公開講座〜

玉井修

ふれあい広報委員 玉井 修

会場風景

平成18 年2 月25日(土曜日)午後1 :30 よ り、ロワジールホテルオキナワの天妃の間にお いて県民公開講座〜認知症(痴呆)について〜 が開催されました。高齢化社会を背景に認知症 は社会の関心が高く、更に最近では若年性認知 症をテーマにした映画もいくつか封切られた関 係か、会場は早くから約1,000人の方がつめか け、関心の高さがうかがえました。

認知症という言葉そのものが充分に認知され ていない現状を鑑み、ポスター等にはあえて痴 呆という言葉を漫画のふきだしの様に書き込ん で、ご高齢の方にもわかりやすいポスターにし ようと苦心いたしましたが何だか報われた気が 致しました。

また、パネラーとしては認知症治療に第一線 でご活躍の先生方に加え、リハビリ作業療法士 の立場からの発言、更に認知症家族会からの発 言もあり、より患者や患者を支える家族にとっ て興味のある内容になったと自負しております。 特に家族会からの発言には強い説得力があり、 かなり厳しい状況にありながらも介護は愛情を 持ってとお話になる喜瀬様には頭が下がる思い が致しました。フロアからの質問も多く、フロ アからの熱気が伝わって参りました。認知症に 関しては今後も機会があれば継続して取り上 げ、理解を広げていく必要があると思いました。

講師の先生方

講演の抄録

座長のコメント

玉井修

曙クリニック院長 玉井 修



那覇市出身
日本外科学会認定医
日本消化器外科学会認定医
日本医師会認定産業医
医学博士
那覇市医師会広報担当理事
沖縄県医師会ふれあい広報委員

認知症、痴呆症、呆け、もの忘れ…。

外来では多くの患者さんが自分は認知症(痴 呆症)ではないかと心配して受診されます。高 齢化社会を迎えて日本、特に沖縄では認知症 (痴呆症)の問題は今後深刻さを増すでしょう。 人ごとではなく、自分のこと。遠い未来の事で はなく、近い将来のこと。どこか他人様の出来 事ではなく、自分の家族に起こりうること。そ の様に考えてほしいと思って今回の県民公開講 座は認知症(痴呆症)を取り上げました。

老いは誰にも避けられないものです。認知症 (痴呆症)になりたくないと、言ってばかりでは いられません。自分が認知症(痴呆症)にならな くても家族の誰かが認知症になるかもしれませ ん。目を背けて見ないふりをするよりも、認知 症(痴呆症)を正しく理解して対応するべきだと 思います。何もかも忘れていく認知症の方たち も、心はしっかりと生きています。愛すべき人 であることは何も変わらないのです。

ロナルド・レーガン元アメリカ大統領が晩年 アルツハイマー型痴呆症であった事は有名で す。アルツハイマー型痴呆症で次第に消えてい く自分をしっかり認識しながら、レーガン氏は ナンシー夫人へ「50年ではまだまだ足りない、 もっともっと長く君の幸せな夫で居させて欲し い」と感謝の言葉をかけています。次第に消え ていく自分への不安の中で、勇気と愛情に満ち たすばらしい言葉ですね。

認知症について一ボケても心は生きている一

城間清剛

城間クリニック院長 城間 清剛



1988年 琉球大学医学部医学科卒業
1990年 医療法人タピック宮里病院就職
2000年 医療法人タピック宮里病院院長
2004年 城間クリニック開設
  精神保健指定医
  日本老年精神医学会専門医
  日本プライマリケア学会認定医
  日本医師会認定産業医

認知症という病気を知っていますか?。これ まで痴呆とよばれていたものが、平成16年に、 厚生労働省により「認知症」という名称に改め られました。

認知症の方は全国で259万人に達し、65歳以 上の10人に1人の割合で認知症の方がいるとい う報告があります。長寿県の沖縄でも例外では ありません。

認知症とは、脳の病気により記憶力や判断力 などの認知機能が低下して介護が必要になる状 態を言います(図1)。単に記憶が低下するだけ では認知症とは言いません。記憶の低下、つま りもの忘れには、健康なもの忘れと病気のもの 忘れがあります。昨日の夕食のメニューを覚え ていなくても食べたことを覚えていれば大丈夫 ですが、認知症になると食べたことさえ忘れて しまいます。日付や場所、人物といったことも 次第に分からなくなり、安全と危険、清潔と不 潔など生活のさまざまな場面で判断がつかなく なり本人も周りも困ることが起きてしまいます。

図1.

図1.

認知症にはアルツハイマー型認知症と脳血管 性認知症がありこの2つで認知症の8割を占め ます。最近はアルツハイマー型認知症の割合が 徐々に増えています。

認知症は治らないものと思っている方が多い ですが、一部には治る認知症もあり、きちんと 検査することが大切です。治らない場合でも、 認知症に伴うさまざまな症状については薬や介 護のやり方でかなり良くなります。認知症をで きるだけ早く見つけて治療を開始し、見通しを 立てて介護していくことができると、本人や家 族は、気持ちにゆとりが出てきます。認知症を 疑ったら、早めに受診して相談することが大切 です。

認知症は3つの時期に分けることができます。 第1期は、もの忘れが表れはじめる時期、第2 期は行動や判断に障害が生じてさまざまな症状 が表れる時期、第3期は病気が進んで日常生活 全般に介護が必要になる時期です(図2)。 認知症になると病気の進行とともにいままでで きていたことがどんどんできなくなり介護を必 要とする部分が増えてきます。言葉の障害も強 くなり会話も難しくなってきます。しかし、ど んなに病状が進んでも、その方の感情面は保た れていると言われています。呆け老人を抱える 家族の会では「ボケても心は生きている」と言 い、その人の心を大切にする対応や介護の重要 性を訴えています。

認知症は治療や予防が可能な病気の一つで す。仮に認知症になったとしても、安心して過 ごせるような地域環境づくりが大切です。健や かで穏やかな老いの時期が過ごせるよう、認知 症について正しく理解していただきたいと思い ます。

図2.

図2.

認知症の予防
・生活習貫病の予防が認知症の予防につながる事
・類似した症状を呈する疾患の区別が大切である事

渡嘉敷崇

琉球大学循環系総合内科学(第三内科・神経内科学)渡嘉敷 崇



1992年 琉球大学医学部医学科卒業
1992年 琉球大学第三内科人局
1999年 医学博士
1999年 鹿児島大学第三内科(国内留学)
2001年 琉球大学第三内科助手 現在に至る
  神経内科学会専門医
  日本内科学会認定医
  日本内科学会臨床研修指導医

認知症の予防について様々な研究が行われて います。現段階では決定的な予防法として確立 しているものは残念ながらありません。予防に 役立つものを組み合わせ生活に取り入れていく ことが重要です。また、最近の報告では生活習 慣病を有する場合、脳血管性認知症のみならず アルツハイマー型認知症の発症が増加すること がわかってきました。以上のような観点から認 知症の予防には次の点に注意して、生活に取り 入れてみましょう。

1.生活習慣病を積極的に予防・治療することが 認知症の予防につながる。

2.有酸素運動をしよう。

*有酸素運動とは:ウォーキングや水泳,体 操、サイクリングのように体に酸素を取り 込みながら行う運動です。

  • ◎ウォーキングの目標
     1日5,000歩から8,000歩
     1日30分の早歩きを週5日程度
     最初はがんばりすぎず、低い目標から始める。

3.頭を使う生活をしよう。

特に次の3つの点を生活のなかで意識して みましょう。

体験を記憶して思い出す(エピソード記憶) 日記をつける。

レシートを見ないで買い物の内容を思い出 してみる。

2つ以上のことを同時に行うとき適切に注 意を配る(注意分割)。

料理をする時に一度の何品かを同時に作っ てみる。

人と話す時、相手の表情や気持ちに注意を 向けながら話す。

段取りを考えて実行する(計画力)。

効率の良い買い物の順番を考える。

囲碁や将棋、麻雀などの趣味を持つ。

旅行や園芸作業などの計画を立てる。

その他に

音楽や芸術に興味をもつ。

声に出して本や新聞を読む、簡単な計算を繰 り返し行う。

4.脳によい食事をしよう。

野菜・果物ではビタミンC、ビタミンEやベ ータカロチンを多く含むもの、魚ではDHA やEPAなどの不飽和脂肪酸を多く含むものが よいとされています。野菜・果物:カボチャ、 春、にんじん、アセロラ、イチゴ、レモンな ど魚:イワシ、サバ、サンマ、マグロなど

5.適度な休息をとろう。

昼、夜のメリハリをつけた生活を心がけましょう。

適度に仮眠・昼寝をする(30分以内)。

6.もの忘れかなと思ったら、かかりつけ医に 相談しよう。

早期発見・早期治療 治る認知症を見逃さ ない。

認知症の治療と介護

葉室篤

医療法人天仁会天久台病院勤務 葉室 篤



1996年 昭和大学医学部卒業
1996年 昭和大学精神医学教室人局
1999年 浴風余病院勤務
2001年 昭和大学横浜市北部病院勤務
2003年 埼玉社会保険病院勤務
2005年 天久台病院勤務現在に至る
  日本老年精神医学会専門医・指導医

ほとんどの認知症は、治りません。いきなり 厳しい話になりましたが、まだあきらめる必要 はありません。認知症には、どういう症状が出 て、どういう治療があるのか?じゃ介護するに はどう接すればいいのか?これらを知るだけで 認知症の進行の早さがなだらかになる可能性は あります。まず症状は、中核症状(これは、治 療がとても困難です。)というのがあります。 具体的に言うと「物忘れ」・「日にちや今いる 場所がわからない」・「気にせずにやれていた こと(例えば、お風呂やトイレに入ること)が 出来ない」などです。もうひとつ周辺症状とい うのがあります。これは、周りの方の対応や少 量のお薬で軽くすることが可能な症状です。 「物を盗まれた」や「見えない物を見えるとい う」・「迷子になる」・「前よりも怒りっぽく なった」などです。ここで一つ注意してほしい のは、今書いたのが一つでもあるからといって そく認知症ではありません。認知症と診断する には、色々お話をうかがい、検査をしてそれら をひっくるめて診断することなのでそこは、間 違わないでください。

次に治療ですがひとつはお薬です。これはか かりつけのお医者さんとか専門の先生がみてい きます。もう一つは、お薬を使わない方法で す。例えば、デイケアを使って日常の生活リズ ムを整えること、ヘルパーさんに来てもらって 生活を助けてもらうこと、いちいち説明してい たのをやめて、本人の話を受け止めてみるこ と、「ここは、家じゃない」と言われたから手 を引いて散歩してみる、こんなことでも落ち着 くこともあります。認知症の治療や介護に正解 はありません。でも「経験的にうまくいったこ と」を知っておくことは、患者さんや介護され る方にとってとても大事なことです。

介護現場からのアドバイス
・認知症を支える様々なサービスとは

増尾辰也

医療法人天仁会天久台病院 リハビリ部作業療法 室長 増尾 辰也



1997年 沖縄リハビリテーション福祉学院 作業療法学科卒業
1997年 オリブ山病院リハビリ部勤務
2002年 天久台病院リハビリ部勤務
  現在至る

在宅で認知症者の介護をされている方の日々 の苦労は、並大抵なものではないと思います。 病院や施設では医師、看護師、介護福祉士、精 神保健福祉士、作業療法上…と様々な専門家が 治療・ケアを行っていますが、在宅においては その殆どを介護者1人で行わなければならない 場合が多いからです。在宅介護では、まずでき るかぎり介護保険で利用できるサービスや、そ の他社会資源を上手に利用して介護者自身の負 担を軽減しながら無理のない範囲で行うことが大切になります。

在宅生活の良いところは本人が「住み慣れた 環境で」「本人のペースで」「本人らしく」過ご せることにあると思います。より本人にあった 対応ができるということです。病院や施設では 限界があります。認知症になり、新しいことを 覚えることができなくなる、忘れていくという 中で、本人が安心して、落ち着いて過ごせる環 境で日常生活の中から適当な作業(生活行為) を見つけ出し行ってもらうことで症状を安定さ せ、その人らしく生き生きとした生活につなが ることが望めます。

今回は「介護現場からのアドバイス」という ことで話しをさせてもらいますが、その視点は 決して難しいものではありません。本人の生活 してきた環境でこれまで何年、何十年として行 ってきた「生活行為(身辺処理、買い物、洗濯 物たたみ、茶碗洗い、庭掃除…)」の「できる こと」を少しでも見つけ、それを役割として行 ってもらうのです。それだけで症状が落ち着 き、安定することがあります。

しかし認知症者の方にとって「良い」と言わ れている介護方法でも、実際それを全て在宅で 行うことになると介護者にとっては身体的な、 あるいは精神的な負担となり上手く行かない事 も多々あります。今回ここで話しする介護の方 法が全てではありません。今日話しする中で1つ でも2つでも参考になるようなもの、「私にもで きる」というものが見つかれば幸いと思います。

認知症について介護する立場から

喜瀬久子

喜瀬 久子



昭和7年2月 東京の深川で出生
昭和9年 南洋群島に移住終戦後、帰沖
昭和45年 夫と共に約20年豆腐屋を営む現在、なごみの会世話人、
   伊佐川老人会副会長を努める

私は現在、沖縄県呆け老人を抱える家族の会 (なごみの会)の世話人をしております。私の夫 は、平成5年に糖尿病の合併症で脳内出血を起 こし、約1ヶ月入院しました。言語障害、歩行 障害もありませんでしたが、脳障害だけが残り ました。

先生に遠出をしないように言われていました が、夫は退院した翌日から車の運転を始めまし た。私が止めるのも聞かず運転を続け、一緒に 車に乗っている時に事故を起こしそうになった こともありました。私は怖くなって、夫と車に 乗らなくなりました。人身事故が心配で、警察 に車のキーを取り上げてもらえないか相談に行 きましたが、だめでした。しかし、しばらくし て自分から運転を止めてくれました。

その後しばらくして、被害妄想が始まりまし た。私に対する嫉妬でした。男を連れ込んでい ると思い込み、ものすごい形相で鎌を振り回す こともありました。夫が興奮している間は、私 は外に逃げ出し、夜そっと家に入って別の部屋 で寝ていました。主治医に相談して薬を出して もらい、嫉妬妄想は次第になくなりました。

しかしそれも束の問で、今度は徘徊が始まり ました。ちょっと目をはなすと、すぐいなくな りました。近くを捜して見つからなければ、タ クシーに乗って捜しました。何度もタクシーで 捜すことがあったので、その内タクシー会社の 人が夫を外で見かけると、私に連絡してくれる ようになりました。徘徊と一緒に、失禁もする ようになりました。

この人は病気なんだと頭の中ではわかってい ても、つい怒りたくなります。それをこらえ て、認知症と付き合いました。老人ホームに預 けたら、逃げ出さないように部屋に閉じ込めら れたり、薬の副作用でぐったりしてしまったこ ともあり、悲しい思いもしました。しかし、い ろいろな人の支えもありました。

デイケアやショートステイを利用して、私自 身の時間が持てるようになりました。また、家 族会に参加することで、他の家族の話を聞い て、なぐさめられたり、勉強したりすることが できました。

それでもやはり、家での介護の中心となるの は家族だと思います。その介護の大変さも愛情 さえあれば乗り越えられるのではないかと思い ます。

患者会・家族会−家族会の必要性と入会案内

安富祖朝正

沖縄県呆け老人を抱える家族会 代表 安富祖 朝正

呆け老人をかかえる家族会は、全国組織で47 都道府県で41県が結成し、活動を展開してい る。県支部になるには、会員が100名以上の基 準を満たなければならない、沖縄県は基準に満 たないため家族会準備会という位置づけになっ ている。

結成して3年が経過致しましたが、少しづつ 社会的に認知され、高齢者に関するシンポジウ ムや市町村のヘルパー研修、医療機関の職員研 修等に講師として招かれるようになってきた。

具体的な活動は「認知症があっても安心して 暮らせる社会の推進」と「家族の集い」「認知 症についての学習会「認知症の方々が利用でき る制度の学習や施設の見学」「認知症の啓発活 動」「他の家族会との交流」等が中心である。

認知症の初期は同居している家族でも解りに くく、かなり進行してから気付くのが一般的で ある、その間症状に起因したトラブルが頻繁に 起きるが「人が変わった」「性格が変わった」 と片づけてしまい、そのトラブルがその症状に よって引き起こされているとは知らず大喧嘩に なること度々である。

認知症を知らないがゆえの結果であり、家族 自身が認知症について理解することが最も大切 である。

ご承知のように認知症の方は多少個人差はあ りますが、不眠、徘徊、幻覚、時には興奮し暴力 行為が出現します。症状が激しくなって来ると 介護者も精神的、肉体的にまいってしまいます。

例えば、不眠が続くと介護者も寝れない日が 続き、徘徊があると後ろからついて行き徘徊を 止めようとすると興奮し暴力をふるったりとし 時には、異物ももて遊んだり壁にぬりつぶした り、時には刃物をふりまわしたり、本人の大切 な物が見えなくなると介護者をドロボーよばわ りし、時には食事をさせない等と言いふらした りと、こういう状態が続くととても一人では介 護できる状況ではないが、多くの家族では一人 で介護しているのが現実です。

この事を離れている兄弟姉妹に話しても理解 してもらえない場合があり、介護者は孤立し、 この時に介護者は「長くて暗い出口の見えない トンネルは出口はあるのだろうか」「いったい この状況は何時まで続くのだろうか」「自分の 人生はこれからどうなるのだろうか」等々と不 安に苛まれ先が見えなくなる場合があります。

こういう時こそ家族には「いやしの場」「語 り合える場」が必要なのです。一人で悩まず同 じ悩みを持つ家族と活動し、認知症について学 び、介護についての情報交換をし、家族会を 「いやしの場」にして頂きたいと思います。

連絡先(社)呆け老人を抱える家族の会 沖縄県支部「なごみの会」
北部福祉保健所 電話0980-52-2734(野底)
宮里病院    電話0980-53-7771(沼子)
老人性認知症疾患センター 電話0980-53-7772(沼子)

「ゆらぐ健康長寿おきなわ」
〜認知症(痴呆)について〜
〜第11回沖縄県医師会県民公開講座座談会〜

日時 平成18年2月25日(土)
 場所 ロワジールホテルオキナワ(北殿の間)

参加者:稲冨洋明会長、玉井修座長、城間清剛氏(城間クリニック)、
渡嘉敷崇氏(琉大第3内科)、葉室 篤氏(天久台病院精神科)、
増尾辰也氏(天久台病院作業療法士)

○玉井座長

みなさん、本日はお疲れさまでした。

県民公開講座を終えてのご感想などをお伺い したいと思います。

○稲冨会長

今までやってきた中で聴衆は一番多かったの ではないですか。前回の”うつ”についてやっ た県民公開講座よりも今回の方が多かったみた いですね。その前がアルコールについてもやっ たのですが、回数を重ねる毎にテーマも興味を 引くような内容になってきて県民に大分浸透し てきたと感じます。

また、患者会の方が参加されたのも初めてで すね。その方の体験談も非常に良かったと思い ます。ただ、体験談を聞くと一人で悩んでおら れるようで、どうにかそれをサポート出来る方 法がないものか感じました。それと1週間で薬 の副作用のために止めたとの話がありました が、それも病院ともっとよく関わってもらうと 上手くいってたのではないかと思います。

○玉井座長

いくつかの課題を患者会側からご提示いただ いたような気がします。

城間先生、今の件についていかがですか。

○城間氏

城間氏

喜瀬さんが介護を始めたのが平成5年で結局 介護保険もまだ出来ておらず、今のように認知 症が知られていない状況で、薬も今のように副 作用の少ない向精神薬が出ていない時でしたの で、非常に苦労されたと思います。最近は介護 保険もありますし、良い薬も出てますし、一部 の方は家族会の情報を知ってらっしゃるのです が、殆どの方が知らずに悩んでいる。介護保険 の中でも認知症の重い方が少し介護保険の枠か ら外れてて介護施設でも上手く対応出来ない方 が結構いらっしゃいます。その辺のPRを今日 の機会に行えて良かったし、継続的に行えたら と思います。

○玉井座長

増尾さん。閉じこもりの方の話が出ました が、そのような方達のためにも色々なサービス が必要ですよね。

○増尾氏

増尾氏

特にデイケアで感じるのは、おばーちゃん達 は割と集団への適応も上手に出来て、いろんな 活動をしている方が多いのですが、男性の方は 刺激をしないと無意味に過ごしているような方 が多々おります。実際に簡単な作業を見つけよ うとしても難しいのが現実でありますが、やは りそれを一人でやるのではなく、色んな人との 関わりの中で見つけて上げられたらと思います。

○玉井座長

男性が閉じこもると厄介ということですね。

葉室先生。先ほど薬物療法の話がありました が、その辺どうでしょうか。

○葉室氏

葉室氏

患者さんにしても、患者さんの家族にしても 診察の場で聞きにくいというか、こんなこと言 ったら怒られるのじゃないかと思っているので はないかという気がしました。診察の場では逆 にこちらから薬の効きすぎだとか日常どのよう に暮らしているのかというのを意識的に聞かな いと中々聞き出せないという印象を受けました。

○玉井座長

葉室先生自身も今後の診療に対するインスピ レーションのようなものを感じたのですね。

我々の方から「最近ボーッとしてない?」な ど聞くべきかもしれないですね。

○葉室氏

日中にしても、昼夜の差がないですかとか、 午前中しっかり起きてますかとか、そういう質 問を意図的にしないとなかなか聞き出せないの かなと思います。

○玉井座長

診療する側の工夫も必要でしょうね。

渡嘉敷先生。運転免許の話が出て、大変シビ アだなと思いましたが、社会的な問題でもある し、かなり危機的な事も起こるので本来ならし っかりとした対応が必要だと思うのですが、そ れについていかがですか。

○渡嘉敷氏

渡嘉敷氏

女性の患者さんで、原付バイクに乗ることが 生活の一環である方がいるのですが、僕は法律 家ではないので詳しくはわかりませんが、認知 症と診断がおりて交通事故あるいは死亡事故を 起こしてしまったときには、医者も責任を問わ れることがあるようで、やはり、病院にどうや って来たのか等を聞いたりする中で本人の運転 について気にかけていたほうが良いと思いま す。ご家族の中には先ほどのお話もあったよう に、本人が車の運転が趣味なので、一緒に乗っ たら良いのではないかとの考えを持っている方 も案外いらっしゃる感じです。運転を止めて頂 くことはなかなか難しいのですが。

○玉井座長

道路交通法が変わっていってその辺がもう少 し厳しくなるのかもしれませんね。

○渡嘉敷氏

以前はこういう病気の人は免許を持てないこ とになってたみたいですが、今は、個別に審査 するようになっているようです。ただ、認知症 の場合には、本人の後見人等がいる、いないに 関わらず、取り消しの対象に出来るようです。

○玉井座長

タイムスの銘苅さん。今日の県民公開講座の 印象はいかがでしょうか。

○銘苅氏

特に印象に残ったのが、渡嘉敷先生の生活習 慣病が認知症に繋がるというお話で、驚きでし た。認知症はお年寄りになってからの話との思 いが誰にでもあったかと思いますが、むしろ、 生活習慣病の観点からみると40代50代から注 意しないといけないと感じましたし、同時に沖 縄の長寿がいろんな観点から危機的状況にある ことを考えると、認知症も大いに関係すること を再認識して予防を徹底しなければならないと 改めて思いました。

○玉井座長

長寿でも健やかな長寿でなければならない前 提がありますので、そのためにも認知症という 問題は大きな問題ですね。

これまでこの講座を11回開催していますが、 非常に浸透していることを肌で感じています。 タイムスさんでの反応はいかがですか。

○銘苅氏

この県民公開講座の呼びかけも兼ねて、認知 デイケアサービスの記事を社会面に載せたので すが、その日に約200人の応募があったとのこ とでした。定着すると同時に関心も更に高まっ ているようです。

○玉井座長

そうですね。積極的に関わってきてますね。 僕も県民公開講座を何回かさせていただいたの ですが、徐々にフロアからの反応が良くなって いる感じがします。

以前はこちらから投げかけるだけで一方的で した。最近は笑い声やうなずきも多くみられ、 フロアの方達が積極的に動いている感じがしま す。ご高齢者が多いのが一般的だと思いますが、 今日は若い方も多かったですね。若い世代にも 県民公開講座が浸透している感じがします。

○渡嘉敷氏

実際に家族を見ている若い介護者も多く来て いると思います。

○玉井座長

今日の質問にも、お父さんがお風呂に入って くれないとか、自分の母が受診してくれないな どの質問がありました。やはり認知症を実際に 患っておられる方、その周囲にいる方について 関心が高かった感があります。

○城間氏

私はよく介護者向けの各団体の講習会で講演 をするのですが、確かに6〜7年前までは、ご 年配の方が多数でした。最近は介護士向けの講 習会ではありますが、就職が約束されているわ けでも無いし、就職するしないは別にして、認 知症や介護を勉強したいという20代、30代の 方が増えています。若い方もそういう意識は高 まっているのでははいかと思います。

○玉井座長

葉室先生、沖縄の特殊性のようなものはあり ますでしょうか。

○葉室氏

やはり感じるのは、東京ほど核家族化してい ないことですね。沖縄でももちろん増えていま すが、サポートする方は東京に比べればまだま だいらっしゃると思います。

そのサポートする方の情報を提供できればも っと良い方向にいくと思います。

○玉井座長

沖縄県では認知症に関わる様々なサービスは 十分浸透してますか。

○葉室氏

自分の病院では、かなり進行してから来られ る患者さんが多いです。

病棟を見ても、中程度から重度の方が大半です。早期で来られる方は中々おりません。

トコトン診て疲れてから来られる方が多いです。

○玉井座長

トコトン介護して、ギリギリの状態でやっとど こかで診てもらいなさいよという感じでしょう。

○城間氏

それは私も病院に勤務していた時はよく感じ ました。開業してからは、早期の方がたまにい らっしゃいますが、逆にその早期の方のための リハビリ施設がないです。

早期の方が中程度の認知症のデイケアに先ず 合わないし、かといって最近脳のリハビリとか 各種療法がありますが、早期である程度意欲の ある方に提供できるリハビリやサービスや仕組 みも確立されていないし、非常に歯がゆい気が します。

○玉井座長

早期の認知症にはどういうサービスが一番必 要ですか。

○城間氏

積極的に脳のリハビリを行い、経過を追いつ つ定期的な検査をしていくことです。

それで改善するケースもあるでしょうし、維 持出来るケースもあります。しかし、どこかで 進行して来た場合には、ご本人ご家族にきちん と説明して介護に比重を傾けていく仕組みが大 切です。

○銘苅氏

早期予防という観点からすると介護保険と多 いに関係してくるのですか。

私自身の体験なのですが、76歳になる母がい て3年前から認知症の症状が出てきてその対応 に迷っているところなのですが、やはり介護保 険がないとデイサービスに行けないし、デイケ アも行けない。介護保険を受けようとしました が要支援までいかない状態でした。介護保険以 前の予防という観点からできないかなという思 いがあるのですが。

○城間氏

全くそのとおりで、介護保険以前だったら、 社協などがやっている生きがいデイサービス等 があるんですが、会員数が少ないですし、ほと んどボランティアが運営していますし、あまり 医療的なサポートが無いので、元気なお年寄り に集まっていただいて老人会的にやっている。 内容的にもデイサービス、デイケアよりも内容 が濃くないですから、早期の認知症の方の予防 的なプログラムではないです。

○銘苅氏

母の場合、認知症はそれほどひどくなかった のですが、身体機能がだいぶ落ちてしまって、 せめてリハビリでもと思っているのですが、そ れも中々施設が無いとのことでした。ですが、 転んでケガをしてしまったことがきっかけで整 形外科に行って結果的に介護保険が適用になっ たことがありました。しかし、先日再審査が行 われて要介護度1から要支援になってしまいま した。

○城間氏

制度的に後手後手になってしまってます。

○玉井座長

何かトラブルでも起こさない限り対応がなさ れない。本当は予防給付のようなものがあり得 るべきですよ。

○葉室氏

国の考え方としても全体的にもちろん治療も 必要ですが、予防にシフトしてきてます。

これからは予防を含めてしっかりやっていか ないといけないです。

○城間氏

今回、予防給付ということで高齢者の筋力ト レーニングなり、運動なり、機能なり、栄養等 の部分が入っていますが、認知という部分では ないので、軽症の予防を防げないか、悪化を防 げないかと思われる方が漏れてしまって行き場 がないですね。

○玉井氏

介護保険は4月から制度が変わってますが、 段々とこういう現状に合っていくのでしょう か。希望はもてるのでしょうか。

○稲冨会長

中々難しいですね。医療も予防医療を認めて くれるといいのですが、しかし現状は病気にな らないと保険がきかないですね。本当は病気に なる前に保険を使えるようにして、病気になっ たとしても軽くすむようにしたほうがお金が掛 からなくて済むと思うんですが。

○玉井座長

本来なら予防給付の部分をもう少し手厚くし ても良いのかもしれないです。

○稲冨会長

健康診断でもやり過ぎと言われたりします。

○玉井座長

このあたり、どうも後手後手になってるのか もしれません。

○城間氏

引きこもり予防、寝たきり予防など色々あり ますが、後手後手というよりも今やっているこ とで手一杯というところもあります。

○玉井座長

渡嘉敷先生、先ほどの銘苅さんのお話ではな いですが、僕も外来で高血圧の薬や高脂血症の 薬を出しているときに、「これは認知症の予防 にもなるんですよ」と言うと、途端に患者さん はやる気を出して協力的になってくれます。も のは言い様なんですが、このような形での取っ 掛かりもあるのかなと思うのですが。

○渡嘉敷氏

僕らでもそうですけど、実際にある薬で高血 圧の治療をやっていると、アルツハイマーの発 症が低くなることがわかってきています。しか しなぜ血圧が高いとアルツハイマーの発症が増 えるのか等解明されていないことも多いです。 高血圧の薬がなんらかの関与をしていることは 間違いないので、生活習慣の中に認知症の将来 の発症を予防することを伝えていっていいので はないかと思います。

基本的にアルツハイマー病も単一の原因だけ ではなくて複数の因子が絡んで発症するという 考えなので、やはり生活習慣病という観点から 見たときにも予防的な意味があるのではないか と思います。

○玉井座長

質問でも、高血圧や高脂血症がなぜ悪いのか というような質問がありました。

○渡嘉敷氏

それも決め手は欠いていて良くわかっていな いところがあります。たとえば糖についても糖 尿があるとなぜアルツハイマーの発症が増える のか解明されていません。

○玉井座長

沖縄では、痴呆が高度に進行した状態で受診 される方が多いということですが、増尾さん、 そのような方に笑顔で接するということは結構 難しいのではないですか。

○増尾氏

正直スタッフでさえカッとなることも多々あ るのですが、当院の場合はスタッフが何名かい るので人を変えることができます。だから、簡 単に教科書的なことは家でひとりで診ている方 には言えないですね。家族教室で話をしても 色々試したが結果が得られないことにお互い言 葉を詰まらせる場面が多いですね。

○玉井座長

正に現場のプロでさえカッとなるのは多々あ るでしょうね。そういう現場も踏まえて家族だ けで孤立しないということも大事でしょうね。

○増尾氏

先ほど家族がいっぱいいっぱいになって相談 に来るという話がありましたが、デイケアを利 用していた方で、施設では問題ないと思われて いた方が実は、家ではギリギリの状態で家族も 疲れ果て、受診したときに入院となってしまっ たケースがありました。それに気づいてあげら れなかったことがショックでした。それからは、 私は送迎のときに顔をあわせる機会があるの で、そのときに「良く眠れますか」とか、「最 近どうですか」など声かけをおこなって家族の 表情をみながら、先生に受診の際に伝えられる よう注意しております。はやり、ゆとりのある 家族は冗談が飛んできますね。

○渡嘉敷氏

僕は基本的に外来へ来たときの断片でしか患 者さんを診ることができないのですが、大体家 族の応対が良いと思われる場合は、患者さんの 状態も安定していることが多のですが、そうい った家族の対応によって症状が変わってくると いうようなことはありますか。

○城間氏

喜瀬さんもおっしゃっていましたが、最初は ご主人のケアをするときについ、きついことを 言ったり、怒ってしまったそうです。そうする とご主人も興奮して場合には手を出してきたそ うです。そのときに自分が変わらないといけな いと思って、ご主人が失禁したり何か失敗した ときにも丁寧に対応することで本人も変わって いったそうです。だから自分が変わらないとダ メですとよく家族会で話をされています。

やはり家族が少しずつ対応を変えていくこと で患者の症状は大きく変わると思います。

一方で逆説的に薬で改善できるところはこち らで改善してあげ、夜寝るとか怒りっぽい部分 を減らすことにより、家族への負担を軽減させ ると共に心のケアに繋がります。

○玉井氏

興味深いお話です。問題行動だけの治療では なく、それを支える家族に対してのケアもしっ かりと行うことが大切ですね。

○城間氏

一方で、ショートステイやデイサービスを利 用できるのに介護を頑張っているご家族もいら っしゃるんですが、それを見てると、そのよう な時期があるのかなという気がしております。 再三説明しても利用に踏み切らないご家族もい らっしゃる。ご本人の病気を受け入れて自分達 だけで頑張っていて、ある時期になると色んな サービスを利用するようになるケースが多々あ ります。

○玉井座長

家族自身が認知症というものを受容していく 時期というものがあるのでしょう。

それが受容できて初めて色々なことに心開いてサービスを受け入れられるようになるのかも しれません。

○城間氏

そのプロセスも見ながら、アドバイスをした り話を聞いたりしています。一方的にサービス を利用するように言うと余計に家族にプレッシ ャーを与えることになります。

○玉井座長

家族会のスローガンに「こころは生きてい る」という言葉がありますが、こういう言葉は 聴衆に訴えるものがあったでしょうか。

○稲冨会長

「こころは生きている」という言葉はみなさ ん一番よく感じたのではないでしょうか。

予防のポイントは運動、食事、睡眠、それと 頭を使うこととなっていますが、頭を使うとい うことは知識を得るだけではダメで、それを出 していかないといけません。10年ぐらい前の話 ですが、ボケについて講演会があったときにボ ケない職業は何かという話になって、それがオ ーケストラの指揮者である言っておりました。 というのは、指揮者は色んな曲をインプットし て、それを自分のイメージどおりに演奏させる ために指揮によってアウトプットしているから だそうです。さらにハードな運動にもなるの で、有名な指揮者はほとんど長生きしているそ うです。色んな趣味をもってるとボケることも 少ないかと思います。

○玉井座長

常に頭も心も体も使い続けることが大切とい うことですね。

そうすると認知症について、ある程度効果が あるのかもしれません。

渡嘉敷先生、このへんは講演会をやっていて もよく聞かれるのではないですか。

○渡嘉敷氏

そうですね。どうやったら予防できるのか、 どうやったら名前を覚えられるのかというよう なことを聞かれます。

そのときに話すのは、たとえば名刺の裏に日 付を書いたり、ネクタイの色を書くなどして、印象付けることがよいのではないかとの話をし ています。

○玉井座長

切実だと思います。自分はボケたくない、家 族に負担をかけたくないという方は外来で診て ても非常に多い。認知症に対する恐怖感があり ます。

こういう会を何度かやっていって認知症に対 する知識と理解を深めていけば、予防、早期発 見に繋がるし、家族に対する様々なサービスに も今後繋がっていくと思います。

どうしても1 回や2 回では中々無理なので、 たとえばタイムス紙で認知症に関する記事を連 載していただくと面白いと思います。

認知症に関わる様々な社会情勢も変わってい るし、読者のニーズも変わってくるかもしれま せん。その面も公開講座だけではなく、色んな メディアを通じて発信していきたいと考えてお ります。

稲冨会長、我々はこれからどういう情報を発 信していけばよいでしょうか。

○稲冨会長

今日のように、皆さんが関心のあるテーマで やっていく方がよいのではないでしょうか。

○玉井座長

地道に続けてやっていくことが大事かもしれ ませんね。

本日は、多くのご質問をいただきましたが、 本当に反応も大きいですので、沖縄県民はおと なしいと言われておりますが、今日拝見してる とかなり皆さんポジティブにそしてアクティブ に反応しはじめているということは肌で感じて とても心強く思っております。今日は有意義な 県民公開講座であったと思います。

本当にありがとうございました。

お知らせ

県医師会県民公開講座

「ゆらぐ健康長寿おきなわ」脳卒中 〜大事な人が倒れたら〜

  • 日 時:平成18年7月22日(土)13:30〜15:30
  • 場 所:ロワジールホテルオキナワ(天妃の間)
  • 司 会:玉井 修(曙クリニック・沖縄県医師会ふれあい広報委員)

講 演

座 長 県立南部医療センター・こども医療センター副院長 下 地 武 義

「脳卒中とは」
    県立南部医療センター・こども医療センター副院長 下 地 武 義

「脳梗塞の治療」    琉球大学医学部高気圧治療部助手 伊 佐 勝 憲

「脳出血の現状」          浦添総合病院副院長 銘 苅  晋

「クモ膜下出血の治療」    沖縄赤十字病院脳外科部長 笠 井 直 人